スリープ(ネル)とのデートを終えて帰宅したナス、いや、神威は、家に帰るとすぐに眠りについた。
しかし、ドアについてる郵便受けに手紙が入れられる音で再び現実に引き戻された。
何だ?もう夕刊は届いてるぞ。
そう思いながら、ドアの目の前に落ちた封筒を拾い上げる。
中身を見た神威は驚愕した。
そして神威は怪しい笑みを浮かべ、誰にともなくつぶやいた。
「ふふふ・・・かわいいなあ、僕の「ネル」ちゃん・・・」
~巡り廻るナイフの物語~ 第1章「不良少女」 第4話
モモの部屋は、掃除が行き届いており、とてもキレイだった。
私とは大違いだ・・・(とゆうよりほとんど家にはかえってないのだが)
「今ゴハン作るね~」
モモはエプロンをかけながら私に言うと、冷蔵庫からキャベツを取り出した。
とてつもない速さでキャベツが細く姿を変えていく。
料理ができるまでの間、私はモモと仲良くなった馴れ初めを思い出す。
あれは中三の頃・・・
あの時は確か学校で私の机に落書きしてた男子のリーダー格を殴ってしまい、先生にくどくどと説教された帰りだった。
私は帰るために下駄箱に向かって、階段を下に下りていくところに、一人の女子と踊り場でぶつかった。
それがモモだった。
「あ・・・ごめん・・・あっ!!・・・・あ、あああの・・・」
そのときのモモはすごいキョドっていた。無理もないだろう。
なんたってこのときは私は学校の生徒全員に名が知れ、恐れられていたからだ。
その時、モモの傍らに落ちていた鞄から零れ落ちていた中身が目に付いた。
何かヤケにかわいく描かれた女子のシールが貼ってあるノート、同じくそのような表紙の絵の小説。
これがオタクと言う奴か、と思った。そしてよく見ると、同じクラスの桃音モモと言う子だということを思い出した。
「あっ、ああああああの・・・」
「この事、黙っておいていただけないでしょうか?」
まあ確かにこの事を言いふらすような友達もいないし、と思ったので、私は、
「別にいい」
と一言だけ言ってその場を立ち去った。
背後でモモが頭を下げる気配を感じた。
その日を境に、どういうわけか私は先生にあまり怒られなくなった。不思議に思いながらも毎日を過ごした。
ある日の昼休み。
私は屋上に通じる扉の前でタバコをすっていた。ここなら先生も生徒もほとんど来ない。
「まじで~!?」
階段の下のほうから声がした。私は急いでタバコの火を消したが、その一団は私のいる階のひとつ下で話はじめた。
「ね~最近亜北怒られなくね?マジキモイんだけど」
「確かに~」
「キモイよね~」
「私なんで怒られないか知ってるよ~」
「マジ?なんで」
私も同じ気持ちだった。いったいなんでなのだろう。
「なんか~桃音が裏で手を回してるらしいんだ~金にものを言わせて、校長に賄賂渡してるんだって~
何の恩があるのかねw」
「マジか~」
そうだったんだ。私があのことを黙っておいたから・・・
しかし、次の言葉で私は戦慄した。
「マジうざい。制裁加えてやろうよ」
「さんせ~」
「おk~」
「じゃあ今日の放課後、桃音を駐車場に呼び出ししよ♪」
私はじっとりとした汗を書いていた。隣でタバコがくすぶっていた。
放課後、私は校門の前で踏みとどまった。
どうしよ。でも・・・
「なんか~桃音が裏で手を回してるらしいんだ~金にものを言わせて、校長に賄賂渡してるんだって~
何の恩があるのかねw」
気がつくと、私はきた道を引き返していた。
駐車場に入ると、既に桃音はぼろぼろだった。
私は、モモを足蹴にしていたやつを蹴り飛ばした。
そいつがリーダーだったらしく、あとのヤツは逃げていった。
「あ、あの・・・ありがとうございます」
モモが恐る恐る私に声をかける。
「ううん。お礼を言いたいのはこっちの方。・・・・ありがとう」
久しぶりに自分の気持ちを打ち明けたような気がする。
ふいに、私の胸中に、ある思いが浮かんだ。
この子なら、信じてもいいかな・・・・
こうして、私たちは仲良くなった。
「ネル?ゴハンできたよ?」
モモの声で現実に引き戻される。
「ああ、わかったよ」
やっぱりモモのご飯は、コンビニ弁当より遥かにおいしかった。当たり前か。
この後は、モモと会えなかった期間を補完するようにたわいもない話に花を咲かせた。
あたたかい夜だった。
次の日、私はお昼に出かけなくてはならなかった。
少し遅れて起きてきたモモに、その旨を伝えた。
「いいけど、何?・・・また援交?」
「まあ、あながち間違ってないけど、新しい金ヅルに会いに行くの」
昨日、私のケータイにメールが来たのだ。内容は、掲示板を見て来て、気に入ったのでメールを送った的な意味だった。
「午前で終わるから、終わったらどっか行こうか」
モモは飛び跳ねて、
「賛成!!」
といった。しかし、何かを思い出したように顔を曇らせる。モモはクローゼットを開けると、封筒を取り出した。
中には禍々しく光るナイフと、
「桃音モモさんへ
あなたの「狂気」をためさせてもらう。
」
という手紙が入っていた。
「なにコレ・・」
「なんか一昨日ポストに入ってたの・・・ネルは援交やってて危ない人に会うこともあると思うんだ・・・だから持ってて欲しいの。それで身を守って」
私はモモに笑いかけ、
「わかった~大丈夫だよw」
といい、タオルに包んで鞄にしまった。
ここで、ナイフを受け取っていなければ、あんなことには・・・
続
コメント2
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ご意見・ご感想
日枝学
ご意見・ご感想
お、モモとネルの仲良くなるに至る経緯、良いですね。そういうことがあったら確かに仲良くなるだろうなあ こういうタイプの人間と人間の組み合わせ、何だか良いものですね。ナイフを受け取ってその後どうなっていくのか、続き楽しみにしてます。
2011/09/11 00:08:59
苺ころね
みなさん、感想&ご意見ありがとうございます!!
参考にさせて頂きます!
これからもがんばります(^ω^)
2011/09/11 22:31:51
目白皐月
ご意見・ご感想
こんにちは、目白皐月です。
モモさんも実は結構黒かったんですね。一人暮らしをしている辺り、経済的に恵まれてはいても、淋しい環境なのかなという感じを受けました。
ナイフを送ったのは誰なのかがちょっと気になります。
細部については、常に細かい部分まで考えるようにしておくと、段々作品に反映できるようになってきます。ただ、すぐには結果は出てこないと思うので、気長にやってくのが大事ですかね。
2011/09/10 00:30:49
苺ころね
みなさん、感想&ご意見ありがとうございます!!
参考にさせて頂きます!
これからもがんばります(^ω^)
2011/09/11 22:31:51