「リーリア、リーリア、お屋敷が見えてきました。そろそろお別れですよ」
レンはそういっていつの間にか背中で寝入ってしまったリーリアを揺すった。
「ん・・・本当、に? 明日も、また会える?」
ぼんやりと薄目を開けたリーリアは「ありがと」と言ってレンの背から降りた。
「どういたしまして。明日、また来ます」
相変わらずフードを目深に被ったレンが微笑み、「また明日、です。リーリア」と言った。
「また明日ね、レン」
リーリアは笑い、そのまま2本の足で歩いていった。
少しふらつくその足取りに、レンは彼女が確実に弱っていっているのを感じた。
ズキン、ズキンとこめかみが痛む。市場にいた頃から痛んでいたが、フードを目深に被っていたからリーリアには気付かれなかっただろうとレンは思った。
これでは、集中力を必要とする転移の術も使えそうにない。
「―――歩いて帰るしか、なさそうですね」
自嘲のため息をついて、レンは痛む頭を押さえながら歩き出す。
馬のいななきと、がらがらと回る車輪の音。
一段と強くなる痛みに、レンは頭を抱えてうずくまる。
顔を上げた自分に、迫ってくる馬車。
今の自分は霊体だから、馬車に撥ねられても問題ない。
なのに、
粟立つ肌。恐怖が駆け上がる背中。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
こんな事が、前にもあった?
たすけて、
たすけて、
ごめんなさい
「―――リィ」
レンがどこか懐かしいその名前を囁いたのと、誰かがレンの首根っこを掴んで馬車から遠ざけたのとは同時だった。
目の前で像を結んでは消える、様々な映像。
耳に飛び込んでは過ぎ去る、様々な声。
「レン君! レン君! 俺が誰か、分かるか?」
レンのぼんやりと焦点が合わない瞳が、黒いフードに包まれた海色の髪と瞳を見る。
「・・・『僕』を連れに来た、死神さん?」
そこにいたのは、海色の死神・カイト。
レンは、全てを思い出していた。
【白黒P】鎌を持てない死神の話・9
レンは全てを思い出した。
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