6月ハーモニー 双子蜜柑 そのにー



メゾールは駅前にある大きなショッピングモールで、建物の大きさは地下1階から5階まで

あり、広さは学校と校庭がそのまんま入りそうなほど大きい。

建物の形は少し面白く、上から見たら全体の形はただの丸だが、2階から上の階は三日月の

形で建っていて、2階は三日月以外の部分がすべて広場になっており、そこでは度々イベントが

行われている、数年前に建てられた今では人気のスポットだ。

私達はメゾールに入って傘をたたみ

「じゃ、じゃあ弟さんとミク先輩はどんなやり取りを…」

サトミ先輩にさっきのことを聞くと

「って言っても大した事はないよ?ただちょっと話しただけってゆうか…」

「でも聞いてみたいってゆーか…気になりますよ~」

人の恋愛が気になるお年頃ですもの!!

「ん~まぁいいけど…弟は私の2つ下なんだけど、私とミクが中3になって

私の家にミクが遊びに来た時に、つってもラノベを貸すためだったんだけど…

その時に初めてミクと弟が会ったんだけど、実は弟ったらその時に

ミクに一目惚れしてたのよ~生意気だよね~?無理なのにさ~

まぁミクは特には意識してなかったんだけどね?だって年下だし…

そんな弟を見て私は閃いたのよ、ミクの苦手意識を直すいい機会かも!って。

ミクも私の弟だし、年下の男の子だから特には緊張してなかったわね。

だから弟を練習台にしてよく話させたのよ。つってもミクが疑問に思ったことを

弟に聞いてただけなんだけどね?

男の子はどんな風に遊んでるの?とか、いつもどんな話をしてるの?とか~

弟もミクに聞かれて嬉しいから、ゲームしてます!とか、好きなマンガの

話とかをしてます!って律儀に答えてたっけ?

でも、何を思いながら女の子を見てるの?って聞かれたときは…くくっ…

弟ったら顔が真っ赤になってうろたえてたわね…あっはっは…うける…

まさか好きなお姉さんからそんなこと聞かれるとは思ってなかったんでしょうね~

私に助けを求めてたわ、はっはっは!」

思い出し笑いをしすぎです。弟さんが可哀想ですよ…

「そ、それでミク先輩は苦手意識を克服したってことですか…」

私のまとめに先輩はまだ笑いながら

「くっくっく…まぁ弟と話して大分ね…でも決定的だったのはあれかな?

弟とのデートかな?って言ってもそう思っていたのは弟だけだけどね。

ミクの方は私も一緒だったから、友達とその弟とのお出かけ程度にしか思って

なかったみたい…弟哀れ…くはっはっは!ぶはっ!

弟はデート中ずっと緊張してたけど、何とか頑張ってミクに話しかけてたわ。

次はどこに行きますか?お腹空きませんか?この服どうです?って…

それで私もなるべくミクとは話さずに2人を見てたけど、いい雰囲気って

ほどにはならなかったけど、まぁしだいに打ち解けて仲良く話してたわね…

そんで途中からはミクの方からも弟に話しかけてたわ。

この本こないだ読んで面白かったから読んでみて。とか、このアイス美味しいから

食べてみたら?とか、特に面白かったのはあれね~

この服かっこよくて似合いそう…って言ってミクが弟に服を合わせた時ね!

ミクが服を弟の体に合わせて、似合うね~って言った時、弟ったらすっごく

顔を真っ赤にしてそ、そうですか!?って喜んでるの!

お前どんだけ嬉しいんだよ!って思ったわ。しかも弟ったらその服を速効で

買ってやんの!今も大事にその服を着てるわ。8千円の服だし…

そんでそのお出かけが終わったとき、なんとミクが弟の手を握ったのよ!

私もそん時は驚いたよ。な、なんでそんなに積極的になってるの!?って…

弟も顔が超真っ赤になって、なななな何ですか!?って言って聞いたら、

今日はありがとね、弟くんのおかげで男の子が恐くないって分かったの…

私って男の子とあんまり話したことが無かったんだけど、こうして弟くんと

出かけて話すことができて、楽しかったし…男の子の事が知れた…

弟くんは今日ずっと私に優しかったよね?そうゆうの素敵だと思うよ?

私すごく嬉しかったよ…本当にありがとう…って言ったの。

それでミクの苦手意識が無くなったのかな?それからはクラスの男の子と

普通に話せるようになっていったわね~

まぁでも合唱部の先輩達のせいで1年の時は恋人ができなかったけどね…

なんか密かにミクに近づく男の子達をガードしてたみたいなの…私達の純粋に

触るんじゃない!!って言って…あっ、これはミクには内緒ね?

知られたら私が合唱部の先輩達に殺られるから…これはマジで…

あっ、ちなみに弟はミクに感謝されてから更にミクの事が好きになったのよ。

それで私と話すたびにミクの事を聞いてくるのよ~

今度はいつ遊びに来るの?また一緒に出かけることってない?って…

しかもこないだなんか、俺ずっとミクさんを好きでいる!!って誓ってたわ。

我が弟ながらアホだと思ったよ…そんなもん誓うなよって…

だから冗談でさ、じゃあそんなにミクが好きならウチ来れば?同じ高校に

入ったらいつでも会えるでしょ?そんで演劇部に入ればずっと話していられるよ~

その代わり部長の私に絶対服従な…って言ったら、

お姉様に忠誠を誓います!!ってひれ伏したわ…軽くびびったよ…

だから受験頑張れと私とミクとの写メをあげたら、一生の家宝にさせていただきます!

ありがとうございますお姉様!!って喜んで、いま必死に勉強をしてるのよ~

恋の力ってのは凄いもんだよね~」

しみじみと長々と語ったサトミ先輩。

「そうだったんですか…そんなことがあったんですか…」

私はあまりに長い語りのせいでそんな事しか言えなかった

まぁミク先輩がサトミ先輩の弟さんのおかげで苦手意識が無くなった、ってのは

分かったけど…サトミ先輩の弟さん…

どんだけだよ…どんだけ好きなんだよ…

「そうよ~だからミクの苦手意識を無くしたのはほぼ私のおかげってこと…

すごいでしょ~?まぁミクのおかげ?であの勉強しなかった弟が勉強を

真面目にやるようになったから、ミクにも感謝しないとね~」

苦手意識を無くしたのは弟さんじゃないかと…

「真面目に勉強し始めたんですか…そりゃすごい…恋の力…」

「弟はちなみに中2の一学期までは、下から20番って感じだったんだけど

今じゃ上から10番だっけかな?そんぐらいの成績になってるわ…」

「凄すぎでしょ!?どんだけ頑張ってるの弟さん!?」

「いや~毎日4時間ぐらいかな?勉強しててさ~今まで勉強してなかった

弟があまりに真面目に勉強してるから、両親が泣いちゃってさ~

しかもこないだミクがウチに遊びに来た時に、も、もし俺が学校で一番の成績に

なったら、お、俺とデートして下さい!って頼んでたのよ…

ミクも少し驚いてたけど、うんいいよ…って言っちゃってさ~

弟が自分を好きってあいつ気付いてるのかな~?いや、気付いてないだろうな…

成績が一番になったらお祝いをしてあげなくちゃね。って言ってたし…

だからその時、ちょっと鈍くね?と思ったんだよ。

弟の恋愛を応援する気はないけど、ちょっとだけ心配になったよ…

報われない恋をする弟…う~ん少し可哀想だ…頑張って勉強してるのに…

ミクって今まで男の子に告白されたことが無いはずだから、弟とかに告白されたら

どうするんだろ?…今までは男の子として、いや、今もか…

今も男の子として意識してない奴からでも告白されたら……どうすんだ?

さすがにそれは練習が出来ないだろ…練習に弟を…いや、それは可哀想だ…

あっ、でも海斗先輩がいるか…そのうちに海斗先輩が告白するか…

さっきのでミクの事が好きってのは分かったし、おそらく今日の話ってのは

ミクをデートに誘う話だと思うから…デートして告白…か?

いや待て、いつから海斗先輩はミクが好きなんだ?それからミクと海斗先輩は

どれだけの付き合いなんだ?う~ん、気になる…

ミクは何にも教えてくれないし…どうやって聞き出そうか…う~ん…」

ブツブツと考え出したサトミ先輩

「ま、まぁそのうちミク先輩が教えてくれるんじゃないですか?そ、それより

もサトミ先輩、アイスは何を食べるんですか?もう私達の番ですよ!

早く頼まないと後ろの人に迷惑ですよ!私はバニラにしますよ?」

サトミ先輩が長々と語っている間にアイス屋に着き、今はもう私達が注文する

番にまでなっている。

かなりの長蛇の列だったが、並んでいる間、サトミ先輩はずっと話していた。

サトミ先輩は私の方を見ないで

「リンと同じのでいいよ…海斗先輩に直で聞くか?いや、でもそれじゃあ

後でミクにばれるな…海斗先輩、何でも話しちゃいそうだから…」

ブツブツとまだ考えている先輩に

「バニラですね?すいませ~んバニラを2つ下さい…」

確認を取った後、注文した



アイス屋から先輩と出て

「はい先輩、アイスです」

目を開けているが、前を見ずに考えこんでいる先輩に渡すと

「あぁありがと……って何でバニラを頼んでるのよ!?私はチョコって

言ったでしょ!?何を聞いてるのよ!?」

「えぇぇ!?サトミ先輩、私と同じのでいいって言ってましたよ!?

私はバニラを食べますって私は言いましたよ!?」

「はぁぁ?そんなの聞いたこと無いわよ!?でまかせを言うんじゃないよ!」

「いやいやいや!私言った!ちゃんと言いました!」

「いつよ!?何時何分何秒!?地球が何回回った時!?」

「子供か!?レンみたいなこと言わないでよ!!」

「リンの双子の弟と一緒にしないでよ!!あんな子供と一緒にしないでよ!!」

「はぁぁ!?あんたレンのこと知らないくせに何言ってんだ!?

馬鹿にすんなよ!?レンは確かに子供っぽいけど、優しいんだよ!!」

「どんな風にだよ!?言ってごらんよ!!どうせ大したこと無いんでしょ!?

どうせ宿題をやってもらったとかその程度だろ!?ハハッ!!」

「何笑ってんだこの野郎!?ムカつくな!!そんなのはいつものことだよ!!

こないだなんて私が恐い夢を見てレンの部屋に行ったら、優しくギュッと

抱きしめてくれて、そんで一緒に寝てくれたんだよ!!

しかも私が寝るまでずっと頭をナデナデだよ!!どーだこの優しさ!!」

「そんなのは私の弟もしてくれますー!!脚本がうまくいかなくて私が

悩んだ顔をしてると、姉ちゃん大丈夫?って頭撫でてくれるわ!!

そうすると良い案が浮かぶんだよ!!それがすげー嬉しいし、何より弟が

頭を撫でてくれるってのが嬉しいから、こないだなんてわざと悩んだ顔をして

たんだよ!そしたらどうしたの?ってず~っと頭を撫でてくれたんだよ!!

思わずポ~っとなっちまったよ!!」

「マジそれいいなぁー!!レンったらそーゆーのやってくれないんだよー!!」

「ハハハッ!!羨ましいだろ!!まぁレン君だからな、仕方ないね!!」

「何だとー!?でもこないだ家で一緒に映画を見てたら、レンが悲しんで

泣いたんだ!だから私がずっとレンを抱きしめて頭を撫でたよ!!

泣いて何でだよ~って言ってるレンは可愛いかったね!!胸キュンだよ!!」

「くっそぉー!!可愛いじゃねぇか!!弟ったらそーゆートコを見せて

くれないんだよー!!」

「へっへ~良いでしょ~?レンは優しくて可愛いんだー!!」

「何をー!?でもとっておきがあるぞー!!弟ったらこないだ…はっ!」

「どうしたんですか?ん?…はっ!」

サトミ先輩が周りを見て何かに気付いたため、私も周りを見ると

じ~っと、すべての人が遠巻きに私達を見ていた。

や、やべぇ…つい興奮して…

誰が見ても私達はブラコンで、大声で弟とのことを語ってるわけだから…

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

お互いに赤い顔になって、先輩と無言で見つめあい

「とりあえず…場所を変えるか…」

「そうですね…変えましょうか…」

そそくさとその場を立ち去った



そしてフロアの端の誰も人が来なさそうな所に行き

「…ごめんね…たかがアイスで怒っちゃって…」

「いえ、こちらこそ…ちゃんと聞くべきでした…すいません…」

私達は赤い顔で謝りあった

なにをやってたんだ?私達は…

「さっき私が言ったことは…忘れてくれる?お願い…」

赤い顔でアイスを舐めてる先輩がそう言うので

「はい…忘れます…だから先輩も私が言ったことを…忘れてください…」

「うん…忘れるよ…」

さっきの事は忘却しよう…



そして私達がアイスを無言で食べ終わると

ぴろ~ん、と私の携帯がメールを受け取った

「ん?誰だ?」

携帯を開くとレンからで

 『上から狙ってるぜ』

と書いてあった

ん?上から?なんのこっちゃ?

そう思って上を見ると、メゾールは建物の中心がふき抜けになっているので、

3階まで見えるようになっている

その3階の手すりのトコに

あっ!レンだ!

レンが私に手を振っていた

だからレンに手を振り返して電話をすると、レンが電話に出てるとこが見えた

 『リンもいま帰りなの?何やってんの~?』

「うん今ね、部活の先輩とメゾールに寄ってアイス食べてたんだ~

レンは何でいるの?部活帰りでしょ?誰かと一緒?」

 『そう俺も部活帰り。さっきまではバスケ部の奴と一緒だったんだけど、

 さっき別れて1人で歩いてる時にリンを見っけたの』

「そうなんだ!よく見つけたね!すごいね!やっぱり双子だからかな!?」

たとえ偶然でも嬉しい!

私がレンと話してるとサトミ先輩も上を見て

「おっ、レン君じゃ~ん。じゃあ私はもう帰るかな…じゃ~ね~」

そう言って出口に行くので

「へ?あっ、サトミ先輩さよ~なら~」

その背中に手を振ると先輩が振り返り

「ばいば~い。」

手を振り返してくれた。

 『あれ?隣の人って先輩?帰っちゃったの?』

電話からレンの声がしたのでまた上を向き

「うん。帰っちゃった…これからどうしよっか?お店回る?」

そう言うとレンが自分の後ろの家電量販店を親指で指しながら

 『ゴドバシでゲーム見てるからさ、こっちに来て。』

「うん分かった。そっちに行くね!じゃ!」





私は電話を切って上りエスカレーターに乗った

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 双子蜜柑 その2

6月ハーモニー 双子蜜柑 その2です

もう説明文ってなに書けばいいのよ!?

閲覧数:67

投稿日:2012/08/29 22:30:10

文字数:5,999文字

カテゴリ:小説

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