「うぅう……なんでこうなるんですかぁ……」
るか様が涙目で自分の持っている割り箸を見つめる。番号は・・・10だった。
「る、るかさんなんですか!?」
「テメエるかに手加減なしとかどういうことだぁ・・・」
が、がっくんが黒いオーラ背負ってるよがくぽくんもめちゃ怯えてるよ虎とハムスターだよ!?
・・・こいつ等両方とも神威がくぽだよな・・・?
「分かりましたよハンデつけますから睨まないでくださいがくぽさん!!」
涙目でがくぽくんが訴えると、がっくんも「悪い」と一言言って視線を正面に戻した。
まあとりあえずハンデをつけて貰わないとがっくんが煩いので、どういうハンデにするのか皆が考えている所です。
【すぅ家・ちず家】ちず家訪問!No.05【コラボ・S】
多分ハンデと言っても過剰なものだと不戦勝になりそうな気もするけど・・・。
「がくぽさんが10秒遅れてスタートするとかはどうでしょう・・・」
「ナスがメイド服着て走るとか」
「イアひでえ!」
「ナイス判断」
「でもさー着替える時間もあるしさー」
・・・スカート穿いたら逆に走りやすくなるんじゃ?
でも男の子だもんねがくぽくん。
「ねー、すぅさん家で足速い人って誰?」
この話し合いに参加してないのか、ちず家のリンちゃんがこっちに寄ってきた。
「んー誰だっけ?」
「確かLilyさん速いよね」
「いろはたんもね」
Lilyちゃんといろはたんはこの家のスポーツ枠と言っても過言ではない。
Lilyちゃんは陸上やってたって聞いたし(キヨさんから)、いろはたんも運動神経ありまくりすぎて怖い。
「分かりました!ちずに伝えに行きたいんですが・・・」
なぜかどもって目を逸らすリンちゃん。目線の先にはLilyちゃんが張り付いてた。
・・・珍しいから写真とっとこ。
「・・・まだ懲りてないのかなすぅは?」
「滅相もございません」
Lilyちゃんがリンちゃんを放してこっちに歩み寄ってきたから勢いで土下座した。
マイ・エンジェルのはずなのに悪魔に見える・・・。
「ねーえ、誰か2階まで走ってよ!足速い3人娘の誰かで!」
ちずがそう提案してきた。・・・ん?3人?
「3人って誰なのちずさん?」
そう聞いたのは我が家のリンちゃん。一応頭がいいこの子は異変にすぐ気付いたようだ。
「え?Lilyさんといろはちゃんとすぅだよ?」
当然のようにあいつは私もいれやがったな!
「そーいやすぅも走れるんだっけ?」
「う、んね、まあそうなんだけどさ・・・」
余談ながら、私も一応陸上部なのだ。Lilyちゃんが長距離なのに対して私は走幅跳だが。
「君が走ってくれるなら僕は万々歳だよ!」
「まあ俺も思ったんだよな、速いとはいえ後輩や14の少女に走らせるのはどうかって」
いろはたんとがっくんが「お前やれよ」視線を送ってくる。怖い。
「てか私も14のか弱い少女なんですけど!」
「お前は論外」
がっくんに即答された。くそう・・・。
とそこにラスボ・・・おっと間違えた、Lily様がとても良い笑顔で私の正面にいらっしゃった。
「・・・走れよ?」
「は、はいぃ・・・」
Lily様の迫力に押され、結局私が二階まで走ることになってしまった。
「よし!じゃあ行くよー!」
ちずがスタートの合図にするのか、竹刀を踏み切りのポールのように倒していた。
「・・・すぅちゃん速いの?」
「んーまあ、そんな身構えなくても良いと思う」
元々階段ダッシュは大嫌いだし。
ちなみにるか様は二階の踊り場で待機している。タッチして交代する仕組みだ。
「そんじゃ・・・よーいスタート!」
竹刀が振り上げられ、私とがくぽくんは階段を登り始めた・・・と思うのだけど。
「いってえ!!おいちず竹刀で頭叩くな!」
「だってるかちゃんに勝ってほしいもーん」
どうやらちずががくぽくんの妨害をしたようだ。
なるべくフェアな状態で戦いたいのが本音だけど、今回はるか様も走るので先に行かせてもらおっと。
「すぅちゃん!やり直しは・・・」
そんな嘆きを聞きながら、私はるか様にバトンタッチした。
私がタッチしてから10秒ぐらいでがくぽくんが二階に上がってきた。
ううん、にしてもがくぽくんも速いな・・・るか様大丈夫かなあ。
そんな心配は杞憂だったということを、私はちず家のグミちゃんの声を聞いて感じたのだった。
「くっそ・・・ちずのせいで・・・」
一階に戻ってきてがくぽくんが恨めしそうにちずを見ながら言った。
まあこの件に関しては私にも非があるから、多くは言えないんだけど。
「じゃあ先輩?これ飲んでくださいね?」
そんながくぽくんに追い討ちをかけるかのようにちず家のグミちゃんは笑顔で話した。
「待てよグミ!!しかも互角だったんだろ?」
この勝負、実はかなりの接戦だったらしい。ゴール直前でがくぽくんがるか様を抜かしたとか何とか。
ちなみにゴールの審判はがっくんだった。
「・・・いくら互角といえど、お前はこんな状態のるかに妙な薬を飲ませるのか?」
「滅相もございません先輩」
るか様は私の想像以上に体力が無く、ゴールしてバテてしまったようなのだ。
現に今も、嫌がることなくがっくんにお姫様抱っこされている。ぽるk(以下略
「ねえすぅ、あれ何か知ってる?」
グミちゃんががくぽくんに差し出してるペットボトルを指差し、Lilyちゃんは問いかけた。
Lilyちゃんは怒らせなければ良い子なのだ。
「・・・まあね、罰ゲームに出すぐらいなんだしろくなものじゃないと思うよ?」
そう応えてると、がくぽくんがぐいっとペットボトルの中の液体を一気飲みし、こちらのほうを見た。
がくぽくんの群青色の瞳には、Lilyちゃんが映りこんでいた。
ずんずんとこちらに向かって歩み寄るがくぽくん。
その目線は目標――ここではLilyちゃんである――から外れない。
そしてそのままLilyちゃんの目の前に行き・・・頬にキスをした。
「ななななにやってんのよがくぽっ!!!」
「ひ弱・・・どうした?」
「神威くん中々大胆ですねえ」
「これがナス・・・!?」
この光景を見て一番に驚いたのはルカさんだろう、がくぽくんと付き合ってるみたいだし。
続いてがっくん、ちず家先生、ちず家イアちゃんという発言順である。
ちずは驚き・・・かと思ったが意外と冷静で、グミちゃんと一緒に笑っている。いいんかそれで。
そして私はちゃっかりキスシーンを携帯で撮影していた。もちろんキヨさんにメールするため。
「ちなみにあれは見ての通り、惚れ薬です!」
「効力は30分間!」
笑顔でグミちゃんとちずが言う。やっぱちずも共犯者だったのね。
・・・鬼の形相でルカさんが体育座りをしている。
その先には蕩け顔のがくぽくん。嫉妬ですね分かります。
「てめえ、もしコレをるかが飲んでたらどうされてもいい覚悟でやったんだよな・・・?」
「ん、んー・・・だってるかちゃん負けるルートは考えてなかったし・・・ね?」
「そうそう!対・がくぽ先輩用だったし・・・ね?」
がっくんの問いに対して、しどろもどろに答えるちずとグミちゃん。
もしるか様が飲んでたら・・・かなり酷いことになってただろう。
「Lilyさん・・・目、逸らさないで・・・?」
「は、え、これどうしたらいいの!?っていうか放せ・・・!」
Lilyちゃんの肩をがっちし掴むがくぽくん。それを放そうとするLilyちゃん。
そういえばLilyちゃんには男の人が苦手だったな、と頭の片隅で考えながらキヨさん宛てのメールをばれない様に打つ。
「・・・Lilyさんって、今日災難だよねー」
「まあ・・・今日の場合は引っ付かれずに済みそうだけど、さ」
「そっかー、リンちゃん良かったねー」
そのすみで暢気に会話するいろはたん、リンちゃん、グミさんの3人。
君たちはそういえば今日はあんまハードな命令こなかったね。まあ私もだけど。
《テテ、テテ、テーテンテッ、テーテテテテテテテーテテテー》
と、そこで着信音が鳴った。この着メロはLilyちゃんのだろう。
だが、携帯を取ろうとするLilyちゃんに拘束は解かれるはずもなく。
「・・・リンちゃん!多分それメールだから内容読んで!」
他人に頼むしか法がなかったみたいだ。
そういえばキヨさんにメールを送ってから何分か経ってるけど、一向に返信が来ないな・・・。
「じゃあ読むよー!」
「お願い!!」
「Lilyさん、こっち向いてよ」
携帯を発掘?したリンちゃんに顔を向けるLilyちゃん。そしてがくぽくんは相変わらずの蕩け顔でLilyちゃんを見てる。
ってちょちょ!?ルカさんが般若の如く睨んでるけどがくぽくん大丈夫!?
そしてその時、私はまだ身の危機をこれっぽっちも感じていなかった。
「えっとねー・・・帰ってきたらすぅさん共々膝を突き合わせてお話しましょうか、だって」
・・・我が家でこんな綺麗な言葉遣いをする人は2人しかいない。
「リンちゃん、それ、誰から来たの・・・?」
その中の1人はがっくんの腕の中でぐったりしている・・・から・・・。
「えっとね、キヨテルせんせだよー!!」
リンちゃんの無邪気な声が部屋の中に響いた。
「・・・・・・・・・・・すーーーーーーーーぅーーーーーーーーー!?」
やばいこれは怒らせちゃったパータンでコレまで以上の殺気を出しているLilyちゃんの前ではハムスター同然なわけでつまり私はもうすぐ抹消させられるわけで!?
だけど、Lilyちゃんに邪魔が入ったようです。
「ここにいてよ、ね?」
「うっせえ放せこのやろ・・・んん!?」
がくぽくんの唇が、またもやLilyちゃんの頬を捉えました。
と同時に、がくぽくんは我に返ったようで。
「・・・あれ?なんで俺はLilyさんの肩を掴んでいるんだ?」
と言っておりました。
「あーあ、もう30分経っちゃったー」
「がっくん面白かったのにー」
「待て、お前ら何盛ってたんだ!?」
つまらなそうにぶーぶー言うグミちずにつっこみを入れるがくぽくん。やっぱちず家のつっこみ役がいないと中々締まらないよね!
そしてジェラシーから開放され、安心しきったような顔をしてるルカさん。
この惚れ薬騒ぎが終わり、みんなも安堵の表情を浮かべていた。もちろん私も。
だが、私は忘れていたのだ。金髪少女の怒りを買うだけ買っていたことを・・・。
「すーーーーーーーーーぅーーーーーーーーーちゃーーーーーーーん???」
「は、はひ・・・何でしょうか・・・」
「今度こそ抹消しろーーーーーーーーー!!!メールも写真もおまえ自身も!!!!」
「みんな・・・助けてーーーー!!」
消滅の危機に見舞われ、助けを求めたが・・・。
「自業自得だ!!!」
と全員に言われましたとさ。ちゃんちゃん。
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Re:sui
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