過去巡り 外伝   『花の祝福』 その2



次の日の昼休みに私と流香は

「んーじゃ、まずはヒロと優希(ゆき)がいるクラスに行こっか?」

「うん。ハナ…スカートにお昼の焼きそばがついてる」

お行儀悪くご飯を食べたせいでスカートに食べかすが付いたみたいだ。


そしてヒロ達の教室に行くが2人がいないためクラスの子に聞くと、

2人は音楽室にいるとのことなので私達は音楽室に向かった。



私が先を歩く形で流香と話をしながら階段を上がる。

ヒロ達が音楽室に行く用はなにかと話した後に、ふと疑問に思ったことを

後ろの流香に振り返り聞いた

「そういや2人は中3の夏から付き合ってたんだよね?」

あれは私が中学3年の夏休みのときのことだった。

流香とガク君が2人でお祭りに行ってるのを偶然見かけたのだ。

お祭りの夜に2人でお祭りに行ってたよね?と流香に聞いたら、うん行った。

と言い、付き合ってるの?と聞いたら、そんなんじゃない、と言われたのだ。

でも付き合ってるような感じだったので多分付き合ってるんだと思った。

だから今更とは思うが正確なことを聞いてみたのだ。

流香は私から視線を逸らし

「………えっと…」

少しバツが悪い顔をしたので

「はぁ?何?違うの?もっと後?」

私は少し驚いた

だってあんなにいい雰囲気だったのに付き合ってなかったの?

マジで?信じられん?

え?じゃあいつから付き合い始めたんだ?

後ろの流香は目線を斜め下に向けて

「…ごめんなさい。3年生になる前の春休みからです…」

謝罪の後に真実を教えてくれた

こいつ…

つまりもう1年以上の付き合いとゆうわけか…

何でだか腹が立ったので

「…………ハナさん?」

私に敬語を使う流香に

「帰りに……アイス奢れよ…」

冷静に不機嫌な声でアイスを要求した


音楽室に着き、中をこっそりと見るとヒロと優希が音楽の先生と話していた。

どうも吹奏楽部で使う楽器の値段を聞いてるみたいだけど、

ヒロも優希も値段を聞いて渋い顔をしている。

そんな2人を見て私は

「吹奏楽部に行くのは難しそうだね~これはチャーンス、よし流香!入るか!」

にやりと笑い音楽室の扉を開けようとすると流香に止められた

何で?と聞くと

「ここで私達が入ってヒロ達を誘えば昨日のハナみたいになるでしょ?

そうすると先生も困るし…私も困るから…4人で話せる場所を作ろうよ」

「お~ぅ、なるほど、分かった分かった」

確かに流香の言うとおりだな…ガク君のことを先生の前では言えないか…

私達は自分の教室に帰った



そして放課後になり、またヒロ達の教室に行こうとしたら流香が私を止めた。

「ハナ、ちょっと待って…」

「ん?何?」

「ヒロ達の説得のことなんだけど…ちょっと遠まわしに言ったほうが

いいと思うの。ストレートに合唱部を作らない?って昨日ハナに

私は言ったけど、やっぱりあの2人も抵抗があるだろうから、まずは

何部に入るつもりなの?って聞いて、それから合唱部は練習がキツかったけど

何だかんだで楽しかったね~って言って、それからみんなで合唱部~~

みたいな流れで行ったほうがいいと思うの…」

流香が私に長々と提案をしてくるので

「ん~よく分からないけど分かった…まぁ説得は流香に任せるよ」

そう言い私がヒロ達の教室に再び向かうと

「昨日みたいなことになるのは本当に勘弁だから…」

沈んだ声が私の背中に当たった

どうやら昨日の私とのやり取りが軽くトラウマになってるらしい



しかし私達がヒロ達の教室の前で2人を捕まえて

「ねぇ、2人って今時間ある?よかったら俺達とご飯食べに行かない?」

ナンパする感じで話しかけて私とヒロと優希の3人でふざけた後、

流香が2人に本題の部活の事を聞くとヒロが

「部活?私は吹奏楽部で…優希は?」

と言って優希にも聞くと

「私も…吹奏楽…部…かな?」

予想通りの答えが返ってきた

よしよし、ここまでは流香の予想通りだ

この後に流香がさっき打ち合わせた通りに合唱部を作ろうと思ってると

言って、その後…え~っと、2人が合唱部に入る訳か……じゃあ……

流香が私に言ったことを少しだけ忘れていたけど、私は流香との

打ち合わせを実行するため、何にも言わないことにした。

私が説得しようとすると合奏部を一緒に作ろう!と直球で言っちゃうからな~

なんで流香は上手に説得することができるんだ?

私が手を頭の後ろで組み、流香について考えるとヒロが

「流香とハナは?良かったら一緒に吹奏楽に入る?」

と聞いてきたので

「合唱部だよ~」

まだ作ってもいない部活の名前を出してしまった。

すると流香が私の肩を少し恐い顔で掴んで

「な、何で普通に言ってるの!?遠まわしに行こうって言ったでしょ!?」

そ、そうだった!言っちゃいけないんだった!

「ごめんごめん!聞かれたからつい!」

慌てて流香に謝り、ヒロと優希の方を見ると

「合唱部って…何で?」

「合唱…部…」

2人とも顔がかなり暗くなっていた

うわぁ~~、やべぇ…

ど、どうしよっか?…ごめん、流香…

「何で?何で合唱部に入ったの?つーか合唱部ってあった?

部活説明会の時に聞いた覚えないんだけど…」

ヒロが流香に怪訝な顔をして聞いた。

そりゃそんな顔するよね…どうする?流香?

チラッ、と流香を見ると困った顔をした流香が

「…えっとね、合唱部は無いの。正確に言うと今年で廃部になっちゃった

らしいの。部員がみんな卒業したんだって…」

そう言ってヒロ達を説得し始めたが、ヒロは流香の言葉を疑ったので

「でも何だかんだ言っても結構楽しかったじゃない?

かなりキツイ練習だったけど、そのおかげで大会でいっつも優勝してたよね?

で、優勝するとみんなすごーく喜んでたじゃん?やったー!って…

それを高校でもまたやってみたいな~と思って。」

流香の言葉に私もヒロも優希も、中学の時のことを思い出した。

そうだった…毎日が練習でキツかったなぁ~

顧問が私達をぶっ倒れそうになるまで練習やらせるから、ホント大嫌いだった

けど、私達が大会で優勝するとみんなと一緒に泣いちゃって…

やった~って言いながら泣くから、先生かわいいな~ってからかって…

部長が優勝トロフィーを貰って、先生にはいっ!と渡すとまた

ボロボロ泣いちゃって……だからなんか憎めなくて……

練習が辛くって…キツくって…もう嫌だって何度も…何度も思って…

でも楽しくって…優勝したらものすごく嬉しくって……

辛かったけど大事な…たった半年前の、でも遠い思い出を懐かしんでると

「練習も朝から眠かったね…しかも休み無しだったから余計にさぁ…」

「うん…しかも…成績落とすと怒られるから…授業中に…寝れなかった」

ヒロと優希もたった半年前のことを懐かしんでいた。

朝練があったから私も授業中に眠たかったっけ…てゆうか寝てたっけ…

「私は結構寝てたよ?だから流香によくノート借りてた」

ヒロの言葉に優希はむ~、とふくれっ面になり

「ヒロずるい…私は借りる相手…いなかった…ハナ…字汚いから」

何故かノートを借りれない理由を私の字のせいにしやがった

「うるさいよ優希!一言余計だよっ!!」

と優希を怒った後、みんなで中学の時のことを話し合った。





2時間も…





そして窓の外の夜空を見て流香が「帰ろっか…」と提案したので

「「「うん…帰ろっか…」」」

3人で同じ返事をして学校を出て、駅のホームで私とヒロの電車を待って

いる時に流香がヒロに

「じゃあね。ハナとヒロ。ヒロ…考えといて?合唱部のこと…」

「分かったよ。なるべく前向きに考えるよ。じゃ~ね。」

「じゃあね~流香と優希。バイバ~イ」

そう言って私とヒロが電車に乗って、電車が走り出すとヒロが

「はぁ~高校でもまた合唱部か~」

少し考える素振りを見せたので

「まぁいいじゃん…流香の言うとおり何だかんだで良かったでしょ?」

と尋ねると、ん~と言いながら私を横目で見ながら

「まぁそうだけど……てか、あんたはよくOKしたね?何でよ?」

「だって流香がガク君に言われたから…げっ!」

やばい!言っちゃった!!

流香に内緒にしてねって言われたのに、やべっ!

私が慌てて自分の口を押さえるがもう遅かったみたいだ

「は?何よ?流香がガク君に言われたからって、何を?」

ヒロに追求されてしまったので

「んーん!何でもない何でもない!何にも言ってない!」

手を振り慌てて誤魔化したが、ヒロは私に詰め寄り

「誤魔化そうとしたって無駄よ!あんた嘘つけないでしょ!?言いな!」

鋭い目で私を睨んだのでタジタジになった私は観念して

「わ、分かったよ…私が話したことは流香には秘密にしてね?」

ごめんね流香……正直者の私を許してくれ…

流香から昨日聞いたことをヒロに全部話してしまった。





全部を聞き終えたヒロが

「…そうなんだ…ガク君とはこれから全く会えなくなるから…」

「…うん、だから…2人を応援するためとゆうか…なんとゆうか…」

2人で流香とガク君の状況にちょっと切なくなった

「はぁ~流香も水臭いな~話してくれれば合唱部を作ることに二つ返事

だったのにさ~、まったく…」

とヒロがため息を吐きながら少しだけ怒った。

いや、口ではそう言うが本当は怒ってないのだ。

本当はヒロも流香とガク君のことを…2人の仲を想っているのだ。

そんな本当は優しい友に

「だからヒロ…合唱部作ろう?」

お願いしてみると

「分かったよ…合唱部…作るか…」

優しく笑いながら答えてくれた。

だから流香の代わりに…流香のように喜びながら

「ありがとうヒロ!嬉しいよ!」

「なんであんたが喜んでんのさ?まぁ、さっきの話は優希にも話しなね?

そーゆー理由があるんなら教えたほうがいいでしょ?」

「え?で、でも…流香には内緒にしてねって…」

私がうろたえると

「もう私には話しちゃったのに何言ってんのよ?優希にだけ話さないわけ

にはいかないでしょ?優希だって心配してるんだよ?

ほら、ガク君が遠くの学校に行くって決まったとき流香から聞いたじゃん?

遠くの学校にガク君が行っちゃうから寂しい…たまにしか会えなくなる…って、

流香少し泣きながらさ…でも、流香ってあんまりガク君とのこと話そうと

しないじゃん?だから私も優希もずっと心配してるんだよ…」

目を伏せ少しだけ悲しみの声でそう言われたので

「…そうなんだ……うん、分かった…優希に後で電話するよ」

そう言い、私が降りる駅についたので電車から降りてヒロと別れた。


その夜、自分の部屋で優希に電話した

「もしもし優希?私だよ、ハナ」

 『うん…何?ハナ』

「あのさ…合唱部のことなんだけど…」

 『合唱部が…どうかしたの?…私は一緒にやるの…別にいいけど?』

基本無口で独特のしゃべり方の優希は感情が読みにくい。

でもはっきりと自分の意見を言うので、別にいいとゆうのは本当だろう…

本当に一緒に合唱部をやってくれる気でいるのだ…

だからもう言う必要が無いのだけど、ヒロの言う通り優希にだけ秘密に

するのはいけないなんだろう…

ヒロの言う通り、優希だって流香とガク君のことを心配してるのだろう…

だから、 

「実はね、流香には内緒にしてって言われてたんだけど…」


合唱部を作る本当の理由を優希に話した



全部を聞き終わると優希は

 『そう…文化祭でガク君に…歌を聞いてもらうため…』

いつもと同じような返事をした

「うん、だから私も一緒に合唱部を作ろうと思ったの」

 『うん…分かった…そうゆうことなら…頑張る…よ』

淡々と頑張ると言われてしまった…けど

「うん、ありがとう優希…嬉しいよ」

 『じゃあ…ヒロに言っとくね…ハナから聞いたって』

「うん、お願いね…おやすみ」

 『おやすみ』

そう言って電話を切り

これで…4人揃った…

あと1人…あとはサキだけだけど…

サキ…やってくれるかな?

う~ん…やってくれなさそうだな…サキ、練習とか相当嫌がってたからな~

う~~~ん…どうしよう…アイスで釣るか?う~~~ん……


最後の1人、サキをどうやって合唱部に誘おうかな…と色々と考えて、

まっ、流香がなんとか説得するでしょ…

そう結論して

風呂入って寝るか…





30分ぐらい風呂に入って眠りについた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 過去巡り 外伝 花の祝福その2

過去巡りの花の祝福のその2です。

合唱部のみんなの名前はルカに合わせてみんな2文字です。

閲覧数:42

投稿日:2011/11/25 14:25:36

文字数:5,268文字

カテゴリ:小説

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