「リン。本当にゴメン。」
気が付くと、レンは飾りもなしに正直な言葉をリンにぶつけていた。
思い返せば、今日のリンは全然おかしなところなんてない。
レンのことをからかったり、天然だったり、一緒に競ったり、怒ったり・・・
みんないつものリンの姿だ。
ただ、それに気づけなかった自分が一番変だったんだ。
・・・リンのことを「本当の意味」でカバーできていなかったんだ。
リンはレン、レンはリン。それだけで勝手に一緒だと思っていた。
どちらかが離れれば、絶対に一人なのに・・・2-1は1なのに・・・!
なのに・・・っ!
「なんで謝るの?レンはなにも悪いことなんかしてないよ?」
「じゃあリンはオレがいなかった間さびしくなかったの?」
「っ!・・・そ、それは・・・」
図星のようだ。
レンだって、リンがいなくなったらさびしい。リンの声が聞こえないところにずっといたのだから。
もっと早く気づいてあげればよかった。リンを一人にしている間レンは長時間にわたる移動と歌を歌うことで疲れきっていた。もともと疲れを感じないVOCALOID、でもそれはあくまで「完全」であるときに限られる。リンがいないレンはただエネルギーを消耗し、帰ってきたときはほぼ衰弱していた。きっとそれはリンも同じだろう。VOCALOIDがリアルで得た食べ物から得られるエネルギーは電子の世界にいるとき得られるものの約100分の1。マスターのパソコンはノートではないので持ってくることは不可能。
だけど、気づいてやりたかった。いくらボロボロでもリンのことを思ってやりたい。どんなことからでもリンを守ってやりたい。
それなのに、こんなつまらないことでリンをさびしくさせるなんて。
「リン、一人にしてゴメン、気づいてあげられなくて本当にゴメンね。」
これが、レンの本当の気持ち。いま自分が見つけることが出来てリンを納得させることが出来ると思う最上の言葉。
コンピュータに選ばせたワケじゃなく、レン本人が自分で選んだ言葉。
「う、う、レンのバカーーーッ!」
そういいながら、リンはレンに飛びついて、そして思いっきり泣いた。
「遅すぎだよ!いつ気づくかと思って・・・ずっと、待ってたんだから。」
「リン、本当にごめん・・!」
リンを抱きしめてやる。ここ数日伝えられなかった思いの分だけ、うんと強く。
気が付けば、レンも泣いていた。リンの強い思いが自分にも流れ込んでくる。
二人の思いが一つになる、そんな瞬間だった。
コメント0
関連動画0
オススメ作品
始めようこの世界を
照らす6本の放物線
見えるでしょ?
WE ARE "SHOOTING STARS"
今日は何があったの?何でも聞かせて
君のこともっともっと知りたいよそれって変かな
ずっと待ち続けた雲が晴れる瞬間は
今この時鐘が鳴り響く
トビラ開けて勇ましく
踏みしめて力強く...SHOOTING STARS
めろくる
「彼らに勝てるはずがない」
そのカジノには、双子の天才ギャンブラーがいた。
彼らは、絶対に負けることがない。
だから、彼らは天才と言われていた。
そして、天才の彼らとの勝負で賭けるモノ。
それはお金ではない。
彼らとの勝負で賭けるのは、『自分の大事なモノ全て』。
だから、負けたらもうおしまい。
それ...イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
ゆるりー
chocolate box
作詞:dezzy(一億円P)
作曲:dezzy(一億円P)
R
なんかいつも眠そうだし
なんかいつもつまんなそうだし
なんかいつもヤバそうだし
なんかいつもスマホいじってるし
ホントはテンション高いのに
アタシといると超低いし...【歌詞】chocolate box
dezzy(一億円P)
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
その時
胸がズキンと痛んだ
心では聞きたくないと思いながらも
どんな人なのと聞いていた
その人は僕とは真反対のタイプだった...幼なじみ
けんはる
Biginning
いつまでこんな場所で座り込んでいるんだい?
もうそろそろ前に進まないか?
怖がることは無い 乗り越えていくんだ
その足を一歩踏み出すだけで良い
現状に満足できてないんだろ?
自分で何かを変えてみないか?
怖がることは無い 乗り越えて見せろ
その拳を空に突き出せば良い
そろそろ行か...Biginning
カピモドキヌー
*3/27 名古屋ボカストにて頒布する小説合同誌のサンプルです
*前のバージョン(ver.) クリックで続きます
1. 陽葵ちず 幸せだけが在る夜に
2.ゆるりー 君に捧ぐワンシーンを
3.茶猫 秘密のおやつは蜜の味
4.すぅ スイ...【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
ayumin
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想