ガチャ…
「あなたは歌っていないのですね…」
僕は扉を開けて、周りを一通り見渡した。この部屋はまるで病室のように真っ白で、とても静かだった。そして、この部屋の唯一の家具であるベットに座っている僕よりかなり年上に見える青年に僕は言った。
ここに来るまで5人のレンとあってきた。部屋にいたのは1人ずつで皆『レン』という名前で、歌を歌っていたのだ。それを考えるとこのベットに腰掛けている青年もレンという名で、歌っている可能性が高かった。しかし、青年は歌を歌うどころかかすれて聞き取りにくい声でこう言ったのだ。
「そう、僕はレンという名だ。それに、ちゃんと歌っている…」
そういった後、6番目のレンは右手で左胸を二度叩いた。
しばらく沈黙が続いた。6番目のレンは自分から話そうとはしない。まるで、僕から話させようとしているかのように…拒絶するでもなく、手繰り寄せるでもなくだ。沈黙に耐え切れなくなった僕は自分から切り出すことにした。
「どういうことですか?ここでって?」
僕はレンがしたように左胸を軽く叩く。
「おしまいが近いんだ…」
「えっ!?」
僕は6番目のレンに聞き返す。
「僕の歌も僕達の旅もってことさ、僕の喉は役に立たない程にかすれてしまった。もう使い物にならない。」
確かに、レンは話すだけでも辛いようで、喉に手を当てて顔をしかめた。
「それに、もう時間のようだ。さよなら僕。」
ほんの少し話しただけ…たったそれだけでも6番目のレンには限界だったらしい。彼は最後に僕の名を呼んで薄れていった。彼がいなくなったことが関係あるのだろうか?病室のような部屋がよりいっそう静かになったように感じた。
そんなことよりも、僕には6番目のレンの最後の言葉のほうが重大に思えた。
「レン。」
静かな部屋に静かにつぶやかれたその声は、ひときわ大きく反響した。レン僕は6番目の僕から伝えられた自らの名前を再び反復する。僕も6人のレンと同じ延長線上に存在する存在?
考えがそこまでたどり着いたとき、ベットの脇に扉が現れた。僕は今度ばかりはこの空間から出たくなかった。静かで、不気味で、他人のテリトリーだったところだが、少なくともここにいる間は、自分について考えなくて済むのだから。あの扉をくぐってしまったら後には戻れない。なぜだかそんな気がしたのだ。しかし、運命はそれを許してはくれなかった。
まるで、空間が僕を押し出すかのように僕は扉へと向かわされてしまった。そして、僕はとうとう扉の取っ手に手をかけてしまった。
僕―7番目の僕⑥―
mayukoさんの7番目の僕(http://www.nicovideo.jp/watch/nm10697814)を勝手に小説にさせて頂きました。
検索してみると、この曲の小説書いてるの僕だけなんですね(^o^;)
嬉しい様な、悲しいような…
さて、この小説もいよいよ次回完結予定です。(まっ、予定が狂うのはいつものことだけどね(笑))
続きはこちら(http://piapro.jp/t/v8w-)
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ご意見・ご感想
弧月葵
ご意見・ご感想
ふと来てみたらUPされててびっくりしました(笑)お疲れ様です!
7番目はどうなるんだろう、もしかして・・・と思っていたので続きがすごく気になります。
2011/04/29 06:26:23
Raito :受験につき更新自粛><
ありがとうございます!
7番目についてはほとんど構想は出来上がっているので、文にするだけですね(^o^)
ただ、その作業が一番大変なんですが(笑)
2011/04/29 20:00:33