何の為の配管
何が流れるパイプ
考えたこともない

割れたはずみ車
青錆びまみれの蒸気タービン

冷えたボイラに群がる朝顔
石炭を匿う薄い苔

心の芯の観覧車
ゆっくりゆっくり動いてる
ゴンドラの中 歯車の音
聞きながら意味を問う

赤錆朽ちてく観覧車
空からボルトが落ちてくる
ゴンドラに響くモーターの音
聞こえないふりをした

そびえる柱 煙突神殿
神の炎 神の吐息
どれも荷が重すぎる

警報が鳴る踏切の
腕は途中で折れている

枕木から目覚めたシロツメクサ
線路は溶鉱炉に続いていた

水滴滴る観覧車
ゴンドラはゆっくり霧の中
潤んで周りが見えなくなった
瞼を閉じて息を吐く

何も見えない観覧車
硝子の気球を飲み込んで
ゴンドラに響いた咳き込む音
口から油を吐き出した

ヒマワリ畑の地下溶鉱炉
回れ右の集団行動
もう溶かす鉄なんて何処にもないのに
その熱量は鋼（はがね）とヒマワリに

もうすぐ頂上観覧車
ゴンドラの扉を静かに開けて
要らない部品（からだ）を置き去りに
手には小さな花束を

遠ざかっていく観覧車
眼にいっぱいの夕焼けに
綺麗と思えるこの心は
数式が示す解答（こたえ）なのか

Machina Flos