#96「名前」



僕とリンちゃんは、孤児院に帰って来た

僕らが玄関に入ると、雪崩のようにながれてくる義弟妹たち


「おいしゃのおにいちゃん!おかえり!」

「まいおねえちゃん、どこにいってたの?」

「かいと、おみやげは?」


群がってくる子供たちに、僕もリンちゃんも、もみくちゃにされ、立ち往生してしまった



「あらあら、やめなさい。カイト君たちが中に入れないでしょう?」


その状況を助けてくれたのは、聞きなれた優しい声


「シスター!首都から帰ってきてたんですか?!」

「ええ、今日の朝に到着したのですよ。カイト君が戻ってきてくれて本当によかったわ」


そういって、おほほと笑うシスターはとても嬉しそうに見えた



「あの、ミクとレンの姿が見えないんですけど……どこにいるか知ってますか?」


僕はあの二人に帰って来た事を早く伝えたかった


「レン君は、近くの店におつかいをたのんだの。ミクちゃんは……外で洗濯物をほしてるんじゃないかしら?」


シスターはそういって、義弟妹を自分の周りに集めた

さすがに慣れている……あれだけの数の子供たちを優しく包み込むかのようだった




「じゃぁ、僕らはミク達に会ってきます」


シスターが頷くのを確認すると、再び、僕らは外に出た




すると、目の前にちょうどおつかいから帰って来たレンが僕らを見つけた

レンは走ってきて、僕の顔をじっとみていた


「レン、ただいま」

「あぁ……」


なんか機嫌が悪いような……


「マイ、大丈夫だったか?ミク姉がお前を助けにこいつが森に行ったって言ってたからよ」

「うん!大丈夫です!ほら!」


リンちゃんが腕をぐるんぐるんまわして元気とアピールする


「そうか、それはよかった」


その時、レンが笑った

レンが自然に笑うのを見たことがなかった僕は、それがとても珍しい事のように思えた

そして、レンが僕の視線に気づく


「なんだよ……?俺に一言も言わずに出て行ったくせに!」

「あぁ!それで機嫌が悪いの、がっ!」


僕が納得するのと同時に、レンの蹴りが腹に入る

しまった……声に出してしまった……


「今度から気をつけろよ、カイト」


レンがそう言って、玄関から中に入って行った


「ふふ、やっぱり、2人は仲がいいですね?」


リンちゃんが笑っていた


「はは……まぁ、レンからは好かれてないと思うけどね」

「あれ?気づきませんでした?今、レンさん、カイトさんのこと「カイト」って呼んでましたよ?」


あ……言われてみると……


「レンさんは信頼していないと名前で呼ばないんでしたよね?」


そうか……

はじめてだった

レンに名前を呼ばれたのは……

僕は素直に嬉しいと感じ、レンとの距離がすごく近くなったような気がした




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

妖精の毒#96

遂に!遂にレンに認められたカイト!

次回、ミクちゃんのもとへ!

閲覧数:703

投稿日:2012/12/16 09:23:42

文字数:1,202文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    ああああああ!!!!!!!!
    やばいやばいやばいっレンカッコイイ!!!
    かっこよすぎですよう><

    そしてカイトよりリンちゃんのほうが大人っぽい……w
    そこがいいところですけどねw

    2012/12/16 09:30:15

    • しるる

      しるる

      レン君……もうちょっと出番あげたかったんですけどねwww

      リンちゃんは大人っぽいですよw
      一人の時期があったので、以外としっかりしている……と思いますw

      2012/12/16 09:36:12

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