二人が吉原に来て一週間が過ぎた。
「きょう・・・これ、きょう!」
花魁・巡音は、新しく禿となった二人に新しい名を与えた。
「花凜、貴女の事よ」
美久が小声でそう言って、ぼぅっと宙を見つめる花凜を突く。
「あ、はい! 失礼しました、おいらん」
「違う」
己の失態に気付いた花凜は「またやっちゃった」という顔になって、姿勢を正した。
「あい。失礼いたしんした、おいらん」
「よろしい。きょう、りょく、化粧をするから用意して」
きょうは花凜の、りょくは美久の禿としての名だ。
「「あい、おいらん」」



禿の仕事は多い。
掃除、花魁の使い、細々とした手伝い。
そうして遊郭の世界を見て、いずれは一人前に客を取る遊女となるのだ。
そのためにはさらに勉強を積む必要がある。
お茶やお花はもちろん、漢文もすらすらと読めねばならない。
遊女の最高位の太夫には、男顔負けの教養も必要だからだ。
きょうとりょくは得意分野が綺麗に正反対で、巡音はいっそ見事と二人を笑った。
笑って、泣いて、大人の階段を昇って。


やがて時は流れて、二人の禿卒業と、花魅巡音の身請けの日がやって来た。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【ひとしずくPオリジナル】雨夢楼・4 ~引き込み禿の二人~

すいませんすいませんすいません!
正月に続きを頼まれておきながら書いたのが3月ですいません!

あの地震から1年が過ぎました。
被災地の一刻も早い復旧をお祈りします。



そして、今週の土曜日は私の17歳の誕じょ(ry
・・・なんでもありません。
これから零奈も受験生になるので、更新率は下がると思われます。

閲覧数:654

投稿日:2012/03/14 18:52:03

文字数:484文字

カテゴリ:小説

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