6月ハーモニー 未来音符 そのいち



私が5月の初めの頃に、合唱部を辞めて演劇部に入ってから一月が経った。

だから今は6月。

そして制服は衣替えの時期で、長袖から半そでになった。

まぁ私は長袖のほうが好きなんだけど…

だって半そでは何か……落ち着かない…

私は演劇部の部室の机にぐで~と寝そべりながら、長くならないかな…と

自分の袖を伸ばせないかと無駄に引っ張った後、窓の外を見る。

今はもう授業が終わり部活の時間になっているが、

ザアァァァ…

黒に近い灰色の曇り空が雨を降らせているため、野外でやる部活は

サッカー部…やってないや…あ、あと野球部も…

ほとんどが体育館や校舎内で活動し、もしくは休みとゆうことになっている。

ザアァァァ…

サッカー部はどこで練習してるのかな…って、どーでもいいか…

視線をグラウンドから遠くの灰色の空に上げて…

空を見るとゆうよりは、ただぼんやりと窓の外を見ると言う感じで…

ザアァァァ…

私が机に寝そべりながら、ただ何となく外の雨を見ていると

「まったく、雨って嫌になるわね~」

腕を組みながら演劇部の部長で友達のサトミが話しかけてきた

「そう?私は雨って結構好きだよ…」

サトミの方を見ずに返事すると

「何でよ~?だって雨が降って、さらに梅雨の季節なのよ?

そのせいで毎朝髪が爆発してて大変なんだよ?こうボワ~って感じで広がって、

普段の2倍ぐらいまで広がっちゃう感じなの。

しかも私の髪ってかなり頑固だから直そうとしてもなかなか言うこと聞いて

くれないのよ~だからセットするのに30分ぐらいかかるし…

ただでさえ朝は時間が無いのに…だから雨って私は嫌い!もう~嫌!!

ミクは朝、髪とか平気なの?」

話してる間、サトミは演劇部らしく髪の広がりを手で表現した後、怒った。

そして私のツインテールの片方をそっと持ちながら聞いてきた。

「ん~私は特には大変なこととかって無いよ?

私はお父さんの髪質を受け継いでて、そーゆーことって今まで無いんだ~

でもお母さんは大変だよ。いつも洗面台で髪がまとまんない~~って泣いて、

私にミク~~髪セットして~~って泣きついてくるの…雨の日は必ず…

だから私がお母さんの髪をセットする大変さはあるかな…しかもお母さん、

私の髪を見ながら何でミクの髪質はパパのなの~?ずるい~~って、

なぜか私に怒ってくるのよ…困ったお母さんでしょ?」

母親なら自分の苦労を子供に味あわせないようにするものなんじゃないの?

私がお母さんの髪質を受け継いだら母娘で大変じゃん…

だからお父さんの髪質を継いで良かったね~と言うべきでしょ?

サトミにサトミとは違った苦労を話すと

「いいなぁ~やっぱり髪質のせいなんだよね~どんなスプレーとか

使ってもやっぱり髪が広がっちゃうからさ~いいなぁ~サラサラ…」

私の髪を羨ましそうに触って、自分の少しクセがある髪を引っ張りながら

「ホントいいなぁ~母さんはなんで私をサラサラヘアーで産んでくれなかった

んだ!?くそぅ!!」

サトミは演劇部っぽく大仰な感じで悔しがった

「いやでも、冬とかは結構大変だよ?静電気がバチバチッ!って」

「あ、そうなの?そんなにバチバチするの?」

サトミは私の髪で遊びだしている。

片方のテール?を解いて三つ編みにし始めた。

「手櫛で整えるだけでバチバチ言って顔にくっつくし、人が触れば痛っ!って

言われて恐がられるし…」

「どんだけ強い電気を放ってんだよ!?」

「だから静電気を抑えるスプレーとかしてるんだけどね…それでもあんまり

意味ない感じだからさ~」

「ふ~ん、サラサラも意外と大変なのね~」

「うん、だから髪を切ろうかな~ってお母さんに言ったらヤダ!!止めて!!

ミクは長いほうがいいんだから切っちゃ駄目!!お母さんの一生のお願いよ!!

切るんだったら私を倒してからにしなさい!って訳分かんないこと言うから、

分かったよ切らないってことに昔なったことがあるの…」

中学1年の時の冬に、髪が長いせいで静電気がバチバチと酷かったため、

私がもぉー嫌!!って思ってお母さんに言ったら止めて!!お願い!!

って私に抱きついてきたことがあるのだ

それから髪を短くするはできなくなったのだ。

まぁ長い髪の自分は嫌いじゃないけど…洗ったりするの大変だし…

洗ったら乾かすのも時間かかるし…長いから電車とかで引っかかって

痛い思いを何度もしてるし…正月とか、親戚のクソガk…

正月とか、親戚の可愛い子達に引っ張られて痛い思いもしてるし…

友達からはサトミみたいに長くて綺麗~と言われるけど、結構大変なんです…

だからリンちゃんぐらいの短い髪にちょっと憧れています。

そんなリンちゃんをチラッと見ると同じ学年の子と

「私って長い髪も似合ってない!?あっ!ミク先輩どうです!?」

劇で使うカツラを被ってはしゃぐリンちゃんと目が合ったので

「あ、結構…似合ってるね…大人っぽいよ」

素直な感想を言うと

「本当ですかー!?わーい!私もミク先輩のように髪伸ばそうかなー?

後でレンにも聞いてみよ~あっ、サトミせんぱーい、これ借りていいですか?」

キャイキャイはしゃぎながら、サトミにカツラを借りることを聞いている

「まぁいいけど…絶対に壊したりするなよなー」

「はーい!絶対に壊しませーん!」

そんなどこか嬉しそうなリンちゃんを見ながら

髪の短い子ってやっぱり長い髪に憧れるのかな~?

あっ、でも友達の子は短いままでいいや…長いのは疲れそうって言ってたし…

人それぞれなのかな?

う~~ん…

そう女の子の憧れの髪の長さを考えているとサトミが

「じゃあ今日はこの辺で帰りましょっか?」

サトミは私の片方のテールを三つ編みにし、さらにそれで輪っかを作った。

しかも普通は三つ編みを耳の後ろ辺りからやるんだけど、

サトミはちょうどテールが始まる耳の少し上からやりやがった。

だから輪っかが私の顔を覗く丸い窓のようになっている。そんな

片方のテールはそのままで、片方は輪っかとゆうかなりイミフな髪型をした

私と演劇部のみんなにそう言った。

「そうっすね~」

「は~い」

「ん~じゃあね~」

「ミク先輩?何すか?その髪型」

それぞれ返事をしてみんなが部室を出て行ったら

「サトミ先輩!ミク先輩!一緒にメゾールに行きませんかー?」

リンちゃんが駅前のショッピングモールに行こうと私達を誘うと

「そうだね、行くか…ミクはどうする?」

サトミがOKして私に聞くてくるが

「いいけど、サトミ…まずこの髪を直してよ…」

サトミにおかしくされた髪を揺らすと

「え~?そのままでいいんじゃない?結構いいと思うよ?」

そう言ってリンちゃんと部室を出て行ってしまったので

「誰が見ても変でしょ…片方はそのまま下ろしてて、

片方がリース(クリスマスの直径40cmぐらいの輪)みたいになってるじゃん」

自力で髪を解きながら廊下に出て、2人の後を追うと

「痛てててっ!!絡まった!助けてサトミ!!」

髪の毛が絡まってしまって、うつむいてしまうと

「あぁ~ちょっと待って!いま解くから!」

前を歩くサトミが痛がる私に近づいて髪を解き始めた

「動かないでね~まずは上を止めてるこのゴムを…」

「ちょ!痛い痛い痛い!!もうちょっと優しくやってよ!!」

頭を下げて見えないが、前にいるサトミの体のどっかを掴んでそう叫ぶと

「優しくやるから胸を掴むんじゃねぇー!!!」

どうやら胸を触っていたみたいだった

「私と同じぐらいか…」

「うるさいよ!!」



そしてリースになっている髪が三つ編みで下ろされると

「ん~じゃ、メゾールに行きましょっか…」

「は~い」

髪を解くのを止めたサトミとリンちゃんが歩きだしたので

「いやいやいや、これも解きなさいよ…」

三つ編みを指差してサトミにそう言うと

「え~?何でよ~?」

振り返って面倒くせ~とゆう顔で言ってきたので

「何でよ~に何でだよ!って言いたいよ!なんでここで止めるの!?」

「え?いけない?」

「あたり前でしょ!?これもおかしいでしょ!?なぜ止める!?」

サトミは目を逸らしてかなり不満げな声で

「別に~胸を触られたことに怒ってるとかじゃありませんよ~」

どうやらさっきの事を怒っているみたいだ

「あれは不可抗力だし…早く解きなさい!」

そう言って三つ編みをサトミに向けると

「あ、ミクちゃんだ…」

後ろから男の人に名前を呼ばれた

「へ?」

声の方に振り向くと

「うぇ、海斗先輩…」

サッカー部専用のバッグと鞄を持った海斗先輩がいた

どうやら部活が終わった後らしい

「人の顔見てうぇって言うの止めてくれない?ちょっとダメージがさ…」

苦笑いしながら私に話しかけてきた

「相変わらず細かいですね~」

私が海斗先輩に少し嫌味を含めて返すと

「いま帰りなの?てゆーか何?その変な髪形。ずいぶんと変てこだね…」

仮にも好きな子に対し変と言ってきた

本当にこの人は私が好きなのかな?

「気にしないで下さい…サトミ、早く元に戻して」

サトミに振り返りそう言うと

「いいけど…2人の関係について聞いていーい?」

私と海斗先輩を見ながらニヤニヤしながら聞いてきたので

面白がってるな、コイツ…

サトミをジト目で見ると海斗先輩が

「え~っと、俺はミクちゃんが好「先輩と後輩!以上です!!」

サトミの質問に素直に答えようとしたので、慌てて途中で切った

何考えてるんですか海斗先輩!!馬鹿か!!

海斗先輩にそう目で怒ると先輩が

「ちょ!そんな目で見ないでよ!」

「ふ~ん?でも海斗先輩ってサッカー部ですよね?接点がないよね~?」

サトミがさらに追求してきやがった!

するとまた海斗先輩が

「え~っとね、流香先輩って知ってる?俺は流香先p「つまりは流香先輩

から私の話を聞いて、私にサッカー部のマネージャーをやってと誘ってきた

ことがあるわけなの…合唱部のことは話したでしょ?

海斗先輩は流香先輩と子供の頃からの知り合いでよく話してたんだって。

それで合唱部のことを知って1人になった私に声かけてきたってわけよ。

なんかサッカー部はマネージャーが少ないらしいってことでね…

だから特に付き合ってるとかじゃありません!分かった?」

またも先輩の言葉を遮って大まかに説明すると

「でもさっきミクちゃんって呼ばれてなかった~?あれは何でよ?

仲良くないと下の名前で呼ばれないでしょ~よ?」

しつこいな~

しつこいサトミに苛立ちながら

「流香先輩が海斗先輩に話してるとき、私の事をミクって言ってたからよ…

分かったでしょ?はいっ!さっさと髪を元に戻しなさい!!」

怒って三つ編みをサトミに向けると

「なぁ~んか隠してるなぁ~まぁいいや…ほれっ」

三つ編みの先のゴムを外した。すると

「お、サイドテールってやつ?いいじゃん!」

先輩が片方を下ろした私に笑顔で言ってきた

っ!!サトミの前で止めてよ!ったく…

「……サトミ…早く元に戻して…」

うつむいて少し赤くなった顔をサトミに見せないようにして言うと

「へいへい…いま元に戻してますよ~」

サトミが手際よく髪を元に戻してくれて

「ほ~い、いつも通りミクちゃんで~っす!」

サトミに言われ、いつも通りの髪型になった私が顔を上げると

「そんでさ、さっきも聞いたけど、いま帰りなの?」

海斗先輩が私達に聞いてきたので

これからメゾールに3人で行こうとしてる…と言おうと思ったら

「はい。私とリンはメゾールに行くので、ミクは海斗先輩にあげます!」

はぁぁ!?

変なことを言ったサトミに詰め寄り

「は?なに言ってるのサトミ!?一緒に行くんでしょ!?」

そう言うがサトミは私を無視し、海斗先輩に

「海斗先輩は何かミクに用があるんじゃないですか?どーぞ~」

笑顔でそう言った。すると

「あ、ありがとう…まぁ用があると言えばあるし…」

えぇ!?マ、マジで!?

私が海斗先輩の言葉に驚いてると

「そうゆう事なんで、ミク、そんじゃ~ね。行こっか?リン」

サトミがリンちゃんと帰ろうとするので

「え?ちょ、ちょっとサトミさん!?」

サトミは呼び止めた私に

「ミク、用があるんだから聞かないのはさすがに駄目でしょ?

私達とはいつでも帰れるんだし~~ね?」

とってもいい笑顔で答えてくれた

「まぁそうだけどさ…」

それは結構困るんですけど…

「じゃ~ね~」

「ミク先輩、さよ~なら~」

私の内心を知らない2人は手を振りながら帰っていき

「…………」

「…………」

私と海斗先輩だけがその場に残った

2人っきりになるのは合唱部を片付けたあの日ぶりだ…

あの日から学校とかで会っても軽く挨拶をする程度で、話し込んだりとか、

2人で一緒に帰ったとかはしていない。そのせいか

ちょっと…緊張とゆうか…

気まずい…に近いのかな?そんな…感じで…

だから私は何も言えないわけだが、なぜか海斗先輩も

「…………」

何も言わなかった

そんな何にも言わない先輩の方を見ないで

「そ、それで…用って何ですか?」

緊張してるのをばれないように聞くと

「うん…とりあえず……帰りながら話さない?」

「あ……はい…」





1ヶ月ぶりに私と海斗先輩は一緒に帰ることになった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 未来音符 その1

6月ハーモニー 未来音符 その1です

ミクの三つ編みが見たい……いいイラストがあったら教えて下さい

閲覧数:80

投稿日:2012/08/30 00:03:33

文字数:5,660文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました