あのミクが恋をした。って言うと失礼かもしれないけど‥
友達の恋愛を見ていると幸せな気持ちになる。しかも初恋の場合は特にそうだ。
「私に出来る事なら言って!協力するよ」
自然と拳に力が入る。
「どうして協力してくれるの?」
まあ、恋愛に関しては皆無だったからしょうがない。
「ミクは私の大切な友達だもん。しかも初恋でしょ?応援したくなるじゃん♪」
「何か楽しんでない?」
「嬉しいの。友達の恋愛って好きだから」
ミクは終始首を傾げてた。
「だから頑張ってね!」
「うん‥」
一瞬ミクが不安そうな目見てきた。何か言いたそうだったが、口にしたら何かが壊れてしまいそうな、そんな目だった。
ミクと別れてバイト先のファミレスへ直行。電車で3駅の所だ。
よく制服が似合わないと友達に笑われるけど‥
私だって女の子なんだから!‥一応‥
着いて早々店長に呼ばれた。
「今日残業出来る?」
何でも1人欠勤らしく、深夜番が来るまでいて欲しいとの事。まあ、終電にはギリギリ乗れそうだから了承した。
バイト終わったのは良いが案外時間が無く、ギリギリ終電に乗り込んだ。
息が上がってるのを必死に抑え込みながらガラガラの椅子に座る。
「あれ‥?」
真正面に座っている男性がこっちを見て声を上げる。
「あっ‥」
「巡音さん‥だよね?」
「覚えててくれたんだ」
氷山君だった。
「隣、いい?」
「あ‥うん」
なんか緊張してる返事だった。
「あの時はミクをありがとう」
「いや‥そういえば何でミクは泣いたの?」
私とあなたに嫉妬してたから何てとても言えない。
「いろいろあるのよ」
「そういうもんかな‥? あっ、俺の方こそありがとう。ナイス嘘だったよ」
ナイスって‥
「ふっ‥ああ、あれね‥」
「笑うところあった?」
だって君の口からナイスとか意外すぎて‥
本当は明るい性格なんだろうな。人付き合いが嫌いって訳じゃなくて、苦手だけどしょうがないから付き合ってやってる程度なんだろうな。
「普段からそうやって接すればいいのに‥」
「どういう意味?」
「あっ‥いや‥」
つい心の声が漏れてしまった。
「まあ、今は大丈夫なんだろ?」
「ミクの事?今は元気だよ」
君に惚れたこと以外は多分ね。
「じゃあ私ここだから」 すっと立ち上がった。 少し遅れて俺もここだからとキヨも立ち上がる。
この季節でも深夜帯になると肌寒い。冷たい風が吹いてる中談笑混じりで歩く2人。
家も近いらしく、お互いそれを知った瞬間‥というかキヨが一方的に喜びに満ちた雰囲気を纏っていた気がした。
話が尽きない中、前方から男の3人組が歩いてる。片方はかなり酔っているのか、ふらふらとしながら謎の言語を叫んでいた。それを残りの2人が必死に抑えようとしているが、泥酔男に振り回されている様子だ。
そして嫌な予感だけは当たるものだ。泥酔男は私に体当たりしてきた。
「いたっ‥」
「ルカっ!」
意外と強い力で当たられてよろめく私をキヨが抱き締める形で受け止めてくれた。
「あっ、すいませ」
「おいてめぇ!ぶつかっといて何か言うこと無ぇのか!?」
抑えていた内の1人が謝ろうとしたら、血走った目をしながら泥酔男がそれを遮るように被せてきた。もう1人が泥酔男の肩を引っ張った。
「いい加減にしろ!
ホントにすいません。コイツすげー酔ってる‥!」
ドスッ!
その瞬間、そう言った男は泥酔男に背後から思い切り殴られていた。
キャッ!と反射的に叫んでしまった。泥酔男は私達に絡んで来た。
「‥んだよ!見せつけてんじゃねぇぞ!」
さすが酔っ払い。この状況で何故そう言う話なるのか。確かに私はキヨにしがみついててキヨが私を庇うように一歩前に出てる感じなんだが、明らかにお前に対する防衛手段なんだが。
殴られた男は余程の衝撃だったのか、完全に伸びている。それを見たもう一人はいい加減にしろ!と言い放ち泥酔男の腹に一発食らわせる。だが、元々体の作りが違うのか力が違うのか、泥酔男は平然と気味悪い笑顔を浮かべた。その瞬間、男の腹に全力の蹴りを一発。男は軽く吐血しながらうずくまる。
ついに泥酔男はキヨに迫ってきた。呂律が回ってなく、もはや言葉になっていない言葉をキヨに叫んでいた。
「ルカ、ここは食い止める。先に行け」
怒鳴り散らす泥酔男をよそに私に言った。
「そんな!キヨを置いていける訳ないでしょ!」
「俺なら大丈夫。早く行ってくれ」
「でも‥」
1人だけ逃げるなんて出来ない。この後キヨに起こる事がわかっているから。でも私に何が出来るの?
そうやって自分と葛藤していた時、キヨの言葉に救われた。
「俺を信じろ!」
その力強い言葉を聞いて、今までの葛藤が嘘のように、私は必死に走った。
‥キヨ、ごめんね‥
少し離れた公園のベンチに私は座っていた。目の前が家なのだが、今はキヨの帰りを待っていたかった。戻ろうとしたが、さっきまで感じなかった恐怖とあの時のキヨの言葉で動けなかった。
ずっと俯いている。何も思えない。ただキヨの帰りを待っていた。キヨに会いたかった。
しばらく涙をこらえながらぼーっとその場にいたら不意に声をかけられた。
「‥何してんの?」
そこには口から切れて吐血して、若干だが目も腫れて、服もボロボロのキヨがいた。
そんなキヨを見た瞬間、堪えていた涙が溢れ出した。
「キヨっ!」
気付いたらキヨの胸で泣いていた。時間帯とか、自分が今何歳なのか、そんな事考えず子供のように泣きながら背中に手を回す。
キヨは黙って私を抱き締めた。
少し落ち着いた私を見て、
「ルカ‥」と何かを決めたような声で私を呼んで体を離す。
顔を上げた瞬間だった。
「うっ!‥ん‥」
2つの唇が重なった。
「心配かけてごめん」
そっと唇が離れ、耳元で囁いた。
気付いてしまった。
― ‥私‥最低だ‥‥ごめんね‥ミク‥―
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