炎天下のとある日のこと。
ひとりの少年が呟いた。
「――どうかいっそ、連れてってくれよ」
≪ロスタイムメモリー 4【自己解釈】≫
シンタローはコノハによく似た黒い人間――黒羽と対峙していた。
「……どうした?」
黒羽に訊ねるも、彼は答えない。
黒羽は頭を抱えて、うずくまった。
そして。
彼の腰にある――拳銃を構えた。
それからは――とてもスローモーションのように事が起きた。
黒羽が構えた拳銃を見て、シンタローは咄嗟の行動で黒羽の頭を殴りつけた。
――拳銃の引鉄が引かれたのは、ちょうどその瞬間だった。
*
なぜ、僕はそんなことをしたんだろう?
「聞こえていますか……!」
そんな声も聞こえなくなっていた。
だが、その理由も彼には――解っていた。
*
「――どうした?」
伸太郎の目の前には、一人の女性がいた。髪は蛇で生きているらしく、蠢いていた。
「……私と一緒に行こうか。私といれば、『終わらないセカイ』を永遠に続けられるぞ?」
「――――」
「――どけ」
伸太郎の目の前には、シンタローが立っていた。
「……貴様っ、ここには居られないはず……!!」
女性の声に聞く耳を持たない伸太郎は、そのまま――目を見開いた。
とても、赤い目だった。
*
教室には、アヤノの姿があった。
伸太郎はそこに居た。
「……死んじゃった。ごめんね」
違う。
「『サヨウナラ』しようか」
違う。
君に言って欲しい言葉は、そんな言葉じゃない。
そんな言葉じゃ……ないんだ。
伸太郎はそんなことを――考えた。
だが。
アヤノは彼の目の前から――ゆっくりと消えていった。
*
「……やっとたどり着いたね、シンタロー」
シンタローも教室にたどり着いていた。
しかし、伸太郎の姿は見えなかった。
「あいつは……黒い……あいつはどこに行ったんだ……?」
「私にはわからないよ」
アヤノは首を振って、シンタローの首にマフラーを回した。
「……ここまで来てくれて、ありがとうっ」
「アヤノ……!」
彼女の笑顔を見て――シンタローは目を覚ました。
彼の枕元にあった時計は八月十五日の午前十二時三十三分になろうとしていた。
おわり。
ロスタイムメモリー 4【自己解釈】
コメント0
関連動画0
オススメ作品
Flights from Miami to Orlando (MIA to MCO)
Florida, known as the Sunshine State, is a haven for travelers seeking diverse experiences. Among its many...Flights from Miami to Orlando (MIA to MCO)
easypeasyfly
運命の歯車のなか 私たちは出会った
もし あなたに会わなかったら
そんな気持ちが胸を締め付ける
味噌汁用の袋を手にしたその瞬間に
恋は始まる
袋詰めされてた王子さま
「お味噌汁を、ね、いつも……おいしくつくってくれてて」
私はずっと気になってた その秘密
あったかくてまろやかで 少し渋みもあって
「...運命の歯車
mikAijiyoshidayo
職場の人に舌打ちされたことはあるかい?
自分の両親にがっかりされたことはあるかい?
特別にゃなれないとある日突然気づいたのかい?
取り柄のないクズだって生きてていいだろが
才能なんて幻想と高校辺りで気づいたのかい?
化け物みたいなやつがゴロゴロいると知ったのかい?
そんな中誰よりも頑張ってるやつを見...取り柄のないクズだって生きてていいだろが
hernia_ha_owaranai
カラオケに行ったり、ゲームコーナーに行ったり、メイド服を一緒に着たり……いろんなことをした。
けれど、それは全てヒビヤくんのためでもあった。だって、本当にダメな時は私が支えてあげる。
だから、いっそ……なんて言って諦めちゃ絶対にダメなんだからね。
「ねえ、一緒に進もう?」
一緒に『独りぼっち...オツキミリサイタル【自己解釈・後編】
aurora
フランク ミュラーは、時間操作の概念を完全に変えた革新的なモデルを生み出しました。
これまで、ど時計も常に普遍的な法則に従い、最後まで時間の経過を忠実に反映してきました。
今日の効率的でペース速い生活では、時間の重要性は分や秒から、10分1秒、100分1秒、さらには1000分1秒にまで跳ね上がって...「クレイジー タイム ゾーン」フランク ミュラー8883重要性は
tokeiaat
「ピニャコラーダ」
(Y)結月ゆかりパート
(I)IAパート
(W)二人パート
(Y)「愛してる」の言葉で何時だって
欲望の慰みにして
吐息混じりの歌声でそっと
縛り付けて染め上げて
(I)色違いの世界を重ねたら
間違いも怖くないと...【結月ゆかり&IA】ピニャコラーダ【オリジナル】
ねじ式
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想