☆*゜・。
学校では今日も天文部のミーティングが開かれていた。
とは言っても、話し合おうことなんて殆どなく、結局は今度の文化祭のときに使う押し付けられた装飾品の制作をしているのだが。文化祭はまだ先の一ヵ月後だというのに、こういうものを作るのが専門であるはずの美術部は、渋ってこの天文部に仕事を押し付けたのだ。
「天文部、やることないでしょ?」
といって。まったく不公平というものだ。大体、この学園で一番活動していない部活はどこかと聞いたら、美術部以外の生徒は胸を張って、「美術部」と答えるだろう。それに比べてやることはなくとも一応活動している、それもまったく関係のない部活に仕事を押し付けるとは何ということだろう。
「…ちょっと副部長、マフラーがのりでくっついてる」
「わっ!あー…」
スカイブルーのマフラーが気づかないうちに、紙の上に出しておいた糊の上にべっとりとくっついて、取れなくなっていた。
「あはは、副部長馬鹿ー!!」
「鏡音さん?」
嬉しそうに笑う鈴に芽衣子の視線が痛い。一向に笑いをとめようとはしない鈴の横で、怜が申し訳なさそうに謝っていた。
「ごめんなさい…」
「い、いや、怜の方でなく鈴」
「ごめんなさーい」
反省する風もなく言った鈴に芽衣子は言っても無駄であることに気がつき、深くためいきをついて海翔の席の隣に座った。
「大体、美術部の仕事を何故、天文部がやっているのです?」
「そりゃあ…」
部員全員が、ツインテールの少女へと目を向けた。その目はいつもよりずっと冷ややかで、呆れきったようなやる気のない目だった。
「ご、ごめんなさい…。だって、天文部にお仕事って言われたから…」
「…それなら事前に知らせるし、こんな仕事なら断るわよ…」
「ごめんなさい…」
つまりは未来が美術部員にだまされてこんな仕事を持ってきたということなのだが、これは未来の天然ぶりを表すものともいえる。こんなことが日常茶飯事なのだ。皆もすでになれ始めているのでとやかく責めることもないが、未来も毎回当たり前のように天然をぶちかましてくるので、そりゃあ驚くときくらいある。
「仕方ないですわね。…あと、いくつ作ればよろしいのかしら?」
「今、三十八個できてるので…。あと三十二個ですね」
「一応折り返し地点は過ぎているのね…。よし、今日中に終わらせてしまいますわよ!」
「おー!!」
ふと、怜は目の前にある窓へと目を向けた。
大きく育った青々と葉を茂らせる木々が二階の窓から見えている中で、普通は人影などあるわけはない。――普通は。
陽もくれ始めたころ、天文部員たちの安堵のため息が部室を通り抜けて廊下にまで響いた。
「おわ…ったぁ…」
「今日は解散ね。皆寄り道しないで帰っているように。私はまだ仕事があるから」
そういうと後片付けを部員たちに命令して、芽衣子は資料をもって部室のドアを通って職員室へと戻っていった。
「じゃあ、僕が片付けておくから、皆先に帰っていて良いよ」
「やった!怜、ナイス!!じゃ、おさきっ」
「それじゃあ、お言葉に甘えて。お願いするわ、怜」
「お疲れ様でした」
それぞれ怜の言葉に甘えてスクールバッグやリュックを持って、部室を後にする。其れをにこにこと見送った怜は、ドアを閉めて表情をくるりと変えて振り返った。
「…あの、どちらサマですか?」
オレンジ色に染まる商店街を、鈴、流香、海翔の三人が歩いて居た。
話は星の力についてだった。
「それで、私たちって凄い力を持ってるわけじゃない?なのにこんなコソコソしなくちゃいけないの?もっと堂々と凄いことをして見せて…」
大きな身振り手振りで鈴は何かが爆発でもするようなジェスチャーを見せ、二人に力説する。
「それがね、その力を利用しようとする馬鹿がいるんだよね」
「そうですわね。それに、暗黙のルールですし。私たちが生まれる前、ずっと前から」
「えっ、私たち以外にもいるの?この力を持った人」
「いるよ。僕の妹や、流香のお兄さんもめーちゃんのお兄さんも」
その言葉に鈴は目を輝かせて、二人に質問を繰り返した。
きっと彼らに夢を抱いているのだろう。凄い力を使えるのだろうか、どんな力だろう、瞬間移動?タイムスリップ?それとも炎を出せるのだろうか。
「はは、そんな凄いことはできないよ」
「秀でた体術と、できて小さな光で何かを操ることね」
「えー!それなら、利用したって意味ないじゃん」
「制御装置があるから。本当に必要な場合にのみ、解除されますもの」
そう答えた二人に不満そうな鈴はいつの間にか家の前まで来ていて、海翔が郵便受けを見ると一つだけ何か封筒があった。
宛名もなければ差出人も書いていなく、切手も貼っていないのだから誰かがご丁寧に郵便受けに入れて行ったのだろう。鍵を開けて家の中へと帰ってきて、早々に手紙の中身を確認することになった。便箋は一枚だけ、文面は雑に数文字と適当な地図が描かれていた。
『怜をもらった。我が城へ』
三人の間に強い雷が落ちたような衝撃が走った。
「怜は…」
「学園に残って…」
「僕が見てくる!二人は怜が帰ってきたら、僕の携帯に連絡を!良いね?」
「ええ。気をつけて。それから、お姉さまにも知らせてくださいません?」
「勿論だ!」
「な…早すぎる!」
「どうするの、めーくん?」
「計画を早めるしかないか・・・」
「芽衣斗兄、どうすんだよ!?あいつら、今きても…」
「仕方ない!今、流騎が向かっている。怜は物分りが良さそうだから大丈夫だろうが…」
そういって芽衣斗は舌打ちをして立ち上がり、窓を開いた。
「何するつもり?」
「あのクソ野郎共を問い詰める!」
「…くれぐれも計画を崩さない程度に」
「ああ!分かっているさ!」
そういうと芽衣斗は素早く窓の淵を蹴り、民家の屋根から屋根へと身のこなし軽やかに飛び回り、目的地へと向かった。
それを見つめる仲間たちの目はとても厳しかった。
満月の夜に Ⅳ
遅くなりました!
カレー食って…もとい、食べていました。
美味しかったですよ…あ、脱線していましたね。
ミクはあふぉのこですよねぇ。しかし上目遣いで謝られると、少しのことならすぐに許せますね。レンはショタ…無理ですよぉ><いいや!と思ってこんなショタ…じゃありませんね…。ごめんなさぁぁぁいぃぃぃぃ><
土下座!スライディング土下座!!アクロバティック土下座!!!
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みずたまりさん
未来はあふぉのこを通り越して既に神の領域なのですよ。きっと美術部の人たちにも悪気はないんです。ただふざけ半分で言ったら、未来が勝手に信じ込んじゃったんですよ(笑)
怜はつかまりましたー。
多分分かりますよー。
投稿、がんばります!夏休みに入ったんで、投稿する時間帯も早まるかもしれませんねー。
変なところとかあったらビシバシ指摘してくださいね。よろしくお願いしますね!!
2009/07/26 21:02:25