院展に並んだ絵を描いたあの子は、卒業と同時に就職するらしい。
「好きなことができて幸せだった」って思い出を抱いて実家に帰っていく。
麻布の静寂(しじま)に橙(だいだい)を滲ませて、水張りのカンバスに群青を涼ませた。
誰も居なくなった美術棟のベランダじゃ行き場のない溜め息が吸殻にまみれてる。
「後ろめたいことなんてなにひとつないはずなのに」
画廊に並べた新作は 三月と十日夜通しで
息をするように色を重ねてできたあの子の子
「いまいちね」なんて手垢の付いた言葉で触れないで
殺したくて殺したくて殺したくなっちゃうの
思った通りの色が出せなくて安くない絵の具を幾度も重ねた。
「深みを出すため」言葉にしなきゃ駄目。
金も身体も時間も注ぎこみすぎたから。
かじかんだ指先で冷え切った鉛筆の切っ先を細くした、何回も何回も。
削りカスを掃くのがいささか億劫で捨てられない習慣を誰かに叱って欲しい。
「手放すくらいならいっそ明日なんてこないでよ」
画廊に並べた新作は 三月と十日夜通しで
涙で色をにじませてやっとできたあの子の子
「素敵ね」だなんて使い古した言葉で撫でないで
殺したくて殺したくて殺したくなっちゃうの
嬉しいことも、悲しいことも、腹立つことも、愛おしいことも、
何一つ言葉にできなくて、だからあの子は筆を取ったんだ。
あと何回、部屋の灯りが消えたらこの作品達は、陽の当たらない場所に並ぶのだ。
わき目も振らず愛して欲しい。
Gallery
Gallery - gumi [オリジナル]
「見知らぬ誰かの心のひとつ灯りをともせたら嬉しく思う」
Music/lyric:さとうがし(rits(砂糖菓子P))
illust/movie:Lotta
大学の美術科の卒業展覧会には、言葉に出来ないドラマがあったりなかったり。
そんな情景を歌にしました。
わかる人にはわかると嬉しく思います。
mylist:mylist/39945311
さとうがし_twitter:@rits918
Lotta様_twitter:@rits918
▼動画
comming soon
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