＃１８



レンを怒らせてしまったカイトは、あれからずっと外を眺めている


「カイト……何してるの？」


そこにメイコがやってくる


「あ、いや……ちょっと……考え事を……ね」


カイトの顔が笑顔だが、どことなく元気がないのをメイコは見抜く


「ふぅん。ま、言いたくなければ別に言わなくてもいいわよ」


メイコはそういって、カイトの隣に並ぶ


「めーちゃんこそどうしたの？」

「…………うーん……私も言わないわ」


メイコは、ミクとの出来事を言うか迷ったが、なんとなく自分だけ話すのが嫌だった


「そっか……ま、めーちゃんにもそういうことがあるよね」

「カイト……その【めーちゃん】っていうの……無理してない？」


メイコがカイトの顔をみて、そういった


「え……いや、そんなことは……」

「ふぅん、昔はあんなに嫌がってたのに……」


メイコが悪戯っ子ぽく笑った


「いや……まぁ……当時はすごく恥ずかしかったよ」

「ははは、やっぱりぃ！？無理しないで、昔みたいに【お前】とか【おい】とかでいいわよ？」


メイコがカイトをからかうようにそういった


「はは。それは無理だよ。今の僕には立場もあるし……それに【あの人】に怒られるからね」


カイトは空を見上げる


「……うん、そうね……また、あんな言葉遣いしたら、確実に怒られるわね」


そして、メイコが笑う










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それは、今から4年ほど前……

カイトとメイコが、まだルーキーだった頃


同期だった二人に、日ごろからの指導役がいた

その指導役は、当時のワクチンソフトたちのリーダーでもあった人物

その人は、綺麗な白髪の長い髪を青いリボンで結っていた

名を……ハクといい、当時、最強の人物でもあった


「カイト君！もっと、メイコちゃんに合わせて！」


指導役の人物が、槍【蒼天】を振るカイトを叱る


「はいはい！メイコちゃんは、もっと素早く！」


そして、長刀【紅歌】を振るメイコも叱られる


「もう！何やってるの！二人とも！もっと息を合わせないと戦闘では役に立たないわよ！」


指導役の激が飛ぶ


((うるせぇよ！ババァ！))


ゴスッ、ゴスッ


「はーい……なーに、二人して同じことを考えてるのかなぁ？確かに息を合わせろといったけど、そういうのはいらないのよぉ？」


二人を殴った拳を震わせながら、ひきつった笑顔で二人を見るハク


「いてぇ……何すんだよ！ババァ！」


ゴスッ！！


「はい、カイト君、言葉には気をつけましょうねー」


ひきつった笑顔が怖い




「ま、今日のところは、このくらいにしましょう。また明日ね、二人とも」


そういって、立ち去ろうとするハク


(早く行け！暴力女！)


ゴスッ！！！

カイトのもとに戻ってきて、いままでよりも強く一発殴ったハク


「じゃぁね。メイコちゃん」

「はい、ありがとうございました！」


そういって、メイコはハクを見送った













「もう……カイトってば、馬鹿なの？先生は、目の前の人が考えたことを読みとれるのよ？いい加減に学んだら？」


メイコが頭を押さえて、痛がるカイトを見てそういった


「うるせぇ……っ痛……大体、お前がトロいから怒られたんだろうが！しっかりやれよ！」

「はぁ？そっちがタイミング外したからでしょうが！」


カイトとメイコが、火花をバチバチと散らす



「大体、なんであんたなんかが同期なのよ……」

「うっせぇ！俺だって、お前が同期で散々だよ！」


この頃、カイトとメイコは、犬猿の仲だった……