<Dear My Friends!第2期 第30話 悲しみの取引(前編)>
(ヤマト国 オーエド地区 アキバ方面 カンダ)
実に楽な道中だった。
道中の兵士という兵士、2級ギアを操縦するテイマー兵士、無人ギア全てが、捕虜としたチンシャンの一声であっさり引き下がり、チンシャンの管轄である“ザギンベース”に引き返していった。どういうことなのか、チンシャンの上司であり責任者である“マカ”から、抵抗しろだの、報告しろだの、全く指示がなかったそうだ。
というか、マカや、チンシャン以外のマカの直属部下と、連絡が取れない、兵士は半ば狼狽えながらチンシャンに訴えていたくらいだ。
そして、テル達一行は、これまでの苦しい道中とは打って変わって、短時間に何の問題も無く、一番肝心の目的地であり、ミゥのいるカンダ地区の情報集積拠点『フルホンガーイ』に到着した。
***
(ヤマト国 オーエド地区 アキバ方面 カンダ UTAU側情報集積拠点『フルホンガーイ』)
そこの1F、つまり地上に姿を現している部分は、かなり壊されていた物の、ルカ姫とイアだけが理解できた“形状”だった。
『古本屋』
だったのだ。しかし、ルコだけが店内に入り、入り口側の棚にあった“1冊の古本”を奥に押し込むことで、その形状は千変万化したのだ。これは“UTAU”側しか知らない“ミゥのもとへ唯一到着できるルート”を開く“鍵”だったのだ。
その形状は小さい古本屋から、大型書店に代わり、そして大型の倉庫に変化した。
ルカ姫:すげーーーーーー
ルカ姫がアホみたいに口をぽかんを開けて、あっけにとられているのをみたUTAU以外の他の一行は、同じように口がぽかんと開きかけていたので急いで口をつぐんだ。
ルコ:では、ミゥ様に会いに行くが、その前にB1Fで準備がいる
***
中型ギアですら載せられる“大型エレベーター”でB1Fに到着した一行はとりあえずミゥに会える準備をした。このままでは最深部のB6Fに入れないのである。
キョウはアイボーを脱いで声紋ロックをかけて、B1Fのハンガーに置いておいた。デフォ子、モモ、ユフの3人は当然ギアから降りて、B1FのUTAU側のハンガーに、同じくロックをかけて、ギアをハンガーに吊して置いた。コレで、B6Fに着いたとき“底が抜けてしまう”、大物、重量級の面々は準備が出来た。
問題は“チンシャン”である。あれだけ攻め込まれていた敵であるテイマー軍の指揮官が、ギアは無いにしても、そのままの姿で司令部に入っていくのは、ミゥ様の気持ちを察すると、正直気が引ける。そう、ルコが真っ先に思ったが、UTAU側、ミズキ、ゆうま、りおんもそう思っていたし、テル達ですら、すぐにわかったのだった。
チンシャン:・・・・・この先には我々の兵士やギアはいない。こんな抜け道とカラクリ、余りに仕掛けが旧式すぎて、私のサーチの盲点だった。誰か監視を一人付けて、私は置いていけ。安心しろ、サーチを失った私は、権力はあっても、一般兵士以下の戦闘力だ。
ルコは少し考えて、そうすることにした。
ルコ:すまんがそうさせて貰う。この先をタブレット端末で検索したところ、テイマーやギアのマーカーが表示されない。本当の話だ。だが、用心のため、UTAU側から一人、そしてテルさん側から一人、計二人を監視に付ける。UTAU側は対ギア戦、テルさん側は、未知の相手として重要だからな
デフォ子:では、ギア隊からは私が残ろう
アペンド:なら、未知のマホウを使える私も残ります
テルはあごを押さえて少し考えたが、そうすることにした。
テル:アペンド、頼む。キミなら攻撃と回復、どちらも出来るし便利だろう。デフォ子君を宜しく頼む
デフォ子はアペンドに一礼した。
デフォ子:アペンドさん、宜しくです!
アペンド:こちらこそ!
こうして、チンシャン、デフォ子、アペンドの3名を除いた一行は、エレベーターに乗り、一気にB6Fの“司令部”に向かったのでした。
***
(UTAU側情報集積拠点『フルホンガーイ』 B6F 司令部)
ルコ:ミゥ様! 失礼します!
そういうとルコは、扉を開けて、中に入った。鍵がかかっていなかったのは、自分達の到着がわかったから、だと思ったし、護衛の兵士達は全員、ミゥ様を守るために、中にいるのだと判断していた。
しかし、全ては、ここに来て、ルコ達を裏切ったのだ。
そこは、ある意味、マホウの世界同然だった。
情報集積機械の中に取り込まれて一体となった全員の兵士、
武器類は無く、床に鉄色の石ころが転がっているだけだった。
ルカ姫:き・・・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!
キョウ:・・・マカの野郎、どうやってココに入った・・・・・
ルコは半狂乱で、そう呟いたキョウの襟首を掴んだ!
ルコ:ど・う・い・う・こ・と・だ!!!!!!!!!!
キョウ:知らねーよ! ただ、あの兵士が機械と一体になっていたり、そこら辺の鉄の石ころ、ありゃ、マカ自身がテイマーでありギアなんだが、そのギア『エディター』の能力である“構成”の代物だ・・・・・あ、他の全員、これから先、かなりエグい話になるが、だいじょーぶか?
部屋の端で少し吐いているルカ姫が、なんとか声を振り絞って答えた。
ルカ姫:も、もう遅いよ・・・いいよ、なんでも言って・・・・・
イアやリンは冷静だった。UTAU側はさすが戦場を駆け抜けた面々、芯が強かった。
テル:ルカ姫が大丈夫なら、問題無い。言ってくれ
キョウは頷くと、その狂乱の能力を説明し始めた。
キョウ:奴のギア“エディター”の能力である“構成”や“再構成”は、通常は、奴の腹心であり俺の姉貴である『ティエンイ』のギア“ニューファイル”とセットで使うものだ。ニューファイルで素材を作って、エディターで構成してモノにする。だが、ニューファイルを使わず・・・・つまり、そこの兵士にエディターを直接使った場合はな・・・・・兵士の肉体を再構成する途中で、そこら辺の機械と合体させて、最終構成を済ませて・・・・まぁ、兵士を黙らせる・・・・・殺しちまうわけだ・・・・
テル:・・・・・・私も人のことは言えんが・・・・・この“技術”は、『魔』に属するモノだ。マカは・・・ソレを知っているのか?
キョウ:さぁな。いずれにしても強力なテイマーであり、畏怖するべきギアだ。逆に、物を誕生させる、神聖なギアとも言われていた。いずれにしても、まぁ、関わり合いになりたくない奴だn
取り込まれた兵士:うぅぅぅぅ・・・・・そ・・・・そこの・・・・・キミ・・・・・
ルカ姫:ひぃ!
機械に取り込まれて一体になっていたのに、なんとか生きていた兵士が最後の力を振り絞って、テル達を呼び寄せた。テルとルコとキョウが代表として、話を聞くために、側に近づいた。
ルコ:大丈夫か! 何があったんだ!
キョウ:まてよ。もう、一言、二言、言えるか、言えないかだ…
テル:最後の言葉を聞く、何とか伝えるんだ!
取り込まれた兵士:マ・・・・マカが・・・・・来て・・・・・
キョウ:やっぱり奴か。軍の意向とか無視のレベルだが、どういうことだ?
ルコ:ミゥ様は!
取り込まれた兵士:マ・・・カ・・・が・・・さらっ・・・・て・・・いった・・・・
テル:他には?
取り込まれた兵士:つぎに・・・ここ・・に・・・きた・・・・やつに・・・つたえろ・・・と・・・・
ルコ:頑張れ!
取り込まれた兵士:ア・・・アキバで・・・・待ってる・・・・・取引だ・・・・と・・・・
ガクッ
絶命だった。
ルコ:マカァアァアァァァァァァァァ!!!!!!!!!
テル:どうやら、チンシャンは“我々の誘導素材”に過ぎなかったようだ。奴は単身か腹心とやらと一緒に、別ルートで直接ここに来て、直接さらってしまった。取引は、あのアキバで、そういうことか
キョウ:・・・・しっかし、解せねえ。俺たちがあれだけ、軍の意向で、絡めて、絡めて、進めていた事を、単独行動でやっちまう、これは軍紀違反であり、更に、チンシャンだって、怒り心頭だぞ? それに、ミゥを捕まえて取引までするなど、軍の計画にすら、全くなかったぞ?
テル:!? チンシャン!? アペンドが!
キョウ:いや、チンシャンは“サーチでも知らなかった”と言ったし、本当に知らなかったはずだ
ルコ:とにかく、B1Fで合流する!
そういうと、全員が即座にエレベーターに乗り、B1Fの3人と合流した。
***
(UTAU側情報集積拠点『フルホンガーイ』 B1F ハンガー)
チンシャン達3人は、そこで普通に佇んでおり、テル側もUTAU側も胸をなで下ろした。
ルコ、キョウ、テルの3名が、お互いを補いながら、状況を説明すると、チンシャンは地面に肩を落としてしまった。
チンシャン:そ・・・・・・・そんな・・・・・マカ様は・・・・・私を・・・・単なるデコイに・・・・・・
キョウ:ソレばかりか、俺たちの行動というかテイマー側の軍行動そのものはな、マカ自身にとっては、どうでもいいことだったようだな。単独行動でさらっていって、自分自身の取引まで持って行っちまった…。知っての通り、『取引』なんざ、軍の作戦には一切入ってなかったからな…
チンシャン:ゆ・・・・・・許せない!!!! 私も連れて行け! このままでは済まさない!
学歩:やれやれ、また一人追加で大所帯になったでござるか…
チンシャン:違う! なれ合いでは無い! コレまで同様、アキバまでの道中は協力する。だが、マカに関しては私怨で真意を聞き出すだけだ!
レン:はいはい、わかったって。なんにせよ、僕たちも同じマカから真意を聞き出さないと話が進まないし…
めぐみ:それに、取引の内容が何であれ、ミゥさんを救い出さないと!
ルコ:アキバに直行する! ミドリノ線跡を通れば簡単にアキバに着ける! ここからならすぐ隣だからな!
デフォ子:全員、ギアの準備! 他の方もすぐに準備をして、すぐに向かいます!
全員、急いでギアの再起動、再装着、荷物の準備などを整えて、チンシャンを目立つ先頭にして、すぐ隣の最終目的地“アキバ”に向かいました。
(後編に続く)
CAST
イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
魔導師アペンド:初音ミクAppend
魔導師テル:氷山キヨテル
僧侶リン:鏡音リン
勇者レン:鏡音レン
異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
裁判官 勇気めぐみ:GUMI
ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹(ミズキ):VY1
勇馬(ゆうま):VY2
兎眠りおん(りおん):兎眠りおん
ミゥ:Mew
欲音ルコ(ルコ):欲音ルコ
唄音ウタ(デフォ子):唄音ウタ
桃音モモ(モモ):桃音モモ
雪歌ユフ(ユフ):雪歌ユフ
義 井具蔵(ヨシ イグゾウ)(イグゾウ):某演歌歌手
ゾラ・キョウ(キョウ)=生まれ変わったルォ:ZOLA PROJECT (KYO)
チンシャン:某女性中華ボカロ
マカ:某少年中華ボカロ
ティエンイ:某女性中華ボカロ(ルォの姉(こちらが本家“ルォ・ティエンイ”で、女性中華ボカロになります))
その他:エキストラの皆さん
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