Lied~青い瞳の死神~
「Meine Liede」


 君が好きだと言ってくれた歌。

 君だけに捧げるはずだった歌。

 もう君には届かないこの歌。

 私は……唯、口遊むだけ……。


 死者の魂を冥界へと導く。それが死神。

 私の姿は誰にも視えない。
 私は、常に『独り』だった。

 だけど、寂しいとか、悲しいとか……
 そんな考えは私にとっては『不要なもの』だった。

 永い時間を過ごしている死神(わたし)にとっては
 考えるだけ無駄な事だと思っていたから。

 今もこの先も、ずっとそんな状態が続くと思っていた。

 ……『彼女』に出逢うまでは……。


 『綺麗な歌ですね』


 柔らかな微笑みを私に向ける緑の髪の少女。

 私は歌う事が好きだった。

 気の向くままに、好きなように歌っている間は
 少しだけ自分の立場を忘れられるから。


 緑の髪の少女には、何故か私の姿を視る事が出来た。

 不思議な力を持つ少女。
 故に彼女もまた、私と同じで『独り』だった。


 『アナタの優しい声、好きだな……私』


 初めて自分以外の誰かと言葉を交わした。

 何だろう……この気持ちは……。


 私がその気持ちを理解するのに、そう時間はかからなかった。

 何度も彼女と言葉を交わす度に、溢れてくる『想い』……。



 私は、初めて逢った時から『君』を好きになっていた。



 『私』という存在に気づいてくれた事が嬉しくて。

 『私』の『歌』を好きだと言ってくれた事が嬉しくて。

 『私』に微笑んでくれる事が嬉しくて。


 でも、この『想い』を打ち明ける事はないだろう。

 人ではない私は、君と共に歩めないから……。



 だから代わりに、私は君の為に歌を歌うよ……。



 『幸せ』な時間は突如、終わりを告げる。


 彼女は病に倒れ、逝ってしまった。

 私は彼女の魂を冥界へと導く。


 彼女の命が尽きるのは、ずっと前から分かっていた。

 ……分かっていたけど……。


 彼女と過ごす時間が、あまりにも『幸せ』で。

 彼女の傍らで、彼女の温もりを感じられるのが『幸せ』で。

 彼女の為に歌うのが……『幸せ』過ぎて……。



 ……『現実』を……忘れてしまいたかった……。



 君が好きだと言ってくれた歌。

 君だけに捧げるはずだった歌。

 もう君には届かないこの歌。

 私は……唯、口遊むだけ……。


 私は、自分を呪った。

 君の居ない世界なんて、もう存在する意味もない。

 でも、私は私を否定する事は許されない。



 ……私は……『死神』だから……。



 やがて、私の歌には死者を冥界に導く力が宿るようになった。


 青い瞳の死神(わたし)は歌う。


 数多の生命(いのち)の終焉を見届ける為

 私は『死』の旋律(メロディー)を口遊む。


 青い瞳の死神(わたし)は歌う。


 『死』は如何なる『時』も訪れる
 誰も決して逃れられない運命(さだめ)……。


 青い瞳の死神(わたし)は歌う。


 君が好きだと言ってくれた歌。

 君だけに捧げるはずだった歌。

 もう君には届かないこの歌。

 私は……唯、口遊むだけ……。


 嗚呼……
 君と過ごした……『幸せ』を抱いて……



 ……私は……歌い続ける……。



 【もしも……叶うのなら……
  もしも再び、君に出逢えたら……
  私は、今度こそ……君に、伝えたい……】



 キ       ヲ       イ
     ミ              シ        ル
             ア            テ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

Meine Liede

注:経験の浅いサンホラ好きの妄想です。

Liedの青い瞳の死神と病に朽ちた『彼女』のお話。
Meine Liede(マイネ・リーベ)はドイツ語で「愛しい君」。

ドイツ語は題名以外使いませんでした。
あえて使わなかったというか……ネタ切れというか。(←オイ)

今度こそこの青い瞳はKAITOですよ。(←見れば分かる)

うーん、クオリティが……。微妙かなぁ……。
段々、字数とか減ってるんだよね……。 orz

イラスト、歌詞、曲を募集してます。
心の広い方がいたらお願いします。m(_ _)m

閲覧数:233

投稿日:2009/04/17 04:44:25

文字数:1,551文字

カテゴリ:小説

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