「いつも通りのある日」
六月も終盤
今年はまだ梅雨が続く
梅雨が作物にとって必要だっていうのが頭では分かっているが、毎日こう雨が降っていては気が滅入るっていうものだ
私はゴロゴロとベッドを転がる
「なぁ…グミ?何をやってんの?【私のベッド】で…」
その様子を見て、私の幼馴染リリィが私にたずねる
そう、ここはリリィのお家のベッドの上
「え?だって、このベッド、リリィの匂いがして気持ちいいんだもん」
「……ええ、ええ?」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうにリリィは慌てる
「私の隣、あいてますよ、あ・な・た」
私はベッドを半分あけて、手でぽんぽんと叩く
「誰があなただっ!」
それを普通に否定される
「なにさ、つれないなー」
ぷーっと膨れる私にリリィは平静を取り戻し
「釣り針がでかすぎるんじゃない?」
と冷たくあしらう
「あ、そーだ、お腹すいたから、何かちょーだい」
「……あのさ…今の流れでどうしてそうなるの?そして、なんでグミの方が偉そうなの?」
リリィの呆れている目線に笑顔を返す
「何もくれないならリリィをいただいちゃおっかなぁー」
「はい、ただいま用意いたしますので、半径10m以内に近づかないでください、おねがいします」
リリィのやや早口かつ否定的な敬語を残して部屋を出て行った
幼馴染のリリィは、もはや私の攻撃など全て綺麗にかわす
ま、私のリリィをからかうレベルが同じように上がっていっているわけだが
だからか、学校でも周りから夫婦漫才なんて言われている
「あ…そうだ、いまのうちにリリィの勝負下着でも机の上に出しておいてあげよっかな」
それを見つけたリリィの真っ赤な顔を思い浮かべると、実にわくわくする
そんなことを考えてタンスに手をかける
「おまたせ」
絶妙なタイミングでリリィが戻ってくる
「はやっ!?」
あわててベッドの上に戻る
「……なにしようとしてた?」
「べ、べつにー」
にこにこと笑ってごまかす
「……おおかた、私の下着でもねらってたんでしょう?」
おおぐぅ…完璧回答とは言わないまでも、ほぼ正解な予測
「…はい、これ」
雑にテーブルの上に置かれた1ピースのチーズタルトケーキ
「ケーキ!!どうしたの!これ!」
私、ケーキはものすっごく好き!
「え、あ、いや…その、あ、そう!冷蔵庫にあったから…」
「……私が食べていいの?誰かのじゃないの?それにリリィのは?」
「そ、それは余ったやつだし、わ、私は昨日食べたから!グミがたべて!」
リリィはそういいながらもそっぽを向く
それを見て、私の中で一つの仮説が成り立った
「……うん、いただきます」
私は遠慮なく一口
……やっぱり
「…ど、どう?」
リリィがこっちを向かないまま、そんなことをきいてくる
「うーん…そうだなぁ、ちょっとだけ酸味がたりないかなぁ…」
わざとらしくそういって、そしてリリィの肩に少しだけ力が入るのをみて…
「でも、この隠し味の……【リリィの気持ち】が私は一番うれしいな」
「なっ///な、なな、なにを!!?」
それをきいて顔を真っ赤にして立ち上がったリリィ
「いや、別にー」
私は気にせずにケーキを食べる
「おいしいよ、リリィも食べる?」
「……い、いい!///」
またそっぽを向いてしまった
このケーキはとてもじゃないが、お店で売っているレベルのものじゃない
酸味が足りないといったことは事実だし、挙句の果てに粉っぽいところもある…
けれど、普段料理なんてしないリリィが【頑張って作った】ということだけはわかる
「リリィ、ありがとう。今年もいい誕生日プレゼントもらっちゃった」
リリィはカレンダーを見ながら黙っていた
6月26日に赤い丸がついている
「リリィ、大好きー……あ、ライクね、ラブじゃなくて」
「わかってるって…去年も同じセリフをきいたよ」
ふっと笑ってリリィは隣にやってきた
「やっぱり、私にも一口ちょうだい」
そんなリリィをかわいいと思ってしまった私
私たちはいつも通りふざけあって、いつも通り笑いあって、いつも通りにまたねした
これでいい…
これが私たちの形…
私たちの中で通じ合っていれば、それでいい
【グミ誕】いつも通りのある日 byしるる
グミ誕とリリィ誕の時に出る二人
二人の関係は
変わらないようで
変わっているようで
本当は…
一話?グミ誕2013 http://piapro.jp/t/OwVr
二話?リリィ誕2013 http://piapro.jp/t/cQIf
三話? これ
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ご意見・ご感想
すぅ
ご意見・ご感想
リリィと聞いて飛びついた奴がここに←
前2作も読んできましたw
こういうのが女子の戯れというか、こういうのが好きなんですよねぇほのぼのした女の子達。
リリィちゃんの手作りケーキ私も食べたいです←
2014/06/26 21:36:32