6月ハーモニー 双子蜜柑 そのよん
ブーたれながらレンに手を引かれ、私達は家に帰った
「ただいま~」
「ただいま…」
先にレン。次に私がお母さんに帰ってきたことを言うと
「おかえり~あと2分ぐらいで晩ご飯だから、早く着替えてきて~」
台所からお母さんの声が聞こえてきた
「俺いつも思うけど、帰ってきてタイミング良くご飯が出てくるよね…」
「だってお母さんだもん…レン早く靴脱いで…」
「へいへい…」
私達はお母さんに言われた通り、自分の部屋に行き速攻で着替え
1階のリビングに行くとお母さんが
「早過ぎるわよ!!なんでもう来るの!?もっとゆっくり着替えてきてよ!!」
「えぇ~!?母さんが早く着替えてきてって言ったんじゃん!!
だから俺達、超急いで着替えてきたんだよ!?なのに何それ!!横暴過ぎ!!
つーか、もうほとんど机の上に並んでるから別にいいじゃん!!」
レンが長いツッコミを入れた。
もちろん私は2人のやり取りが面白いので傍観中~
「分かってないわね我が息子!!私はご飯を食卓に並べてそこに座りながら
遅く着替えてきたアンタに遅いよ!!って怒りたかったのよ!!
もう少し女心を理解しなさいよ!!なんで分かんないの!?
あれよ!!デートの時に待った?待ってないよってやり取りと一緒なのよ!!
実は10分ぐらい前から待ってたんだけど、相手によく思われたいがために
可愛らしい嘘を吐くようなもんよ!!分かった!?」
「分かんねーよその例え!!つーかさっき母さん遅く着替えてきた俺を
怒りたかったって言ったよね!?それのどこが可愛らしい嘘なの!?
本気で怒りに来てるよね!?今も本音で怒ってるよね!?
母さんのどこにも可愛らしい嘘が無いよ!?よく思えないよ俺!!」
「はぁー!この馬鹿息子!!なんでこんなに鈍いの!?
待ってないよって言ってるけど本当はブチ切れてるって言ってるの!!
私は今日一日で溜まったストレスをアンタで発散したかったって言ってるの!!
それが女心ってやつなの!!それが親心ってやつなの!!
そこを察しなさいよ!!それでも私の子なの!?」
「何その歪んだ母親心っ!?それプチ虐待だよ!?可愛いくないよ!?
むしろ恐怖を感じる女心だよ!?俺に母さんのサンドバッグになれってか!?
つーか察することができたとしても無視するよその親心!!」
「いいから早く座りなさいよ!!ご飯冷めちゃうでしょ!!GO AWAY!!」
「英語が違ぇーよ!!なにあっち行けっつってんだ!?
座りますよ!?もうお腹空いたから食べていい!?食べるよ!?」
「ちゃんといただきます言ってからにしなさい!!」
「分かってるよ!!いただきます!!」
「何を!?」
「晩ご飯だよ!!アンタは馬鹿か!?」
「召し上がれ!!」
レンが座ってご飯を食べ始めたので私も
「いただきま~す」
「召し上がれ~」
いつも通りの鏡音家の晩ご飯が始まった
ちなみにお父さんは今日は残業らしい。
さっき家に帰る途中でレンの携帯に『残業だよ~うぇ~ん』とメールが来た
そしてご飯を食べ終わり
「「ご馳走様でした~」」
「は~い。おいしかった?」
「「うん。」」
私達は返事してそれぞれの部屋に上がった
そして自分の学校の鞄を開けると
そうだ!先輩からカツラ借りてたんだった!
中から自分の髪と同じ色したカツラが出てきた
よし!レンの意見を聞きに行こう!
私はカツラを被りレンの部屋の前に行き
コンコンッ、ガチャ!
「レ~ン入るよ~」
ノックをしてからレンの部屋に入った
レンは椅子に座り、先週のヤングアニ○ルを読んでいて私の方を見ない
「リ~ン、ノックして入るのはいいと思うよ?でも返事する前に
ドアを開けたら意味ないと俺は思うんだよね?」
レンはページを捲っては戻しをやりながら言ってきた
「まぁまぁ~私とレンの関係だし別に困る事は無いでしょ?
急に部屋に入って困ることって今まで無いでしょ?お互いに」
長くなった髪をいじりながら言うが
「はぁ~?こないだの事もう忘れたの?俺がいきなりお前の部屋に
入ったらお前なにしてた?リン、自分のぬいぐるみで…」
「おぉーい!!それは言うなぁー!!もう忘れろよぉー!!
悪かったよ!今度からはちゃんと返事をもらってからドアを開けるよ!」
私の方に向いているレンのつむじに向かって叫んだ
くっそ~一生の恥だ…あの時の私を殴りたい!!
なんであんな事してたんだ?
「そんで~なんか用~?見ての通り俺は忙しいんだけど…」
今まで私の方をいっさい見ずに、レンはヤンアニを読んでいる
「忙しそうに見えないんだけど…つーか何をそんな熱心に見てるの?」
レンに近づいて聞くと、レンは顔の前で雑誌を私に向かって両手で広げながら
「このグラビアのお姉さん、胸大きいしすっげ~可愛くない?」
んだとぉー!?
レンの言葉と雑誌に映ってる巨乳のビキニの子にイラついたので
「おるぅらぁぁぁーー!!!」
ドォズゥゥー!!
私の抜き手がちょうど雑誌の真ん中に突き刺さった。
だから本の継ぎ目に私の手。
「ぎゃぁぁー!!リンの手が雑誌に突き刺さったー!!!」
「おるぅらぁぁぁーー!!!」
ズボォ!!
もう一本の手を抜き手が刺さった所に入れ
「止めろぉぉーー!!なにすんだぁーー!!」
「うおぉぉぉらぁっ!!!」
バリバリバリィィ!!
なんとゆうことでしょう……両手を左右に力いっぱい開くと雑誌が2つに裂けたじゃないですか…
レンの両手も雑誌と同じように左右に開かれている
「お前どんだけの馬鹿力なんだよ!?男でもできねぇよそんなこと!!」
レンの顔をやっと見ることが出来たが、レンは私の髪に気付いていない。
まぁ十中八九、雑誌が裂かれたことに驚いてるからだろう…
レンは裂かれている雑誌を見て
「あぁー!理奈がぁぁー!!」
理奈だとぉっ!?
レンの叫びに私は切れて
「おるぅらぁ!!」
ガシィ!
グラビアが映っているセンターカラー4ページを右手で全部つかんで
「止めろぉー!リーーン!!」
「オラァ!!!」
ビリビリビリィ!!
無残にも破いてやった
「うあぁぁーーー!!なんて事すんだリン!!まだ見てたのにぃーー!!」
「こんなもん見てんじゃねぇーー!!」
バズゥッ!!
机の横のごみ箱に掴んでいるページを投げ捨てた
レンはその場にorzになり
「あぁぁ…可愛い子だったのに…」
落ち込んでいるレンの前に、私は膝を曲げて前屈みになりながら
「可愛いお姉さんだったら…ここにもいるんだけどなぁ~」
髪を右耳にかき上げながら言うと、レンは顔を上げて
「お前…よくそんな……は?何でリン髪伸びてるの?え?え?え?」
目が点になった
やっと見てくれた~
「驚いた~?これね~合唱部のカツラなんだよ~どう?どう?」
レンの前に女の子座りして自分の頭を左右に振り、横目でレンに聞いた
「どうって……いやぁ…えとぉ…」
胡坐をかいたレンは少しだけ顔が赤くなっている
「ねぇ~?どう?似合ってるの?似合ってないの?どうなの?」
今度は頭を振らずに真っ直ぐにレンに聞くと
「えぇと…まぁ…に、似合ってるよ…知ってるんだけど知らない人みたい…
な、何か…リンがちょっと大人になったらこうなんだろうなぁ…みたいな…」
レンは私から目を逸らしてチラチラ見ながら言ってくれた
そんなレンの言葉がすっっっっごく嬉しくて
「本当っ!?似合ってる!?ちょっと大人っぽくなってる!?
本当!?本当っ!?変じゃない!?」
自分でも分かるぐらいニヤけながら聞くと
「う、うん…変じゃない…結構…新鮮……なんか…お姉さんって感じがする…」
レンはずっとチラチラと私の髪を見ている
レンったら照れてるんだ~可愛い~~
少し赤い顔をしてチラチラと見たりするのはレンが照れている証拠だ。
おそらく私だけが知っている数少ないレンの事の1つだ。
「新鮮!?お姉さんって感じがするの!?それって大人っぽくなってるって事?
じゃ、じゃあ私が髪伸ばしても変じゃない!?平気!?
似合ってる!?私ずっと前から髪伸ばそうと考えてたの!伸ばしていい!?
レンはどのくらいの長さが好きなの!?このぐらい!?」
私が髪を両手で触りながら言うと
「え、えと…う、うん…リンはそんぐらいの長さがいいんじゃない?」
私は?
「違~う!私が聞いてるのはレンはどのくらいの長さが好きなのかって事!!
私が似合ってるとかじゃなくて、レンの好みの長さを聞いてるの!」
するとレンとしては珍しく、顔を真っ赤にして下を向きながら
「お、俺は…恥じぃよ…なんかすっげぇ恥ずいよぉ…」
バ、バカ!!レンがそんな恥ずかしがるから私まで!!
「い、いいから言って!レンはどんくらいの長さが好きなの!?」
私まで赤い顔になって真っ赤な顔のレンにさらに追求した
「うぅぅ…お、俺は…そ、そんぐらいの長さが…えと、はい、好みで…」
「こんぐらいの長さがいいのね!?長い髪が好きなのね!?
分かった!じゃあ髪伸ばす!!私このくらいまで伸ばすからね!!」
「…が、頑張…れ?」
レンが下を向いてそう言うと、部屋のドアが開き
「レ~ン。あんたの洗濯物~つーか、さっきからなに騒いでるの?
あれ?リンの髪が伸びてる…何で?」
お母さんが部屋に洗濯物を持って入ってきて、私の髪を見て驚いた
「あっ、お母さん。これね、カツラなの。演劇部にあったカツラ借りてきたの」
お母さんはベッドに洗濯物を置いて
「へぇ~なんか懐かしいわね~昔のリンみた~い」
私の髪を触りながらそう言うお母さん
「へ?なに昔の私って?私って髪伸ばしてたこと無いでしょ?ずっと短いままでしょ?」
「ん~?覚えてないの?じゃあちょっと待ってて」
するとお母さんは部屋から出て行き、1階に行ってすぐに戻ってきた。
お母さんのその手には…
6月ハーモニー 双子蜜柑 その4
6月ハーモニー 双子蜜柑 その4
いま考えたらレンにはヤンアニじゃなくてヤンジャンを読ませておく
べきだったかな……
その3にも書いたとおり、これを書いたのがだいぶ前だったので自分
の愛読雑誌を書いてしまった
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