「・・・・リン、大丈夫だといいけどな。でも相当ショック受けてるからな・・・」
グルトは独り呟いた。
「・・・一応あの3人は行かせたけど・・・レン、急げよな」
今の状況を打破できるのはレン一人しかいない。・・・少なくともリンにとっては。
グルトは、どうしようもなくてため息をついた。
あたしは部屋に入れた3人に適当に末あるように言って、べットに腰掛けた。
「・・・で、何?話って・・・・」
咲が、ためらいながら言った。
「・・・怒らないで、聞いてくれる?」
今度はちゃんと、あたしの口調で言えた。
「うん」「ああ」「・・・もちろん」
3人は快く頷いてくれた。
「じゃあ、単直に言うね。・・・あたし本当は・・・<博士>なのよ」
「「「・・・っ!?」」」
驚きに震えたその目であたしを見る3人。ズキッと胸が痛くなる。
「・・・<博士>って、まさか・・・!?」
斬は何か思い当たったように言った。
「あの<人格操作>と<生物変換操作>の2つの禁業をしていた、<博士>か・・・?」
「ええ、そうよ。・・・よく<生物変換操作>ねんて覚えていたわね?」
「それは覚えていますよ。だって俺と咲はそれをされて生まれてきたんですからね」
「・・・そうね」
あたしは斬の言葉にしばらく黙らざるをえなかった。
「そしてもう1つ貴女は禁業を犯した。それは<ホムンクルス作成>ですね?」
「・・・そうよ。それで悪亜くんが生まれた。・・・・何にも囚われない完全なるホムンクルスとしてね」
「・・・記憶」
悪亜がうつむいて低く言った。
「記憶なんて偽装してもよかったけど、無い方が楽だから。・・・正直、羨ましいのよ・・・悪亜くんが・・・・」
「・・・・どうしてだ?」
悪亜はうつむいたまま聞いた。
あたしの中の<博士>が同じように勝手に答えた。
「・・・・それは記憶があると苦しいからよ・・・」
「そんなのただの言い訳だろっ!?記憶を持つ奴の見勝手な言い分だろ?違うかよ?」
「・・・悪亜くん、ホムンクルスのキミには何にも分からないことなのよっ!!私たちには後ろめたくて消したい記憶があっても消せないのよ。一生抱え込んで生きるしかないの!この気持ちは悪亜君には分からないわっ!!!」
あたしの中の<博士>の悲痛な叫びにあたしは共感して泣きそうになった。
その気持ち・・・私には分かるよ、すっごく。
「分かってたまるかよっ!昔人間だった奴らの気持ちなんて・・・俺には知らねぇよっ!!今はボーかロイドでも昔は1人の人間として存在してたんだろ!?<心>がちゃんとあったんだろっ!?血も流れ誰かを大切に想い愛する心なんかも・・・・プログラムとかじゃなくちゃんと自分の臓器があったんじゃないか・・・・」
悪亜は怒り、めちゃくちゃになって泣いた。声も出さずにちゃんと涙を零しながら泣いた。
「・・・」
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