6月ハーモニー 未来音符 そのじゅーしー
私が分かりましたと言うと、先輩は笑顔になって
「ありがと~そう言ってくれて助かるわ~
いや~昨日の夜からずっとハラハラしてたんだけど、良かったわ~」
「で、でも私は流香先輩に言われたから、あのお馬鹿イト先輩にチャンスを
あげるんですからね?勘違いしないで下さいよ?」
私がムキになって先輩に言うと、先輩は少し困った顔で
「お馬鹿イトって……ミ、ミクも言うようになったわね~はは…(苦笑い)
で、でもね、海斗君だって別に底なしのお馬鹿さんじゃないわよ?
多少は人のことが考えられるし、少しは人の気持ちが読めるわ。多分ね…」
「多分て……無いです無いです。あの馬鹿に限ってそんなことありません。」
「じゃあ今から聞きに行きましょっか?」
私は急に立ち上がった先輩に少し驚き、パチクリしながら見て
「え?聞きに行くって…ど、どこにですか?」
「サッカー場よ~」
先輩がにっこり笑顔でそう言い、私達は海斗先輩が、とゆうか
サッカー部が今まさに試合をしているサッカー場に行くことになった。
メゾールから出て、近くの駅に行って電車に乗った。
私は横に座ってる先輩に
「でもマジで今から行くんですか?てゆーか、さすがに昨日の今日で
海斗先輩に会うのは……ちょっと気まずいんですけど…」
あんまり気乗りしてないことをアピールするが、
「でも~海斗君が昨日、緊張してたか知りたいんでしょ?
だったら聞きに行かなくちゃ~、きっとミクが思ってる以上の答えが
帰ってくると思うわ~楽しみね~?」
いやいや、そんなに楽しみにしてないって…
「楽しみじゃないですよ…てゆーか、わざわざ聞きに行かなくても
いいんじゃないですか?電話やメールで流香先輩が聞けば…」
会うのがかなり気まずいので、行かない方向に持って行こうとするが
「ミク、それはちょっとズルいわね~」
先輩が悪戯顔でそう言ってきたので、反抗するように
「な、何ですかズルいって?私のなにがズルいんですか?」
「だって~昨日ミクは海斗君に直接怒ったんでしょ?
海斗君に怒りを直接ぶつけたわけなんでしょ?だったら海斗君の
気持ちも直接聞かなくっちゃ…
ミクだけ直接言って、海斗君には電話とかで聞くってのは対等じゃないと
思うんだけど~?ちょっとズルくない?」
……ズルいですか?
先輩にズルいと言われバツが悪くなったので、口を尖らせながら
「だ、だって~今まで人にあんなに怒ったことが無いから、
どんな顔して会えばいいかが分からないんですよ…
怒った人に対して、どんな態度で会えばいいか分かんないんだもん…
ど、どんな顔して先輩に会えって言うんですか?」
私はまだ先輩に対して怒りを持っている。
だからあんまり会いたくは無い。しかし流香先輩がチャンスを
あげてと言うから会いに行くわけだけど…
どんな顔して会えばいいか分かんない…会ってなんて言えばいいの?
サトミとかと喧嘩しても、その喧嘩は小さいものだから
すぐに仲直りしてる。
いや、喧嘩の内に入らない喧嘩をしてるから…喧嘩とは言えないか…
でも昨日のは……昨日、私は本気で怒った。
だから……だからなんて言えばいいか分かんない…
なんて言えばいいんだ?
会って…ふざけんなこの馬鹿!って言えばいいのかな?
う~~ん、完璧に先輩にチャンスをあげる気が無いな~コレ…
「別にそんなに難しく考えなくてもいいんじゃない?
とゆうか、何にも言わなくて良いんじゃないかしら?ただ黙っていれば、
海斗君が謝ってくると思うわよ?」
「え、えぇ~?そんなんでいいんですか?
先輩と会って、ムス~っとしてるだけでいいんですか?」
先輩が言ったことをイメージすると、私は黙って怒っていたので、
それをそのまま聞くと先輩は困り顔で
「べ 、別にムス~っとしてなくてもいいじゃない…
ふ、普通に…聞いてほしいがあるなら聞きますよ?みたいな…
海斗君の弁明を聞いてちょうだいよ…ねっ?」
「………分かりました…努力しましょう…」
ムス~っとしないことを、先輩と約束した。
保証はできないけど…
そしてサッカー場に着き、私達の学校の子達がいる観客席に
先輩と私は並んで座った。
試合は前半が始まって15分ちょっと経っていて、私の学校と
相手の学校はそれぞれ1点ずつ取っていた。
横にいる先輩が得点を見て
「1対1か~う~ん、どうなるんだろう…?
ねぇ?ミクはどうなると思う?ウチの学校勝てると思う?」
先輩がウチの学校と言ったことに、少し懐かしさを感じた。
なんか…先輩が学校に戻ってきたみたいな…
先輩がまた3年生にいるみたいな……だから、だから私もまた、
私もまた合唱部に戻ったみたいな…
しかし、そんな懐かしいとゆう感覚は一瞬で消えてしまったので
「2対1で勝ちますよ…」
事実をありのまま言った
「へ?なんで2対1で勝つって分かるの?」
「今日の朝、この試合の夢を見たんですよ…ウチの学校が2点取って
勝ってる夢を見たんですよ…だからです」
自慢になるかどうかは分かんないが、私の正夢は100%当たる。
だから正夢とゆうより、予知夢と言ったほうが正確かな?
ただ夢を見ても、特別なことをしない限りはその夢どおりになるけど、
私が嫌な夢だから夢のとおりになりたくないと思い、
回避するため努力をすれば、夢のとおりにはならない。
1ッ月前にも、私は電車が事故る夢を見て、電車に乗らなかったおかげで、
電車の中で立ち往生する現実を避けることができた。
「あぁそうか…ミクはよく正夢を見る能力者だったわね」
「能力者って…なんですか、そのラノベみたいな言い方は…
流香先輩もラノベとか読む人だったんですか?」
ちなみに私が正夢をよく見ることは、合唱部の先輩たちはもちろん、
サトミとか同じ中学の子は大体知っている。
「そこまで読んではいないんだけど…まぁユキがよく貸してくれてたって
だけよ?お姉さんが漫画を描いてるから、家にラノベが腐るほどあるからって
貸してくれてたの……私はオタクじゃないからね?
そっかウチの学校が勝つんだ…なんかもう試合の結果を知ると、
応援する気が無くなっちゃったわね…」
そこまでですか?
「まぁ私は元から応援する気は無いですけど…じゃあどうします?
もう帰りますか?私はいっこうに構わないですけど…」
「そうやって逃げようとするんじゃありません」
私は諦めて、試合が終わるのを待った。
試合は私が夢で見たとおり、2対1で私達の学校が勝った。
ただ試合中、私達が海斗先輩を応援しなかったこともあり、海斗先輩は
私達に気がつかなかったみたいだ…
まぁ私が行かないって言ったからもあるんだろう…
しかし、サッカーやってる時だけは、真面目な顔してるのね……ふ~ん…
コートで走る先輩を見ながら、ぼんやりそう思った。
そして試合が終わると先輩が立ち上がって
「さて、行きますか…」
「マジで行くんですか?とゆーかどこで海斗先輩を待つんですか?
このサッカー場を出たとこで会うんですか?」
先輩を見上げながら言ったので、先輩は私を見下ろして
「ん?メゾールの近くに大っきい公園があるでしょ?あそこ」
当り前のように言う先輩にポカンとした
「は?じゃあなんでここまで来たんですか?まったく意味無いじゃないですか?」
私が当然の疑問を聞くと、今度は先輩がポカンとして
「ん~?意味?意味は………海斗君がサッカーしてる姿をミクに
見せるため…ってのはどう?」
「どう?って…つまり何にも考えてなかったんですね…」
頭のいい先輩が意味の無いことをするなんて…ちょっとショックだ…
「別に何にも考えてなかったわけじゃないわよ?ねぇミク?サッカーやってる
海斗君はどうだった?結構カッコよくなかった?」
「まぁ…真面目な顔もできるんだな~とは思いましたけど…それだけですね」
先輩はにっこり笑顔になって
「そっかそっか…連れて来た甲斐がありました~じゃあ行きましょ~」
そう言って出口に向かう先輩の背中を私は追いかけた
そして私達はメゾールの近くの公園で、海斗先輩が来るのを待った。
「さっき海斗君から返事があったんだけど、一回学校に行って、それから
こっちに来るみたい…だからあと10分ちょっとかな?」
サッカー場を出る前に海斗先輩に送ったメールの返事を、流香先輩が
教えてくれた。私は白い曇り空を見上げて
「そうですか……あ、なんか雨が降りそうじゃないですか?これは結構
ヤバいんじゃないですかね?降ったら困るな~」
自分でもわざとらしいと感じながらでも、帰りませんか?と言うと
「いい加減に諦めなさい…往生際が悪いわよ?それにもし本当に雨が降ったら、
そこのコンビニで傘を買えばいいでしょ?…ったく、この子は…」
そう言って頭を抱えた先輩に
「だ、だって~~……な、なんか緊張してきたから……」
「はぁ~じゃあほら、お金あげるからミルクティーでも買ってきなさい…」
先輩がジュース代を渡してきたので、受け取って
「……はい…行ってきます…ありがとうございます」
私は自販機に向かった
その後、私がジュースを飲みながら、帰りたい…と思っていると、流香先輩が
「あ、ほら海斗君が来たわよ…」
先輩の言う方に視線を向けると、海斗先輩は走って来て私の前に立って
「初音さん!昨日は怒らせちゃってごめんなさい!」
私に頭を下げた。
まぁ予想できてたことなので、特には驚かないけど……
私は頭を下げてる海斗先輩じゃなく、横にいる流香先輩を見ると、、
なんか言ってあげたら?と目で言われたけど、私は何にも言わなかった。
だって、もう怒ってませんよ?とは言えない…まだ許してないから…
気にしてませんよ…とも言えない…だってまだ気にしてるから…
だから何にも言えない…何にも言わない…
先輩が顔を上げたのでその顔を見ると、その顔は気弱な感じの顔だった。
悪いことをして叱られて、しょんぼりしてる子供のような顔だった。
「あの…ホントに馬鹿なことを考えてごめんなさい……できることなら、
もう一度チャンスを下さい…お願いします…」
先輩はそう言ってまた頭を下げた
謝ってるけど、どんな風に悪かったかちゃんと分かってるのかな?
自分が人の気持ちを…私をどんな風に扱ったか、ちゃんと分ってるの?
私が昨日かなり怒ったし、1日経って考えただろうし、いくら無神経な
人間でも普通は分かるはずだ。
だからいくらこのお馬鹿な人だってきっと…少しぐらいは…
いや、まったく分かってないんだろうな。
だって思い返してみても、昨日私は先輩に何回も思ったことを言い過ぎだと…
何回も先輩の考えなしの言葉に…先輩の思ったままの言葉にイラついていた。
お昼ご飯を食べてる時も、先輩は私が映画の話をしないでと言ったのに対し、
なんで?と聞いてきた。
私は少しだけ苛立ちながら言ったから…誰でも分かるように言ったつもり
だったけど、先輩は分からなかった…だから先輩にカチンときた。
Lilyのイベントの前もそうだ。イベントの時もそうだ。
ずっと先輩に言っていたにもかかわらず、先輩は私を苛立たせていた。
だからきっと…先輩は今だに分かっていないんだろう…
だから私は何にも言えない…怒っても無駄だから、何にも言わない…
すると流香先輩が優しい顔して
「海斗君もこう言ってることだし…もう一度チャンスをあげられないかな?
お願いミク…私からもお願いするから、ね?」
私は流香先輩を見た後、視線を海斗先輩に戻して
「…先輩は私が何に…どうして怒ったか分かっていますか?」
あえて聞きにくいことを…答えにくい確信を聞いた。
だってそれが原因だし、それが分かってないと謝っても意味が無いから…
「………親戚の子に聞いたら、初音さんの気持ち…とゆうか、初音さんの
ことを何だと思ってるの?って…物か何かと勘違いしてるんじゃない?って
怒られて…そうなんだって思った……」
……自分で気づいたわけじゃないんだ……なんだ…
でもわざわざ教えてもらったことを、馬鹿正直に言うか…?
ほんとこの人って馬鹿…なに考えてんだよ…
「そうですか…教えてもらって気づいたんですか……………」
先輩の馬鹿正直な答えに少しだけ、なぜか少しだけ寂しさを感じた。
この人は…私の気持ちに気づくことはできないんだ……
じゃあもういいや……もうチャンスも何も無いよ…
この人は自分でチャンスを潰した…だから、もう終わりにしよう…
最後に私とのデートの感想を聞いて……それで終わりだ。
6月ハーモニー 未来音符 その14
6月ハーモニー 未来音符 その14
カイトをどうにも憎めないキャラにしたい…
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6.
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