Lied~青い瞳の死神~
「Memoiren~Schwester~」


 私はお父様とお母様のたった一人の娘。

 私はお父様とお母様に愛されている。

 誰にもこの『幸せ』は渡さないわ。

 私の『幸せ』を奪う邪魔者は……。


 私には双子の弟が居た。
 ある日、その弟が居なくなった。

 お父様とお母様は悲しんだ。

 悲しんで、悲しんで、悲しんで……。


 『私』だけを愛するようになった。


 お父様とお母様は、私の言う事を何でも聞いてくれる。

 綺麗な宝石(Edelstein)。
 可愛い愛玩動物(Lieblingstier)。

 何でも与えてくれる、優しいお父様とお母様。


 『私』は、とても『幸せ』よ。


 でも、いつの頃からだったかな。

 お父様とお母様は次第に私をお屋敷から出さなくなった。

 弟の時みたいに何処にも居なくならないように。

 ……ずっと……ずっと、傍に……。


 其れでも『私』は、とても『幸せ』よ。



 『お父様とお母様を独占(ひとりじめに)出来るのなら』



 私には、もう一つ『大切なもの』があった。

 青い瞳の『彼』。柔らかな物腰と整った容貌。

 彼は私が小さい頃から家に仕えている執事。

 私は少し年上の彼の魅力に惹かれていた。
 そして彼も、私の事を好いてくれた。


 『お嬢様、愛していますよ』


 所謂、身分違いの恋。

 私は彼にも愛されている。


 『私』は、とても『幸せ』よ。


 そんなある日の事。
 突然、私は彼から大事な話があると呼び出された。

 私の心は躍る。
 いつも二人が人目を忍んで愛を語る場所に私は向かう。

 何かしら?大事な話って……。


 この日の空には、満月が浮かんでいた。

 私は彼を待った。

 雲が満月を隠して。
 薄暗い東屋。

 背後に人の気配を感じた。きっと『彼』だ。



 【Blut】



 淡い月影。其れは刹那の出来事。

 私の目に映ったのは

 私と全く同じ顔をした少年。


 『な……ん、で…………』


 私の視界は霞んでゆく。

 嗚呼……何で……何……で……。



 私の方が先に生まれたのに

 男というだけで『弟』は

 お父様とお母様の愛を一心に受けていた。


 私はそれがどうしても許せなかった。

 だからあの日、私は弟を……。


 お父様とお母様に愛される事が私の『幸せ』なの。

 私の『幸せ』を奪う弟(じゃまもの)は……。



 『消えてよ』



 私の命は、もうすぐ尽きる。

 彼も来てくれない。

 ……ううん、そんな事はもうどうでもいいの。


 ねぇ……アナタ……何で……。



 マ           キ                ?                ダ               ル
         イ        テ        ノ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

Memoiren~Schwester~

注:経験の浅いサンホラ好きの妄想です。

Liedの歪んだ愛情に囚われた令嬢のお話。
Memoiren~Schwester~(メモアーレン~シュヴェスター~)は
ドイツ語で「回想録」、「姉」。

途中のドイツ語の読み方は
Edelstein(エーデルシュタイン)
Lieblingstier(リープリングスティーア)
Blut(前回参照)

本当、青い瞳って誰だよ(笑)。
色々想像しちゃってください。

はぁ……そろそろドイツ語がネタ切れかも。今回少ない(汗)。
そもそも今回はクオリティが微妙な気が……むぅ。

ドイツ語の読み方は一応調べてはきたんですが
もしかしたら間違えてるかもしれません。
はっきりしなくてごめんなさいです。 orz

イラスト、歌詞、曲を募集してます。
心の広い方がいたらお願いします。m(_ _)m

追記:ん?タグを見たら……!!
   シリーズだって!やったー!!嬉しいな!
   今夜(?)は祭りd(殴

閲覧数:241

投稿日:2009/04/16 10:59:32

文字数:1,238文字

カテゴリ:小説

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  • 秋徒

    秋徒

    ご意見・ご感想

    初めまして。こっそりストーカーしている者です┃・ω・`)
     このシリーズも、あとルカ様と兄さんだけですね。ぞっこんなボカロ家族の中でも兄さんが一際好きなので、最後が楽しみです。

    2009/04/16 17:53:18

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