グイッ…
本の終わりに書かれていた「fin...」という文字を読んだ途端に僕は襟首を後ろに引っ張られるような感覚に襲われた。そして、視界は病室ではなく元の図書館に戻っていた。
タタタタタタタ、タタタタタン…タラタラララ、タンタンタタタン…
放心している僕の耳に入ってくるメロディー。僕は驚き振り向くと、館長の男がピアノにもたれ掛かるかのように立ち、音のずれたピアノを弾いていた。僕はしばらくどうすればよいかわからず固まっていたが、自分の中で男への不満と文句を整理した後、話始めた。
「紅茶はもう飽きられたのですか?」
「ふむ…君があまりにもその本の世界から帰ってくるのが遅かったのでな、飲み干してしまった。」
男は心底面倒臭そうに首を振る。彼は既にピアノから手を離していた。
「それは失礼しました。」
僕はそんな態度の男へと沸々と怒りの感情が高ぶるのを感じながら、出来る限り皮肉っぽく聞こえるよう努力して相槌を打った。
「それで、あの本と事件には何か関係があるのですか?」
僕が控えめな声量で言う。
「探偵ともあろうものがそんなことにも気づかなかったのか?」
僕は男の言葉に衝撃を受けた。少なくとも僕が一通り読んだだけでは、この本は下手な恋愛小説ぐらいのものにしか感じなかったのだ。しかし、男の言い方を見る限りだとどうやら僕は重大な点を見落としているようだ。そこで僕はもう一度「ぼくにピアノを弾かせて」の本を取り、開こうとする。だが、それを男が止める。
「その、本には直接的に事件に関わるものはないよ。」
「へ!?」
今、まさに本を開こうとしていた僕はそこでフリーズする。対して男は微笑を浮かべながら僕に一歩近づく。
「つまり、この本と事件には直接関係が無いと言うことにも気づけなかったのかということだ。」
僕は拍子抜けした。元々この本を僕に薦めてきたのはこの男だ。そして男は、僕が何のためにこんなかび臭い図書館に来ているのか知っている。にも関わらず全く関係の無い本を薦めてきた。僕は男の意図を図りかねた。
「では、何故この本を僕に?」
たまたまとか適当とかとにかくいい加減な答えが返ってきたら、すぐさまこの男を吹っ飛ばせるように身体に力を込めながら僕は尋ねた。
「物事には順序がある。次はこの本だ。」
僕はまたしても肩透かしを食らった。会話が噛み合っていないのだ。
「ですから…」
「安心しなさい。その本は事件についてドンピシャで書かれている。」
僕が抗議の声を上げようとしたとき、男が静かに言った。そして、彼の手の中の本のタイトルを見た。
『ナゾトキ』
僕はイロイロ気に入らなかったが、その本を手に取ると開く。再び物語りに吸い込まれていくような感覚に襲われる。そんな中…
「さて、それでは私は紅茶を補充してこようか…」
という声が聞こえた気がした…
episode2 ―ナゾトキ―
犯人の物語―ナゾトキ・ナゾカケ・ぼくにピアノを弾かせて(間奏①)―
ひなた春花さん(http://piapro.jp/haruhana)の名作ナゾトキ(http://piapro.jp/t/1XmV)・ナゾカケ(http://piapro.jp/t/WzK5)・ぼくにピアノを弾かせて(http://piapro.jp/t/Trb-)をまとめて小説にしてしまおうプロジェクトもいよいよ本番ですね!
作者、若干疲れてますが頑張ります!!
続き(http://piapro.jp/t/j4Fo)
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