《ピリリリリリリリリリ!!》
突然着信音が鳴り、ルカがポケットから携帯を取り出した。
「あ……ドンキーからだ。」
「あれ?ルカ姉着信変えたの?前『星屑ユートピア』だったんじゃ?」
「ここんとこのごたごたで壊れたのよ……。はい、もしもし?ドンキー、どーしたの?…………え!?ホント!?……うん、わかった!ありがとね!」
嬉しそうに電話を切ったルカ。期待しながら、ミクが顔を覗き込んだ。
「……今ドンキーから連絡があって、初美さんと和也君の手術、無事終わったって!命に別条はないみたい!」
『おおおおおおおお!!よかったああああああああああ(涙)』
リンとレンの息の合った歓声に、ロシアンも目を細めた。
『大したものだ……まさか悪之介の襲撃を喰らって生き延びることができるとは。見つけてもらった相手が良かったようだな。』
そして前を見て、一転厳しい表情に変わる。
『だが問題はその悪之介だ……もう日が暮れるというのに、何の手がかりもないとは……。』
ロシアンがイライラしだした、その時だ。
「にゃうにゃー!」
一匹の猫が路地から飛び出て、ロシアンに駆け寄ってきた。
「みゃう、にゃるろぅ!」
「にゃあ―る!?……にゃう、にゃるにゃ――!!」
簡単な会話を交わした後、突然ロシアンが駆け出した。慌てて追うルカ達。
「ど……どうしたの!?」
『悪之介を見つけた!!ここから少し離れたコンテナ置き場だ!!距離があるから全速力で飛ばすぞ!!!』
「!!!!」
ロシアンは一気にスピードを上げていく。
―――――――――――すると。
『……!?』
隣に現れた影を見て、ロシアンは目を見張った。ルカが―――――ロシアンのスピードと同等の速さで走っている。
(吾輩のスピードに合わせてくるとは……怒りから来るものもあるのかもしれないが、しばらく見ぬ間に相当底力を上げたようだな……!)
路地を駆け抜け、ビルの隙間を駆け抜け―――――たどり着いたそこはコンテナ置き場。
『!!』
全員の視線が、コンテナ置き場の中心―――コンテナが置いておらず、広場の様になっているところに集まる。
そこにいたのは、全身黒スーツで固めた男。だがところどころに―――――赤黒いシミがあった。
『いたぞ、悪之介だ!!』
「……!!こいつが……!!」
男―――――富岡悪之介はルカ達に振り向いて、僅かに驚いた顔をした。
「な……何だてめぇら!!」
「決まってるでしょ!!あんたを初美さん達の傷害容疑で逮捕するためよ!!」
ミクが目を赤く光らせながら悪之介に詰め寄った。『Dark』が発動しかけている。怒りがすでに爆発しているようだ。
「は!?わけわからねぇな?そんな証拠がどこに――――――」
「……証拠その一。両袖口とズボンの裾についた赤黒いシミ。証拠その二。現場に残っていたゲソコン(下足痕)から判定された種類の靴を履いていて、その靴にも赤黒いシミが残っている。証拠その三。右手にひっかかれた様な三本の爪の痕。富岡初美の右手の指三本の爪の間には犯人の物と思しき肉片が挟まっていた。襲われた瞬間に咄嗟に引っ掻いたのでしょう……そろそろDNA鑑定も終わるはず。あなたが犯人でないというならば……その赤黒いシミの成分と、あなたの皮膚片ないしは髪の毛のDNAを鑑定させていただいてもよろしいかしら……!」
ルカが淡々と述べる証拠の数々に、思わず圧倒される悪之介。
圧倒されていたのは悪之介だけではない。ミク達もまた、全身の鳥肌が収まらなかった。
なぜなら―――――淡々と無表情のまま話すルカの表情は、爆発寸前の怒りを表していたから。
「……へ……へっ、バレバレみてーだなぁ。ああそうさ!!初美と和也を斬ったのは俺だよ!!何せ親分からの命令だからなぁ……『妻と息子を殺せ』ってなぁ!!」
「なっ……てめぇ、なんつーふざけたことを!!」
怒り心頭のレンが食ってかかるが、悪之介はどこ吹く風だ。
「けっ、ふざけたこと?はははははははは!!親分の命令は絶対なんでな!!例え対象が初美と和也であろうと、親分の命あらば斬り殺すまでさ!!」
全員の顔が怒りに歪み、攻撃態勢に移ろうとする。それを見て、悪之介も腰の二丁ナイフを手に持って構えた。
「俺がこれまでに斬った人数は9994人……!てめえら6人を斬って、俺は万人切りの覇者になってやんゼ!!まずはそこの桃髪の女ァ!!俺の刃をよけられるかよぉおおおお!!!?」
地面を割るような踏み込みで、突っ込もうとした瞬間!!
――――――――――鮮やかな桃髪が、悪之介の顔を撫で。
「……へ?」
悪之介が素っ頓狂な声を上げたのとほぼ同時に。
その桃髪の主―――――堪忍袋の緒が切れたルカが、通り過ぎざま小さく叫んだ。
―――――蛸 足 滅 砕 陣!!―――――
無音のまま、悪之介が地面にめり込んだ。
無音のまま、悪之介の周りの地面が一気に陥没した。
そして更にその周りのコンテナが粉々に砕かれた瞬間。
《―――――――――――――――――――――ズッドオオオオオンン!!!!》
まるで戦艦か何かが撃沈されるような爆音―――――もとい轟音が鳴り響いた。
それは―――――がくぽとの戦闘時にも、リリィとの決闘時にも見せることのなかった、正真正銘本気の蛸足滅砕陣―――――蛸足滅砕陣《破音》。
その8本の鉄鞭の切っ先はマッハ5を超え、触れるもの全てを打ち砕き、周りのもの全てを生みだす風圧と衝撃波で押しつぶし、切り刻む。その恐怖の破壊の音―――――『破音』がやってくるのは、全てが終わった直後なのだ。
へこんだ地面に沈む悪之介に向かって、ルカが負の感情のこもった目つきで睨みつけ、吐き捨てた。
『……その命を持って彼女達に詫びて来い!!!!』
唖然とした表情で見るミク達。そしてメイコは、最早苦笑いしか出てこなかった。
(ほんっと容疑者が哀れに見えること……。敵にはしたくないわ―。ホントもう。)
クレーターの中心には、両手両足がありえない方向にねじ曲がり、白目をむき泡を吹く悪之介がいた。奇蹟的に息はあるようだが、その両手両足の機能は戻りそうな気がしないほど破壊されていた。
その時だ。
「お、おいなんだ今の音は…!?」
「!?見ろ、悪之介の兄貴が!!」
「てっ、てめえらの仕業かぁ!!五体満足で帰れると思うんじゃねーぞ!!」
わらわらと集まってきたのは、黒猫組の組員たち。100入るだろうか、兄貴分である悪之介を倒されたことで頭に血が上っているようだ。
未だに怒り収まらぬルカは、両手の8本の鞭を握りしめ、向き直る。
「あんたらもまとめて全部―――――殺s」
「待ったルカちゃん!!」
突如、凛と響いた声がある。カイトだ。
「何よ!?邪魔しないでカイトさっ……!?」
思い切り怒鳴りつけようとして、ルカは思わずはっとして動きを止めた。
全身から静かな闘気が舞いあがるようだった。薄い金色に輝く月を背に、蒼く煌めくマフラーをたなびかせるカイトがそこにいた。
「……君が初美さんと和也君を斬られて怒ったように、彼らにも、彼らが怪我をしたり死んだりすれば悲しみ、怒る家族がいるだろう。例え悪党とはいえ、君と同じような悲しみを味わわせてはならないよ。」
ゆっくりと前へ出るカイト。漆黒に染まっていく両手と、その甲に浮かび上がった純白の『卑』の文字を輝かせながら。
『まぁ見ていなさい。俺が彼らを、一人も死なさず家に帰らせて見せよう…!!』
それは、『蒼紅の卑怯戦士』のショーの始まりだった。
ボーカロイド達の慰安旅行 Ⅷ~ルカ、大爆発!!~
((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル……
ルカさんマジ怖い(泣)
こんにちはTurndogです……
自分で書いてて鳥肌が止まりません。
稀によくある『自分のキャラに恐怖させられる現象』ですねわかりm(ry
リスタートして最初の蛸足滅砕陣がまさかの本気モード。
裏設定ではがくぽの時が60%、リリィの時が50%だったという噂も……。
なんでフツーの人間相手に全力だしちゃうのかなwww
次回はカイトが頑張るみたいですが、ぞうきんに何ができるのやら……ん、どうしたカイト?髪整えて黒サングラスかけt
ムスカイト『口を慎みたまえ。君はボカロ王の前にいるのだ』
なっ!!?き……貴様はまさかっ!!?
コメント3
関連動画0
オススメ作品
円尾坂の仕立屋
詞/曲 mothy
円尾坂の片隅にある 仕立屋の若き女主人
気立てのよさと確かな腕で 近所でも評判の娘
そんな彼女の悩みごとは 愛するあの人の浮気症
「私というものがありながら 家に帰ってきやしない」
だけど仕事は頑張らなきゃ 鋏を片手に一生懸命
母の形見の裁縫鋏 研げば研ぐほどよく...円尾坂の仕立屋
mothy_悪ノP
(サビ)
愛されない
愛されないの あなた 私には
いい加減に 理解して
欲しくない いらないの そんなもの
ゴミにするのも 面倒だから
愛されないの 理解して
(Aメロ)
つまらない 真夏の公園 デートに
一日割いた...【絵師様・作曲家様決定】愛されない(作業中です)
こーたろー
「君へ続く軌跡」作詞作曲/駒木優
心のなかは空っぽで 何してても
頑張れずに
一つのことも成し遂げれない
自分が嫌になるよ 今も
当たり前も できない
僕を責めた いつだって
必死で 生きてるのに伝わらない
居場所が 奪われてゆく
声や視線が 雨のように...君へ続く軌跡_歌詞
駒木優
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】
ゆるりー
【頭】
あぁ。
【サビ】
哀れみで私を見ないで
(探したい恋は見つからないから)
振られる度に見つけて
いまは見えないあなた
【A1】
儚い意識は崩れる
私と言うものがありながら...【♪修】スレ違い、あなた。
つち(fullmoon)
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
イズミ草
ご意見・ご感想
『蒼紅の卑怯戦士』のショー……なんか、アレだ……www
というか、悪之介って、親御さんに悪意が感じる……名前w
2013/03/21 18:42:15
Turndog~ターンドッグ~
うん、アレすぎですwww
そういやそうだな……ww何だこの凄まじい名前。
2013/03/21 20:48:04
しるる
ご意見・ご感想
いつも、ターンドッグさんのを見ると、戦闘ものを書きたくなる……けど、なかなか踏み出さない←
こうして、初期最強のメイコバーストは……ヤムチャになったのだった……
2013/03/19 23:17:37
Turndog~ターンドッグ~
うん、覚悟がいると思う……ww色々な意味で。
まだまだ……めーちゃんはここで背景に徹する人じゃないのだ!
2013/03/20 00:05:27
ゆるりー
ご意見・ご感想
ル、ルカさn…じゃなかったアネさん、どうしましたこんな夜中に?
え?すっごくムカついたヤツがいたからフルボッコで【ピー】で【ピー】した?そ、そうですか…
どうしよう目が笑ってないよ…((((;゜Д゜))))
「紫の髪の人ってきっとg…おや誰かきたようだ」(フラグ)
悪之助…面倒だからあっさんでいいや、おめさんなんてことしてんのや!?
かわいいかわいい嫁と息子を「親分の命令」だから斬っただとォ……(怒りパラメータ急上昇)
(ピピーッ!!)全員いるな?今から「黒猫組」とかよくわからんがぶっ潰しに行くぞ☆←
あと、あっさんはめっちゃボコボコにs…え?ルカのアネさんが全国放送とか子供に見せちゃいけないような状態まで痛めつけた?そ、そうっすか…すげー仕事っすね……(ガクガク)
初美さんと和也くんが助かってよかったです!
え?こんな酷いことしたあっさん?大丈夫、うちのがっくん派遣して一分おきにチョークアタックさせるから((地味につらいわ
ロシアンはいつもタイミングがいいですね!
まるで《お持て成し占い》さんみたいじゃないですk…なんでもないですよ。
カイトが「俺」…だと(ガタッ
最後に…あっさん!あんた人斬りすぎや、もう歴史に残る大惨事でしょそれは…w
2013/03/14 23:58:03
Turndog~ターンドッグ~
悪之介の【ピー】はおそらく【自主規制】になってると思うwww
?????『はて、今誰か呼んだような…』
あっさんてwwww
全軍突撃だぁ―<(`^´)>どどどどど
悪之介の関節は多分骨粉になってると思うwww
ゆるりー'sがっくん『それ!それ!』
悪之介『アッ―!!』
ロシアラル・フラグ『そんな猫を有名人でしか例えることのできない哀れな貴様に吾輩が言葉を送ろう。墓場まで持ってゆくとよい。―――――親しき仲にも冷気あり、なのだぞ?』
全世界のカイト廃+αよ、立ち上がれ!(ガタッ
間違いなく死刑確定な人www
ルカさんついでにやってしまえ(((
2013/03/15 17:39:44