なぁ、俺の目の前に死体があるんだがこれどうすればいいの?


目の前には血だらけの俺の彼女。
なにが起こったのかって?
この部屋には俺と、彼女しかいない。そして彼女は血だらけ。
分かるだろ?俺が殺したんだよ。
俺の手には包丁が握られているんだ。包丁には血。
彼女の血だ。

「・・・どうしよう・・・?」

俺は死体処理なんてしたことがない。・・・刻めばいいのか?煮る?
うっわー・・・ガチで思いつかねぇ・・・。
でもこのままじゃまずいよなぁ・・・。早く処分したい・・・。
・・・あれ?俺今なんて・・・?早く処分したい?え?俺の大好きなリンを?
あ、違った。リンの遺体だ。
・・・不思議だなぁ。
リンが生きていた頃はあんなにリンを愛してたのに、殺したらなんか冷めちゃった。あーあ。
所詮こんな物なんだよな、愛情って。
結局は自分が一番可愛いんだよね。
あー・・・てかマジでどうしよう・・・。

「あー・・・めんどくせー。」

燃やす、それはだめだ。今、何時だと思う?午前2時だよ。
草木も眠る丑三つ時だよ。
でもね、見られたらどうする?
怪しいだろ?
あー・・・これが田舎だったらうまく行きそうなのに・・・。
でも、車に乗せても怪しまれるだろう。ああ!!もう!!!ほんとなんなんだよ!!
海?だめだ。ぷかぷかダメ絶対。
やっぱ、刻んだりするのか?3分クッキング~。
あー、骨どうしよう・・・。包丁で切れるの?
俺、素人丸出しじゃん。
ミキサーって効果あんのか?昔、女殺してミキサーに掛けて喰ってた奴いたな。
でも俺、カニバリズム無理だわ。喰えない。気持ち悪い。

俺は再び目の前に転がっている死体を見つめた。
・・・やっちゃったんだなぁ・・・。
殺すつもりはなかったと言えば嘘になる。
その積もりに積もった殺意がちょっとしたことで爆発したんだ。あぁ、あっけないな。
俺は死体の髪を撫でてみた。うん、変わらない。
生きている時と同じだ。嬉しい。

てかマジで分かんない。
このままだと死体と一晩過ごすわけなんだが・・・。
うーん、とりあえずこう言う時はネットだ。
俺はパソコンを立ち上げた。
グーグル先生・・・グーグル先生・・・。頼んだぞ。
俺は「死体処理 方法」でググってみた。
色々と怪しいものが出てきた。
メモメモ・・・。
手、切っちゃうのか・・・。もったいない。
あ、やっぱばらすか。
ばらしたやつ分けてゴミに出そう。
・・・俺が死ぬまではばれませんように。
さて、切れ味のいい包丁買ってくるか。
後、ゴミ袋。後、消臭剤とかも必要だな。
俺の住んでる所はマンションだ。
隣人から「悪臭がする」なんて言われたらもうアウトだ。
死体が腐らない内に行かなくちゃ。

俺は部屋を出て、ホームセンターに向かった。
あ、俺風呂入ってない・・・。やばいな。臭いで勘付かれませんように。

しばらくするとホームセンターに着いた。
えーっと、包丁・・・包丁・・・。
ここら辺だな。やっぱ出刃包丁?大体の目的が解体だし。うん、これにしよう。
あー、なんかドキドキしてきた。包丁5本でいいかな。
ゴミ袋はこれにしよう、後消臭剤は猫の砂でいいや。
よし、レッツレジ!
俺は店員に品物を渡した。
俺は財布を取り出し会計を済ませホームセンターを後にした。

しばらくするとマンションに着いた。
よし、やるか!
まずは手からだな。
関節めんどい・・・。


10時間だ。何に費やした時間かって?死体をばらすのにだよ。
目の前には無残な姿になった彼女がいる。
終わった、全て終わったんだ。
もう、弄ばれることもないし財布代わりにされることもない。
でもね、なんか寂しいです。
この気持ちは何なんだろう?胸がうずうずします。
なにで埋めればいいのか分からない。
あれ?俺なんで泣いてるんだ?
ずっと心の奥底で望んでたことじゃないか。なぁ!!なんでだよ!!
こんな奴・・・こんな奴死んで当然だ。
そうだ、きっとそうだ。
そうじゃなきゃ許せない。
胸は痛まない。ただ、ムズムズするんだ。何かが消えたんだよな。
その何かは彼女なんだけどね。
いいじゃないか。これでもう財布代わりにならなくてもいい!
嫌なことばっかりだった。
何か買ってやった時はデレデレする癖に金が無くなると態度が悪くなる。
他の男と・・・ああ・・・もういいんだよな。
もう鴨にならなくてもいいんだ!

『え!?これくれるの!?ありがと~!レン大好き~!!』

『は?金が無いから今月のプレゼントはなし?・・・レンの私への愛情ってその程度なんだ。』

ちゃんと愛してました。
でも君は歪んでいくだけで。
僕を愛してくれなくて。
僕も歪んで行ったけど、君を愛していたんだ。

なーにが愛情だっての。
お前、超ビッチ。
死ねばいいのに。
って、もう死んでるんだよな。
あははは・・・悲しいです。虚しいです。愛しいです。
大好きなんです。
なんでこんなことしたんですか。なぁ、なぁ!!!
君がこんなことしなくちゃ俺はこうならなかった。
俺が君を殺さなければ俺はこんな気持ちに苛まれることはなかった。
君が歪まなくちゃ俺はこうならなかった。
君があの時のままでいてくれたらこうはならなかった。
俺がもっと優しかったら君が歪むことも君を殺すこともなかった。
そもそもあの時俺が君に惚れなかったらこうはならなかった。
そもそも、俺が君に出会わなかったらこんなことにならなかった。
俺が生まれて来なければ君はこうならなかった。
殺されて、自慢の綺麗な体をバラバラにされることもなかったのにね。

冷静になって考えてみる。
うん、泣こう。

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。

寝ようか。ゴミは明日出そう。
俺はベッドに倒れこんだ。
柔らかい。
少しでもいいから忘れよう。
いい夢が見れますように・・・!!
夢の中まで出てこないでね。
俺はその日は疲れていたのでぐっすりと眠ってしまった。


『レン、愛してる。』

うるさい。

『レン、大好きだよ!』

黙れ。

『レンってほんと優しいんだね。』

うるさいうるさい。黙れ。喋るな。こっちを見るな。

『レン、見て見てー!なんかちっちゃい蟹!』

うるさい、消えろ。なんでそんな可愛い顔してんだよ。

『レーン!誕生日おめでと~!』

死ね。

『え!?これ誕生日プレゼント!?ほんとに!?ありがとね!!』

黙って。お願い、黙って。

『は?なに?お金が無い?何けちってんの~、ほらほら~!』

お願い、昔に戻って。

『どこで誰と居ようが私の勝手でしょ?なんでいちいちレンに文句言われなきゃなんないの?』

うん、ごめんね。だから戻ってよ。

『は!!?なにそれ!?あんたは私の奴隷なの!分かった?』

違う、俺は奴隷じゃないんだ。

『れ・・・ん・・・愛して・・・る・・・からね・・・。』

終わったね。俺の目の前には血だらけになった彼女がいた。

俺の胸の中のどす黒いなにかとは裏腹に人を殺して迎えた朝は清々しかった。
そして、とても残酷だった。
カーテンの隙間から入ってくる眩しい光、チュンチュンと鳴く鳥。
うん、これが普通なんだ。
俺が異常なだけ。
でもこの「異常な奴」が世界にはたくさんいる。
過ちを犯してしまったことで世界の視点が変わってしまっただけ。
さぁ、墓場まで持って行こうか。
俺はゴミ袋を持って外へ出た。


あれから20年が経った。
俺は結婚して、子供も出来た。
毎日が幸せで、あの事も忘れ始めていた。
でも、幸せなんてものは存在しなかったんだ。
神様、今までありがとう。
インターホンが終わりを告げた。

「あ、鏡音レンさんですか?どうも、初めまして、○○署の田中です。」

え?警察?なんで俺が?俺、何もしてないよ?

「は?なんで警察がうちに?何か御用でしょうか?」

中年の男は苦笑いをしながら俺に終わりを告げた。

「あなたを殺人罪で逮捕します。」

いやいやいや!!笑い事じゃねーって!!
まじかよ・・・今頃・・・?
後ろから静かな足音が聞こえてくる。
なぁ、どうしたんだよ?いつもなら我が子はバタバタと音を立てこちらに向かって来る筈だ。
俺の可愛い奥さんだってあんな絶望的な足音たてない。
俺は恐る恐る後ろを振り返ってみる。
現実って残酷だね。
そこに居たのは妻と我が子であった。

「レンさん・・・?れ・・・ん・・・さ・・・ん?え・・・?人を・・・殺したんですか・・・?」

「パパ・・・?ねぇ・・・ほんとなの・・・?ねぇ!!!パパ!!」

「なぁに言ってるんだ!俺が人を殺す訳ないじゃないか!パパはヒーローだぞ!」

俺、今きっと凄い顔してるんだろうな。

「いいえ、あなたは20年前あなたの恋人鏡音リンを殺しました。」

鏡音リン・・・?ああ、いたなそんな奴。確かバラバラになって死んだんだっけ?
ざまぁみろとしか言い様がない。

「おいおい、俺が人を殺す?そんな訳ないでしょう?刑事さん。」

妻はガタガタ震えて声が出せなくなっている。
子供はただただそこに立っていた。虚ろな目をして。

「いやぁ、もう証拠上がってるんですよねー。ね?捕まっちゃいましょうよ?ね?」

「い、嫌だ!!見ろ!俺には家庭がある!お前とは違う!こいつらを悲しませる様な事は出来ない!」

「いや、あなたが20年前に人を殺さなければこうはならなかったと思いますよ?」

「・・・違うっ!!!」

「違わない。さぁ、大人しく捕まってもらおうか。」

刑事の口調がだんだん荒くなってくる。

「違う!!違うんだ!!信じてくれっ!!俺じゃない!」

俺の手首に手錠が嵌った。


ハッとなって目が覚めた。
・・・なんだ夢か。嫌な夢だな。俺がリンを殺すなんて。
俺の横にはリンがすやすやと寝息を立て眠っていた。
うん、ちゃんと生きてる。


俺は台所へ向かい包丁を手に取った。

「リン、起きて。」

起きないと殺しちゃうよ?

「う・・・ん・・・?レン・・・?」

起きても殺すけどね。

「うん、俺だよ。」

「レン・・・?後ろに何隠してるの?」

「ああ、待ってて。目瞑っててね。」

彼女はキスを待つみたいに目を閉じた。

「これはね、リンとさよならするための道具なんだ。使い方は他にもたくさんあるけどね。」

俺は包丁を振り上げた。

「え?」

「あ、聞こえなかった?でも俺同じこと二回も言うの嫌なんだ。」

これでさよならだ。

「地獄で会おうね?」

「れ・・・ん・・・愛して・・・る・・・からね・・・。」

さて、お前ら俺の目の前に死体があるんだがこれどうすればいいの?

俺はきっとあの夢の様に君を殺してそのまま生きて行くなんてことは出来ない。
だから、俺も地獄行きの列車に乗るんだ。
切符はこの包丁。

さよなら、この世界。
こんにちは、地獄。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

地獄で仲良くしましょうか。

珍しくリンがビッチだった。
連載進めろ。自分。

閲覧数:722

投稿日:2011/09/10 22:44:23

文字数:4,787文字

カテゴリ:小説

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  • 美亜 瑠璃

    美亜 瑠璃

    ご意見・ご感想

    美亜 瑠璃の片割れ、瑠璃デス。

    ああ怖い、ヤンデレだぁ。
    グーグルさんは何してくれちゃってるんだw
    リンちゃんが束縛屋さんだったってのもあるでしょうが。
    リンの肉・・・血・・・じゅる(危

    無理心中お疲れ様でした。これからも頑張って下さい(違
    ブクマもらいます^^

    2011/09/19 16:01:43

    • なのこ

      なのこ

      どうも、初めまして瑠璃さん。

      ヤンデレっ子は純粋なだけです。・・・怖いけど。
      グーグル先生は優秀なんだけど・・・うーん・・・。
      リンちゃん、束縛しちゃだめだよ?

      ストーップ!ストップ!

      励ましありがとうございました!

      ブクマありがとうございました!

      2011/09/23 18:35:02

  • シベリア

    シベリア

    ご意見・ご感想

    ……なんでだろ…ものすごく好みなんだが…。。
    いつもこういうことばかり妄想して、こういう小説死ぬほど読みたかったwなぜうちの心を読めたんだ!?←
    うちも病んでたりするからn(((

    流血表現最高!ヤンデレ最高!!大好きだ!

    人の骨って包丁とかナイフで切れるのかな…wこれはかなり前から疑問に思ってたw
    レンww包丁5本ってww多いww
    そういえばひ○らしでも死体を分けて捨ててたねww

    うちが友達にヤンデレとか言われてるのは秘密だy((((
    よし、ブクマ連打するか。

    2011/09/10 23:52:43

    • なのこ

      なのこ

      好みとか嬉しい。
      それはね・・・私がエスパーだからさ!←

      いいよねいいよね!
      でもヤンデレって現実にいたら怖い・・・。

      だよなー。
      これ書くときに一番悩んだ。
      肉とかで切れ味悪くなるからな。
      ひ○らしwwwwえ?レナさんの回?

      マジでかYO!

      あ、ブクマすると爆発するからね!

      2011/09/14 07:51:03

  • アストリア@生きてるよ

    なんか最近なのこちゃんの作品シリアス多いっすねー……

    いや、ヤンデレが増えてるのか…

    頑張って明るいのも…書かなくてもこれはこれで面白いですーw

    リンちゃんビッチ!レン君ピンチ!

    警察の田中さん、あなたをレン君を捕逮捕した罪で逮捕します(((ぇ

    2011/09/10 23:09:01

    • なのこ

      なのこ

      基本短編はシリアスですね?ほのぼの書きにくい・・・ちくしょう!
      テヘペロ!
      面白いとか言ってもらえればめちゃくちゃ嬉しいです!
      わーいわーい!

      なんかアストリアさんがうまい事言った気がする。
      田中さんタイーホします!m9(^Д^)プギャー

      2011/09/11 11:35:55

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