10.送り火の前の決意
「あの、トラボルタさん」
「なんだい、あらたまって」
突然の言葉にトラボルタは少し驚いた様子で答えた。
「私をあなたの旅に同行させてくれませんか?」
予想だにしなかった提案に対して困惑した様子で質問に質問で返答した。
「いや……でも、弟を探しに行かなくていいのかい?」
「はい、だからです」
トラボルタはこの二つの事柄をまったくもって結びつけられない。
「ロミオは戦争を終わらせるためにと言ってました。
でも、これはきっとそんなに単純ではないと思うの……
たとえどれだけ強大な力を持って立ち向かっても、みんなの不安や疑心を払えなかったら
戦争は終わらない。だって……本当は誰も悪い人なんていないもの。
私たちはみんな不安で怖くてとても弱い生き物だから……
だから誰かを傷つけずにはいられない」
少女は続けた。
「わたしもあの子と同じ、戦争を止めたい。でも、私にはみんなの全ての不安なんて払えない。
でも、トラボルタさんが、お母さんが教えてくれたんだ。
今の自分にできること、今の私がみんなにできること。
戦争を止めたいなんて言うのは簡単だけど。私には何ができるのか、今はわからないけど。
もしメルト症候群がなくなったら……
きっとみんなの不安を少しは取り除けると思うから。私はやってみたいの。
その先にロミオと同じ願いがあるなら、きっと私たちの道はまた交わると思うから……」
トラボルタは少女の思いをひとしきり聞き終えると、その思いをくみ取るように答えた。
「そうか……君が決めた道だ 私がとやかく言う権利はないさ。
それに私にとっては願ってもない申し出だよ。
君と旅することで新しく発見できることも多そうだ」
「それじゃ、いっちょこの凸凹コンビで世界を救ってやるかな?」
「はい」
「うん でいいよ。言ったろ? コンビだって……な?」
「わかった うん!!」
二人は燃え続ける送り火の前で共に決意の握手を結ぶ、これから続く道に思いを馳せながら。
今日も天高くで月は丸く輝いている。
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