6月ハーモニー 双子蜜柑 そのごー
お母さんの手にはアルバムが2冊あった
「は~い。幼稚園の頃のリンちゃんで~す。ねっ?髪長いでしょ~?」
お母さんがアルバムを広げると、そこには幼稚園の服を着てる髪が長くて
超可愛い私がいた
「本当だー!私って昔は髪が長かったんだー!!レンも見て見て!!」
「へえ~幼稚園の頃って髪が長かったんだ…全く覚えてないんだけど…」
レンは私の横からアルバムを覗き込んだ
「2人とも覚えてないの?へぇ~意外だわ…」
少し驚いて私達を見るお母さんに
「うん…全く覚えてないよ?レンはある?幼稚園の頃の記憶は全然ないよね?」
「うん…俺も全く無いなぁ~全然覚えてない」
「ふ~ん…」
私達の言葉に意外そうな顔をしてるお母さんに
「ねぇねぇお母さん、幼稚園の頃は髪が長いってのは分かったけど、なんで
私の髪は短くなったの?いつ短くしたの?」
「ん~?幼稚園にいる間はずっと髪が長かったんだけど、小学校に上がるときに
髪の毛を切る!!ってリンが泣きながら言って来たのよ…
私が長いほうが可愛いから切らないほうがいいわよって言っても、私も切る!!
って言うから、泣く泣く美容院に連れて行って切ったのよ~はぁ~~」
お母さんは落ち込んで言った
「ふ~ん何でそんな事言ったのかな私…変なの…」
子供の頃の私はなんでそんな意味不明な事を言ったのかな?
思い出そうと腕を組んで記憶を辿ってるとレンが
「母さんそっちは俺のアルバムなんでしょ?俺のも見せて」
「んー」
お母さんからアルバムをもらってレンが開くと
「あれ?これ俺のアルバムだよね?なんでリンが写ってるの?リンがいるよ?」
キョトンとアルバムを見てるレンに
「へ?本当?見せて…」
私がレンのアルバムを覗き込むと
「本当だ…私の写真がある」
どのページにも私のアルバムと同様、髪が長くて幼稚園の服を着ている
超可愛い私がいた。
ただ写真の下にレン4歳とか、レン年長の5月とか書かれている
「ねぇ母さん、これ俺のじゃないよ?リンのだよ?」
と言ってお母さんに見せると
「ん~?これはレンよ?レンは幼稚園に通ってる間、ずっと女の子として
通わせていたのよ?だから幼稚園の服も、女の子用のが2枚ずつあるのよ?」
しれっと言ったお母さん
「はぁ!?俺が女の子!?」
「へ?何それお母さん?どうゆうこと?」
『女』の子として通わせていた?
「ん?そのまんまの意味よ?2人が生まれる前に、私は女の子の双子が
生まれてくると思ってたんだけど、生まれてみたら片方は男でしょ?
それが私はすごくショックでね~なんとか女の子として育てられないかなぁ~
って考えたのよ。だから幼稚園に通わせるときに女の子として通わせること
にしたって訳よ?」
「…………」
「へ?で、でも、通わせようと思っても、せ、先生とかに止められるでしょ?
絶対に駄目って言われるでしょ?か、可能だったのそんなこと?」
口を開けて言葉が出てこないレンの代わりに聞いた
「あぁ…そこは大丈夫だったわね。なにせ私の友達が先生をやってたから、
私がお願いしたら、いいわよ!!ってOKしてくれたのよ~
おかげで双子のリンちゃんレンちゃんとして通わせることが出来てたのよ~」
昔を思い出して懐かしんでいるお母さん
「…………」
「えぇ~?で、でもバレなかったの?だ、だって他の子も通ってるわけだから
レンだって途中で自分が男の子って分かるときが来るでしょ?
き、着替えるときとか、そ、そうゆう時に分かっちゃうでしょ?」
「まぁ確かにそうゆう事を言ってきたことがあったけど、大丈夫!レンも
ちょっとしたらリンみたいなちゃんとした女の子になるのよ。
レンは人よりちょっと成長が遅いだけだから大丈夫!って言ったら信じた。」
馬鹿じゃねぇのレン?
「…………」
「え、えぇ~、じゃ、じゃあいつ自分が男って気付いたってゆーか…
レンはいつ自分が女の子じゃないって知ったの?いつ男の子に戻ったの?」
男の子に戻る…我ながら変な言葉だ…
「確か、幼稚園を出て小学校に上がる前にね…私もさすがにレンを女の子と
して小学校に通わせる事は出来ないって思ってね、レンにレンは本当は
男の子なんだよって言って、号泣してるレンの髪をバッサリと切ったのよ…
私は女の子なの!レンは女の子!!って泣き叫んでるレンの髪を切ったの…
断腸の思いでやったわ…でもね、不思議なことに髪の毛を切って男の子の格好を
させて小学校に通わせたらすぐに男の子になっていったわね…
そんなレンを見て悲しくなっていったわ…あっ、そうそう、さっき言ったリンが
髪を短く切った理由がレンなのよ?」
「はっ?なにそれ?なんでレン?」
「…………」
レンは人形のようになっている
「えっとね、リンがレンの短くなってる髪を見て何を思ったのかね?
リンも髪を短くする!レンが短いなら私も短くする!私も切る!って泣いて
言ってきたの…だから私が止めたんだけどね…そしたらリンったら自分で
ハサミで切っちゃったのよ~で、かなり変になってたから美容院に連れてって
さ~短くしたのよ…でも私はまた長い髪に戻そうと思ってリンに、髪伸ばそう?
また長くしようよ?その方が可愛いよ?って言っても、ヤダ!短いまま!!
って言ってず~っと短いままでさ~」
口を尖らせて文句を言うお母さん
「ふ、ふ~ん…そうだったんだ…」
レンが髪切ったから私もって…
私が少し呆気のとられてると、今まで黙っていたレンが
「……で、母さん…どっからが嘘なの?この写真は俺を女装させたやつを撮った
んでしょ?たまたまのやつなんでしょ?」
レン…目に光が無いよ…
「ん~?なに言ってるの?全部本当よ?お父さんに聞いてみたら?」
お母さんはまたもしれっと言った。
「うわぁぁぁーーー!!!こんな家もう出てってやるーーー!!!」
するとレンは泣きながら部屋から出て
バタン!!
愛しの弟は家出をした。
レンがいなくなった部屋でお母さんに
「お母さんどうしよう?レンが家出をしたよ?」
するとお母さんはアルバムを持って立ち上がり
「ん~~そうゆう年頃なんじゃない?いずれこんな日が来ると思ってたわ…」
いやいや、どう考えてもさっきの話のせいでしょうよ?
「もぉ~そんなこと言ってないで~どうするのよ~」
お母さんは部屋から出て行きながら
「メールしてみたら?じゃ」
メールって…そんなんで帰ってくるのか?
そこまで深刻には私も考えてないが、少し心配になったので
『レン君へ。帰りにプリンを買ってきて下さい』
安否を確かめるメールを送ると速攻で
『お前は鬼か!?慰めたりしねーのかよ!?』
ふむふむ、こんなに早く返事が返ってくるとゆうことは、携帯をずっと
見ていて私かお母さんが電話してくるのを待っていたのかな?
『じゃあ帰ってきたらチューしてあげるから』
慰めるメールを送り返すと
『いらないよ!!プリンな!?何プリンがいいんだ!?』
怒りながらでも私のお願いを聞いてくれるようだ
『焼プリンがいいです。一緒に食べようね?』
電話したほうが早くないかな?
『焼プリンな!?ミルクティーはいるの!?』
さすがレンだ…私のプリンの食べ方をよく理解しているね
『もちです。できればリ○トンでお願いね』
『無かったよ!!紅茶○伝でいい!?』
無かった?とゆうことはコンビニにもういるのか…いや、最初っから
コンビニに行っていたとゆうことか…
『お願いします。帰ってきたらあ~んって食べさせてあげるから、早めに
帰ってきてね?レンも焼プリン好きでしょ?』
『リンしまった!財布忘れた!』
何だって?
レンの部屋を見渡すと、机の上にレンの財布があったので
『今から持って行くから待っててね。』
私は財布を持って家を出た
『うん。立ち読みしてます』
『エッチな本は読んじゃ駄目だからね?読んだら浮気だよ?』
コンビニに向かいながらもメールをする
『残念ながら身長のせいで中学生に見られるので、買うことができません』
買おうと思ったことがあるけど、買えないって事か…
『それはなによりです。安心しました。』
『なんでリンはさっきのヤンアニといい、読んでるだけで怒るの?
部活の友達もエッチな本は捨てて!って彼女に言われて捨てたらしいよ?
本とかビデオだよ?違う子を好きになった訳じゃないのに、どうして
女の子ってエロ本とかを見てるだけで浮気って思うの?』
レンの変な質問メールを読んでるとコンビニについたので
「だって可愛いな~とかエッチなこと考えながら読んでるんでしょ?
それがなんか嫌なの!自分以外の子を見て可愛いとか思ってほしくないの!
違う子を見て可愛いって思うのって浮気じゃないの?」
中に入る時から目が合っていたレンに入りながら言うと
「可愛いって思っても別に付き合いたいわけじゃないし~って友達も
彼女に言ったって…そしたら、とにかく嫌なの!って怒られたって…
とにかくって何?訳分かんない…」
私は分かってないレンに財布を渡しながら
「レンには分かんないだろうね…とにかく女の子は、エッチな本とかを
彼氏が読んでるのを嫌がるってのが分かってればいいんじゃない?」
「ふ~ん、分かった…」
とレンは納得がいかない顔で財布を受け取り
「で、焼プリンと紅茶○伝だろ?買うよ~」
レンは紅茶○伝と焼プリンを手に取ってレジに向かった
「プリンの方は私が払うよ」
そう言って私も財布からお金を出した
プリンと紅茶○伝を持ってコンビニから出て
「ここで食べよ?」
コンビニの前に座ってレジ袋からプリンを出しながらレンに言うと
「家に帰んないの?」
レンはそう言いながらも私の横に座った
「別にいいじゃ~ん。そんなに遅くないし、夜に外に出るのって私
けっこう好きだし~プ~リ~ン~~」
言いながらプリンの蓋を外し、コンビニ袋からスプーンを出して
「プ~リ~ン~~」
かき混ぜると
「えぇ~なんで混ぜちゃうの?ぐっちゃぐちゃじゃん…」
紅茶○伝を飲みながらレンは嫌っそーな顔をした
「なんで~?このぐちゃぐちゃになってるのが美味しいんじゃん」
それに普通に食べるのもつまんないし~
もぐもぐ
「おいしいよ~はい、あ~ん」
レンにあ~んとやるとレンはプリンを食べて
「あ~ん…もぐもぐ……ぐちゃぐちゃにしたら上の焼きの食感が無くなるな…」
「お腹に入れば意味無くなるんだから…もぐもぐ、紅茶○伝ちょうだい」
レンから紅茶○伝をもらって飲む
「嫌だお腹に入れば一緒でしょ?って考え……ん?ん~?」
レンは振り返って窓に張ってるポスターを見る
「ん?どうしたのレン?なに見てるの?」
レンは私に振り返り
「リン!今度の日曜にポ○モンの映画を見に行こうよ!ほらこれ!
今やってるんだって!なっ?見に行こうよ!」
レンの鼻の頭が私の鼻の頭に触れている
「顔近いよ…え~?ポ○モンの映画~?興味無いよ~レンはまたやり始めた
からいいけど、私はやってないし、分かんないよ~行かな~い」
レンの顔を押しながら言うと、レンは私の手を掴んで
「いいじゃ~ん?行こうぜ~日曜ヒマだろ?なっ?」
確かにヒマだけどさ…
「むぅ~じゃあポップコーンとジュース奢ってくれる?そしたらいいよ?」
多分レンのことだ。映画を見るためなら…
「OKだ!よーしじゃあ日曜な!」
「デートするなんて久々だね?」
私がもう日曜のことを考えながらレンに聞くと
「デートって…」
さっきと違ってレンは淡白だった
「何よその反応は~?あんだけ映画に行きたいって言ったのレンだよ?」
もっと楽しそうにしなさいよ~
「え?だって…」
「むぅ~」
レンが何を言おうとしたのかが分かるから睨んで黙らせた
どうせ、え?だって映画に行ってメシ食うだけじゃん?どこがデート?って
言うに決まってるよ!
なんでそんな風に考えるのかな~?むぅ~
「わ、分かった…デ、デート楽しみだね…久しぶりだね」
「むぅ~全然楽しそうにしてない…そんなレンとは行きたくな~い」
私がそっぽを向いてブーたれると
「ごめんごめん!デート楽しみだね!そうだ!ポップコーンは何がいい?
キャラメル?それとも塩か?」
「レンの好きな方にすれば~」
塩のがいい~
「じゃあ塩にするな?リンも好きだろ?なっ?」
「ふーーん!」
まだそっぽを向く私に
「え、映画の後はなに食う?マック…じゃ嫌か?3階のどっかのレストラン…
は高いから無理だから………マックでいい?」
結局マックに戻った
「いいんじゃな~い?」
「め、飯食ったら服とか見るんでしょ?そ、そうだ!さっきの長い髪に合った
服を見るってのはどう?こう大人っぽいやつとか、なっ?」
「っ!か、髪に合った服?う、うん、見ようね……え、選んでくれる?」
思いがけないレンの提案に照れてしまった
「OKOK~選びますよー」
レンは笑顔で返事した。私の機嫌が直ったのが分かったみたいだ
「………1つお願があるんだけどさ、日曜日は映画館の前で待ち合わせって
のできないかな?待った?待ってないよってやりたい…のよ…」
「ん?なんじゃそりゃ?」
レンは当然ポカンとしている
「してみたいの~」
ガクガク揺らしながらお願いすると
「揺らすなぁぁぁ~~分かった分かった~~待ち合わせします~~」
「本当っ?じゃあ映画館の前に15分前ね?いい?」
「はいはい…そんで俺がリンに待った?って聞けばいいのね?」
「うん、お願いね…」
「はいよ、じゃあ帰りますか…」
レンは立ち上がって私の手を引っ張った
「うん…」
日曜日…楽しみ…
そして待ち遠しかった日曜日になった
6月ハーモニー 双子蜜柑 その5
6月ーモニー 双子蜜柑 その5です
よく考えなくてもポ○モンの映画って6月にやんないよなぁ…
毎年夏休みにやって子供達からお金を巻き上g…
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