【彼方に舞うは桜の旋律】
墨染の空 浮かんだ朧月
雲居に隠れ 闇を誘う
涼風が頬 真逆に掠めても
躯の奥に 熱が溢れる
生簀の日々から 逃げ失す為に
一夜の契り 心委ね
さぁ 開け 桜の花
私の想いは
夢と現世との狭間で
今宵 惑い 満ちて 堕ちて 朽ちて
何処を彷徨うの
狂り 狂り
あぁ 散らせ 薄紅の香
伸ばした其の腕
君と私の距離 奪って
刹那 遥か 彼方 新た 許多
歯車を廻す
絡り 絡り
君の温もり 手探り たぐり寄せ
無い物強請り 愚かな科白
寂しさを 持て余した指先は
行き場を求め 虚空を掴む
開カズノ扉に 徐ら手を掛け
戻れぬ故と 覚悟決めて
さぁ 零せ 桜の花
落ちゆく花弁は
私の首筋をなぞって
愛に 恋に 行方 標 預け
辿り着くのやら
片り 片り
あぁ 響け 頻伽の声
宵闇の静寂
微かな 面影を辿って
行く手 引く手 未だき 払い 躱わし
陽炎と化して
昏り 昏り
大輪の如き花火に
袖に舞える白雪
四季も恋も 時 刻めば
淪む 定めと・・・
咲き誇る 桜も
短き命と
幕引きを 知っているのに
脆き 名残り 重ね 連ね やがて
また火が 灯る
ゆら ゆら
巡り巡れ 運命よ
遠方の初音
確かに聴こえた旋律
紡ぎ 結び 捩り捩り 交じり
淡く 解き放て
沙羅り 沙羅り
さぁ 乱吹け 桜の花
春の夜の夢
追憶の景色を 浚えて
夜霧 去りし 真際 堕ちた 泪
然様なら 告げるの
綻り 綻り
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