「・・・それではアリス様、私はこれで失礼しますわ」
「ありがと、メイド。なんだか貴女と話してると、気が楽になったわ」
アリスは部屋から出て行くメイドを見送って、窓から空を眺めました。空はどこまでも続く青で埋め尽くされていました。
そんな青空に見とれていると、入り口のドアをノックする音がしました。
しかも、
「アリス様?入ってもよろしいでしょうか」
という馴染み深い声付きで。
「・・・いいわよ、執事」
アリスがそう言うと、ドアが開きました。
2人の視線がぶつかりました。
「・・・」
「・・・あ、執事・・・」
先に、執事がふいっと目を逸らしてしまい黙りこくってしまいました。
「・・・・・・・」
なんだか言葉を発しにくい、そんな雰囲気が漂います。
「・・・アリス様」
しばらく沈黙を守っていた執事が口を開きました。
「何?・・・執事」
「・・・もっと近くに行っていいですか」
「・・・・・・・・・・・」
アリスは、メイドの言った『あんなの(執事)と一緒に、特に夜!何されるか分かったものですわ!!』を思い出しました。
「・・・だめ、ですか・・・?」
「え、あ、・・・・別に、いいけど・・・・」
まぁ、今は夜じゃないし朝だし、執事とは少し距離を空けたらいっかという実に論理的かつ適当な考えで頷くアリス。
執事はそんなこともいざ知らず、すたすたとアリスの隣に歩いてきて、あと1歩というところでアリスに距離を空けられてしまい、少し首をひねって、
「あの、アリス様・・・?」
「あら、まだ朝よ。・・・執事、何かよからぬことでも考えてないかしら?」
疑わしげに、うさ耳も揺れます。
「・・・なら、夜だったらいいんですか?」
「・・・・え」
執事の言葉に、アリスは目を丸くさせました。
「それはどういう・・・意味かしら?」
「・・・それは・・・・・言葉では言えません」
「 ・ ・ ・ 」
アリスは無言で、無言で執事との距離をさらに空けました。
「え、ちょ、何で離れるんですか!?」
「・・・身の安全、というものよ」
執事からふいっと目を逸らして言いました。
「・・・僕、何かすると思いますか?アリス様」
「うん」
躊躇いがちに呟かれた言葉に即答のアリス。
「・・・・・・」
執事は、項垂れました。うさ耳も、項垂れます。
「・・・ごめんね、そういうつもりはなかったのだけれど・・・」
少し反省したのか謝るアリス。執事は、
「いいですよ。その気持ちだけでいいんです」
と項垂れたまま言いました。
「・・・」
アリスは俯いたままの執事を見て少し考えそれから1つため息をした後、執事に歩み寄って、
「・・・これなら、いいわよ?」
と執事を後ろからぎゅっと抱きしめました。
「・・・・!」
いきなりの密着に、執事は死ぬかと思いました。
「・・・執事って、意外とあったかいわね」
ぽつんと言ったアリスの言葉に執事は、
「そ、そうですか・・・!?」
いつもの冷静さはどこへやら、今や挙動不審化した執事は今にも壊れてしまいそうでした。
しばらく時間が経ったあと、
「・・・もう、いいかしら」
アリスが言うと、執事は、
「・・・・はい」
がくがくと首を縦に振ったのでした。
「ほんと、執事って、いざとなると急に可愛らしくなるんだから、人は見かけに寄らないわね」
そう言って、執事から離れるアリス。
「・・・」
執事は顔を赤くさせたまま、そっぽを向きました。意外と経験が浅きかな。
「・・・さて、今から着替えるから・・・そうね」
アリスは少し考えた後、
「・・・そんなに大して面白くもないけど、それでもいいのなら別に見ててもいいわよ?」
と衝撃の一言を言い放ちました。
「・・・・・・・・・えっと、いえ、いいです!」
潔い即答とは程遠い返答の言葉を半ば叫ぶように言う執事。
「・・・そうなの?ほんとに?」
何かを窺うように上目遣いで執事を見るアリス。
「・・・はい」
執事はやっとのことで頷き、半ば逃げるように部屋から出て行きました。

部屋から出ると、そこには、
「・・・あ」
今の執事にはとても会いたくない人たちがいました。それも4人も。
「執事様、今の判断はとぉぉぉっても賢明でしたわぁ、とっても」
「そうですわよ、それでこそ執事様ですわぁ」
「アリス様も、まさかロリだとは気付かないでしょうねぇ・・・」
「今のところは、大丈夫ですわぁ・・・・でも」
4人のメイドたちは、釘をさすように、
「「「「私たちは、いつでも執事様を見ていますのであしからず、ですわぁ」」」」
とまるで亡霊のようにそう言い残した後、そそくさと立ち去ったのでした。
「・・・・・・・・・・・」
執事は何も言えず、ただ大人しく頷くばかりなのでした。

         END ?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

不思議の国のアリスとうさ耳&執事+眼鏡verカイト その15

・・・私は大阪人じゃないんですがクリスマスにも補修があることに対して「何でやねん!」と突っ込みたい気分のもごもご犬ですこんばんは。
・・・別にその日は懐かし&愛しの後輩に会えるからいいんだけど(笑

さて今回は、いえ、今回もアリスと執事は暴れまくっております。
・・・でも今回は執事やっと紳士的態度を取るので作者も見直しました。
監視役にメイドたちがいて良かった(たった今作った理由です☆
次回もお楽しみに!

閲覧数:106

投稿日:2009/12/22 19:42:25

文字数:1,964文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • hogawa_511

    hogawa_511

    ご意見・ご感想

    もごもご犬さん、こんばんは。
    またまた間が空きすぎて出遅れまくったホガワです。
    (いえ、正月には…と思ってたけどネットができなかったんで)

    執事はきっと紳士的な態度をとったのではなく、
    1.メイド達の殺気(もしくはそれに類する気迫)を察知したから
    2.理性が!抑制が!・・・で立場的に解雇・極刑フラグが立つから
    …とかだと思ってしまう。
    へたれ似非紳士ですよ。きっと。
    紳士ではなく、似非紳士にもなりきれないヘタレです。(←結局へたれ

    それでは一旦失礼します。
    続きも読んできますね。

    2010/01/21 23:05:16

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >ホガワさん
      こんばんは、お久しぶりの再会ですね!もごもご犬です。
      いえいえ気にしなくても大丈夫ですよ☆

      ちょw1と2両方有り得る話ですねwwwww
      へたれ似非紳士ww執事にはぴったりの形容詞です←←
      やっぱり執事はへたれ路線が似あうのでしょうねw

      それでは失礼しました!

      2010/01/22 18:37:47

  • ぐんそう

    ぐんそう

    ご意見・ご感想

    メイド達は立ち聞きしてたのかwwwwwwwwwwww

    執事もうかつに手が出せないですねぇ~♪>w<
    あせってる執事が可愛かったです(*^_^*)

    次も頑張って下さい☆

    2009/12/22 20:21:38

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >きょあさん

      こんばんは!
      実はメイドたち立ち聞きしてたんですね(笑
      メイドたちは神出鬼没ですし♪
      だから執事もそうそう変なことはできないので少し残念・・・いえ、良かったですよ。
      ・・・・良かった、と思います。
      執事はぶっちゃけキャラが定まってないので今後も色んなキャラ設定でいこうかなと思います☆
      次も頑張りますのでよろしくです!
      コメントありがとうございました♪

      2009/12/24 19:04:14

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