●ミク人形シリーズが、好調
雑貨店「つんでれ」で、テトさんと、ルカさんが、
「ミク人形」について話していた。
テトさんと、デザイナーのデフォ子さんが作る、ミク人形のぬいぐるみは、
ルカさんの勤める会社で、製品にされることになっている。
意外なことに、男の子に製品のファンが多いそうだ。
「いま、デフォちゃんは、なにしてるの?」
ルカさんが聞いた。
「彼女は、ミクの柄の、トートバッグのデザインをしているわ」
テトさんが答えた。
「うちのところから出す、ぬいぐるみは?」
「トートバッグの仕事が一段落したら、彼女とわたしで、いろいろデザインするわ」
テトさんは言った。
●こんなグッズはどう?
「あのね、私、思いついたんだけど...」
と、ルカさんは言った。
「ただのぬいぐるみじゃ、面白くないでしょ」
彼女は机の上の、ミクのペンケースを手に取って言った。
「ぬいぐるみの材料を使って、リラックス・グッズを作るのは、どうかしら?」
「リラックス・グッズ?」
テトさんは、ちょっと考えて答えた。
「そうね。いいかもしれないわねー」
「でしょ!」
「でも、それだと女性向けになっちゃうわね」
テトさんは言った。
「ふつうのぬいぐるみだと、さいきんは女性にも男性にも受けるみたい」
「そうなの」
二人は、机にひじをついて一緒に考えた。
●さぁお茶にしましょう...
「ちなみに、ルカちゃんは、どんなグッズを考えたの?」
テトさんは聞いた。
「健康グッズなの。にぎって、手のひらを健康にするヤツ」
「おもしろそうね」
「ヘビが、モチーフなの。頭がミクちゃんで、カラダがヘビなの」
「へえ、それで?」
「カラダをにぎにぎして、手のひらの疲れを取るの。商品名も決めたのよ」
「え、商品名?」
「“ミクを にぎるのじゃ~(蛇~)”」
黙って聞いていたテトさんは、ルカさんの顔をみていたが、
にっこり笑った。
そして、店の奥をふりむいて、言った。
「ルコ坊、いるかな? ちょっとひと休みして、お茶の時間にしましょう」
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