「次の宝石姫はあの子らしいぞ。」
「あの子が・・・。」
「だったら、代わりを見つけたらどうだろうか。」
「宝石姫にふさわしい者をか?」

民は見つけました。
磨けばその宝石姫をも越える美しさを持つ代理を。

それこそが彼。
少女として仕立てあげられた少年。
危ういものに惹かれたのです、だから少年を姫に。
民も王も惹かれたのです。


左目がガーネット(緋い)者だけ許された称号、宝石姫。
みんな「姫君」と崇めました。
みんな知っていました、知らないのは彼だけ。
宝石姫の役割を。
でも、誰も言いません。 伝えません。 気づいていないふりをしました。


何も知らぬ少年を宝石姫に仕立てあげた。
背徳心を揺さぶるけれど、民は王は、愛すべき者を犠牲にしないために。


彼は、喜んで引き受けました。
民が喜んでくれるのなら、と。
春の日までとの約束で。


「あぁ、自由が恋しい。」


宝石姫として王座に座り続ける彼は思います。

「もうすぐ春が来る。」

最後が何時決まるのなんて誰にもわからない。



「姫、時間ですよ。」
「時間? まだ春の日ではないよ。」
「いえいえ、神への儀式の時間です。 さぁいきましょう。」
「どこへさ?」
「ご存知ないでしょうか? 宝石箱の中です。」
「え。」


宝石姫の役割は、自らの目を宝石として神に捧げること。


「聞いたことのなかったわけはこういうことなんだ。」
「みんな知ってたんだ。」
「お城から見えたあの女の子が本物なんだ。」
「愛されていた子だね。」
「僕はいらなかったんだね。」




「愛されたかった。」




彼の左目と心臓は抉られ、体は燃やされました。

宝石箱に入れられた彼の心臓とガーネットは神への捧げ物。


本当の宝石姫である彼女は民に愛されていました。
彼が悪魔の血を引く者(マルコシアス)でなかったのなら、何か変わっていたのでしょうか?





その国には、宝石姫が必要でした。
左目に緋色(ガーネット)の瞳を持つ者しか成ることができません。
左目だけガーネットを持った彼女が選ばれました。
しかし、彼女は民から愛されておりました。
ゆえに、少年が代わりに選ばれました。
どんな少女よりも美しい少年は、何も知らずに宝石姫となりました。
「民が喜んでくれるなら…。」
と少年は快く引き受けてくれました。
自分の血、それ故に民へ遠慮もあったから。
ただ喜ぶ顔を見たいから。





それが始まりでした。


少年の最期でした…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

閉じ込められた宝石姫

補足説明をしていただいたのでそれを頭に入れてもう一度書いてみました。

結構変わった。

閲覧数:202

投稿日:2009/11/21 15:32:47

文字数:1,053文字

カテゴリ:小説

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  • ku-yu

    ku-yu

    ご意見・ご感想

    ninnge_nn 様

    ブックマークありがとうございました。

    2009/11/22 15:11:47

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