グスン、グスンと電話先で泣いてるのは
年下の友達であるミクであった。

僕は布団に潜り込み、まさにこれからノンレム睡眠に陥る瞬間に
電話のコールに叩き起され、かれこれ1時間程
ミクの泣き声交じりの愚痴に、つき合わされている。

毎度の事だが、ミクは彼氏とケンカをしてしまい

「ねえ、カイト君……。もうダメみたい、私達……」

なんて3分置きに言っている。

僕は「うん。……うん。そうか……」と優しく
ミクの愚痴に付き合っているのだが、一方的に
話を続けてるのはミクで、カイトは彼女を慰める
言葉を思いつかないで困っていた。

定期的にこの電話はやってくる。

ミクは彼氏とケンカをする度にカイトに時、所かまわず
連絡をしてくるのだ。

煩わしい時もあるが、僕は電話を無視する事無く
いつでも彼女の電話に出た。


「もう、別れなさい。そんなに辛いなら」

「……、本当だね、ねぇ、もし本当に別れたら……」

「そうだね、もし別れたら……、いい男を紹介するよ」

「ほんとう?余程困ったら……お願いしようかな……」

「そうだね、そしてまたケンカしたら……、また僕に電話をするといい」

「うふふ……、またきっと、カイト君に電話しちゃうね……」

「僕はいつでも、君の味方だから―――」

そして、急にミクは電話先で泣き出すのだ。

言葉を尽くしてカイトはミクを慰めるが

「嘘つき、嘘つき……大嫌い……」

彼女は涙混じりの言葉で連呼する。

この言葉の意味も
彼女の本当の気持ちも分からないけれど

僕の気持ちにも
きっと君も……応えてはくれやしないだろう。


【おしまい】

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

君の味方

コラボ内のご注文小説です。
カイトとミクの真夜中の会話を書いてみました。

「カイトの○○の為の大嘘」というテーマです。
(○○は今回、ミクにしました)

果たしてテーマに添えたかどうかは難しいところですが
こんな感じに仕上がりました(・3・)>

閲覧数:143

投稿日:2012/03/04 15:29:08

文字数:695文字

カテゴリ:小説

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