今回も、そうだった。
リンは、昨日の舞踏会から様子がおかしかった。
あんなに楽しみにしていた舞踏会から帰ってきた時、リンは泣いていた様だった。
その夜、珍しく僕を入れてくれなかった部屋からは、いつまでもすすり泣く声が聞こえていた。
「リン…今日は、元気になってくれたかな。」
僕は出来立ての朝食を持って、リンの部屋の前に来た。
そっとノックをすると、中からリンの可愛らしい声がして、僕に入るように言う。
「リン、あの…調子はどう?
今日はリンの好きなバナナのホットケーキと、ミルクティーだよ。」
「…………。」
リンはベットから半身だけ起こしていたけど、僕の質問には黙って頷いた。
僕は内心心配でたまらなかったけれど、それ以上は何も聞かずに黙々と朝食をセットしていた。
そんな時だった。
リンが突然顔を上げて、僕をじっと冷たい瞳で見つめた。
「レン…緑ノ国を、滅ぼして。」
それは、本当に小さな声で。
空耳かと思ったぐらいだった。
でも、リンは驚く僕に…もう一度言った。
「……え、リン…」
「…緑ノ国、あの女を滅ぼして。」
僕は混乱した頭で、廊下を歩いていた。
緑ノ国…あの女…。
大臣から命令されたことは、王女の恋敵である町娘を含めた、緑ノ国を滅ぼすこと。
僕はリンが憎むその町娘も、緑ノ国もよく知っていた。
だって、僕は…その女の子に恋をしていたから。
穏やかな人々に、美しい自然のその国に相応しい、とても魅力的な女の子だった。
“僕は…僕は、一体どうすればいいんだろう”
ぐちゃぐちゃの頭と心。
僕は、途方に暮れて立ち尽くした。
「…クククハハハハ!
…あの馬鹿王女、まんまと挑発にのりやがったなぁ。
流石は温室育ちの、悪ノ華だ!
俺の言うことなすこと、何でもよく聞き入れてくれるよ。
まったく…末恐ろしい女だ。」
「……様、これで貴方の計画はまた大きく進みますな。」
「あぁ、楽しみで仕方ないよ…ハハハ!」
「…………。」
薄く開いた扉越しに聞こえてきたのは、大臣の声だった。
今聞いた言葉が、頭の中を駆け巡って、僕の身体を震わせる。
大臣は…ずっとずっと、リンを操っていたんだ。
自分のいいように、リンが何も外の世界を知らずに育つように!
自分が望めば、雑草は取り除かれ、光や水は要求する分だけ貰える。
そんな温室が、世界の全てだと思い込むように!
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