天使の子供は私の前から消え去ってしまった




胸騒ぎを隠せないまま





私はこの日を迎えた









秘蜜~黒の誓い~ 第四話【花嫁の選択】






リンが私の前から消えて3日がたった

私は心配だった

天使なのだから、どんな消え方をしても不思議ではないだろう

だが、私の目の前から消えて、残された羽が10分ほどしてから

白く輝く粉になって手から零れ落ちたことが私は気にかかった

リンに何かあったのかな

私…冷たい態度とりすぎちゃったのかな

でも…がくぽさんがそんなことするわけないわ…

そう思っても、リンのあの必死の形相が頭から離れない

リンが嘘をつくとは思えない 

でも

でも

がくぽさんが…?





そうやって考えていると、がくぽさんがやってきた





「ミク、どうかしたのかい?顔色が悪いよ」

「あ、なんでもないわ、ちょっと考え事してただけ」

そうやって心配そうに私の顔を覗き込み、手を添えてくれた

やっぱり信じられない。こんなに優しいのに

「結婚式は明日なんだ、体には十分気をつけてね」

「ありがとう。大丈夫よ。がくぽさんこそ気をつけてね」

「俺は大丈夫だよ。…そういえばあの子は?」

「あ…えっと…」




“あの子”リンのことだわ

どうしよう 消えたなんて…天使だって隠してたし

帰ったっていうのが無難かしら





「帰ったのかな?」

「そ、そうなの!朝方に…ごめんなさい挨拶させなくて」

「構わないよ。どうせ俺は朝方も仕事をしていたから対応できたわからないし」

「一晩中仕事をしていたの?」

「ああ、片づけなければいけない書類や報告書がたまっていてね。ルカに少し手伝ってもらった」

「言ってくれれば私も手伝ったのに」

「ミクはいいんだよ。無理して一晩中起きたりしてなくて」

「でも…たまには頼ってほしいわ。ルカさんだって疲れるでしょうし」

「…大丈夫だよ。ルカは丈夫だから」

「…そう…わかったわ」




いつも仕事を手伝わせてというとこう言ってはぐらかされる

今まで、ルカさんは親戚だから、振り回しても大丈夫と思ってルカさんに手伝ってもらって

本当に私に気を使ってくれてるんだと思ったけど





…もしリンの言うことが真実だったら?

ルカさんが本当は恋人で

夜、二人になるための口実に仕事をしてると言ってるのなら…辻褄はあってしまう

そういえば、私、まだがくぽさんと一緒に夜過ごしたことがない…

でもだめ 私は信じなきゃ

結婚式は明日

証拠もないのに疑うなんて駄目だわ




「がくぽさん…」

「なんだい?」




私は確かめるように聞いた




「私を…愛してくれてますか?」


すると、微笑んでこう答えてくれた


「当たり前だよ 愛してる」



その言葉に安堵の息を漏らした

するとがくぽさんがそっと抱きしめてくれた


「ごめんな。なかなか一緒にいてやれなくて」

「しょうがないわ…お仕事が忙しいのはお互いさまだし」


リンの言葉を忘れようと決めた

このまま、疑ったままの揺れた心で結婚なんて失礼だわ

こんなに暖かくて優しい彼が私以外の人と契りを交わすわけないもの…




がくぽさんがちょっと用があるからと部屋から出て行き

私は瓶に入れた白く輝く粉を見つめた

天使の羽ってこんなに綺麗なんだな…

リンは幸せを運ぶ天使だと思ってた

でも違ったのかな?

私が結婚するといった時、少し苦しい表情をしてた気がする

少なくとも、祝福の表情ではなかった


「あーあ…なんでこんなに気になるんだろう」


目の前でいきなり消えたからだろうか

がくぽさんのことで意味深なことを言われたからか

天使だからか

きっとそうだろう

ただ、悲しい表情のまま別れてしまったのは少し残念だ


「水飲みに行こう…」


気分を落ち着けるために、台所に行って水を飲もうと思った

台所はがくぽさんの部屋の前を通る





…少し覗いて見ようと思った

ドアが少しだけ開いていて、そこから悪いと思いつつ覗いてみた

すると、ルカさんと楽しそうに喋っている

ルカさんのブルーの瞳はすごく綺麗で

ピンクの艶やかな髪も思わず触れてしまいたくなるように綺麗

2,3回しか話したことないけど、とてもいい人だと思う

本当に仲いいなぁ。ちょっと嫉妬気味に思った

何もなさそうだから、もう見るのはやめようかなと思った瞬間だった



「―――――――!!」



見なければよかったと思った

がくぽさんがルカさんと抱きしめあった

それどころかキスまでして“愛してる”と

私に言ってくれた言葉をそのままルカさんに伝えてる

ルカさんが少し申し訳なさそうな顔をして



「明日結婚式じゃない…今日は駄目だよ」



“今日は”?

じゃあ昨日は?一昨日は?

もしかしてリンの方が“真実”?

混乱してると


カタッ


音をたててしまった



「誰かいるのか!?」

「――――――っ!!」



私はたまらずその場から逃げだした

バカだ。なにやってるんだ

そのまま残って話せば真実がわかったかもしれないのに





「なんだったの…?私は…?もしかして、リンが本当だったの?」






自室に駆け込み、カギをかけて一人で呟いた


昨日のリンの言葉が脳裏に浮かぶ

“ルカは親戚なんかじゃない ミク、君はがくぽに利用されてるだけだ!!”

今にも泣きそうな顔をして私に訴えたあの子

どうしよう

あれは何?

親戚だからってあそこまでするの?

何が“ホントウ”?何が“ウソ”?



コンコン



混乱してると、ドアをノックする音がした



「ミク、俺だよ 用があるんだ開けてくれないか?」



震える手でカギをゆっくりと開けた



「どう…したの?」

「ミクこそどうしたんだ!?泣いてるじゃないか!」



ウソはつけない


私はこの人の部屋で見たこと全てを語った



「…やはり見ていたんだね」

「だから…私…混乱して…どうして…ルカさん…と…!」



涙声で問いかけた

もしかして、私は遊ばれてただけなんですかと

半分叫ぶように言い放った

すると



「抱きしめたりキスしたりは、俺達には普通のことなんだよ」



予想もできない言葉が返ってきた



「俺達は付き合ってなんかない。お互い、兄妹のようにしか思ってないよ。
そもそも身内なんだから、付き合ったりするわけないじゃないか」


「…でも!」


「ミクはわからないかもだけど、キスしたり抱き合ったりは
俺達の間じゃ普通のスキンシップなんだ
信じられないかもだけど、小さい頃からずっとそうなんだよ
だから、今もおかしいとは思ってないんだ。でも、思わぬ誤解を生んだみたいだ。ごめんな」



そう言われると何も言えなかった

あれが、兄妹のスキンシップならば仕方ないのかもしれない



「恋人じゃない子とキスしてたり抱き合ったりしてるなんてミクは嫌だったんだな
ごめん。君を傷つけてしまった」

「ううん…私が早とちりしちゃって…」

「本当に愛してるのは君だけだから」

「…信じていいのよね?」

「勿論だ」


その言葉に私は安心しきった



私の中で二つの選択が浮かび上がった

リンを信じるか

がくぽさんを信じるか




だけど、私の選択は


愛する人を選びました












その時、私は気付かなかった

リンに少し似ている少年が

私のことを、窓の向こうから見ていたことを
































ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

秘蜜~黒の誓い~ 第四話【花嫁の選択】



長!!!!
見返して
長!!!!
レン出てきてないし!

あ、今回からミク視点になります(テヘ

正直がくぽの言い訳かなり考えたんですよw
そしたら、知り合いに兄妹のスキンシップで(ここまでしてないけど)
恋人紛いのことしてるの思い出して真似しましt(ごめんなさい

ルカはいい子なんですwwwルカまで悪い子にはしたくn(

どろどろですけど楽しんでいただけたら幸いですw
次回も張り切ります(`・ω・´) ←張り切らなくていい

こんなにどろどろしてない素敵な本家様→http://www.nicovideo.jp/watch/sm10282629

閲覧数:720

投稿日:2011/05/09 14:51:24

文字数:3,227文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました