~グミ視点~50年後の世界



私は神威さんといっしょに歩いていた。

「緑川さん、ちょっといいかな?」

神威さんが私にたずねた。

「あ、はい。なんでしょう」

「君は、さっきから何かを忘れているような顔をしているけど…どうしたの?」

「え?」

私はそんな顔をしていたのだろうか。

確かに、この世界に来てから、何かを忘れている気がする。

「うーん…何を忘れているのか、わからないです」

「そうか」

沈黙。

「……」

「……」

なんか気まずい。特に何もしてはいないけど、なぜか気まずい。

ふと、私は神威さんの髪型について考えた。

…現代生け花って、やっぱおかしいよね。

ってアレ?

「神威さん。髪型変わってません?」

いつのまにか、神威さんの髪型は、現代生け花からがくぽさんの髪型(後ろに一つ結び)になっていた。

「ああ、今日は寝坊してしまってね、いそいでいたから寝癖を直さずにきたんだよ…さっき、調べ物のついでに直してきたんだ」

「ええ?!あれ寝癖なんですか!?」

寝癖にしては、酷かったと思う。

「ああ、なぜか今日の寝癖は酷かった…」

「なぜかって…」

「…」

「…」

再び沈黙が訪れる。

冷静に考えてみると、神威さんって…元の世界のがくぽさんに、ポリス服着せたかんじだなぁ…

…ん? 「元の世界のがくぽさん」?

その言葉を思い出した。

…なんで? 何か、胸につっかえてるような感覚…

私は、「元の世界のがくぽさん」について、何かを忘れてる?

そんなことを考えていると


「――緑川さん。着いたよ、ここが君の家だ」

―――いつのまにか、目的地に着いていた。

うわ、本当に私の家だ。

なんか、50年後の私の家って…ボロいなぁ。

「? どうした?」

「あ、いえ、なんでもないです」

「そうか。チャイム鳴らすぞ」

ピンポーン

ガチャ

「ここは、緑川さんのお宅でよろしいですか?」

神威さんがたずねる。

「あ、はい、そうですが…なんですか?」

出てきた女性がたずね返す。

「50年前から来た緑川グミさんが、お話があるようなのでいいですか?」

「え!?はい、いいですよ。おあがりください」

「ありがとうございます」

こうして私は、50年後の私の家にお邪魔することとなった。

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クワガタにチョップしたらタイムスリップした4 【解釈小説】

乗り込む。

閲覧数:1,095

投稿日:2011/09/19 13:17:53

文字数:982文字

カテゴリ:小説

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