「あなたは私に罪を犯させたくなかったのかしらね?それで自分が罪を犯し私を守った…お陰で私は憎しみのはけ口を失った。」

「…」
黙っている僕。

「…いいわよ。そうして黙っていても。貴方がやらないなら私がしてあげましょう、この事件のナゾトキを…。貴方が私に『探偵』だと自己紹介したときに、私も言ったわよね?私も『探偵』だって…」
僕が2,3歩後ずさりする。そして、小さく呟く…

「…ゃ、ゃめろ、止めてくれ……」
しかし、少女はゆったりと語りだす。

「語られたことに嘘があったとしか思えないわ。レオンの殺し方に嘘があったように、他の人達が仲違いしたのも貴方が仕込んだ事だけではないと思うのよ。現場でそれを誘導するものがいなければ、全員が死ぬなんて絶対に成立しないわ…いえ、そうなる確立はとても低い…貴方は本当にそれにかけたの?それとも…」

「も、もう、止めてくれ!!」
僕は少女の話を耳と頭を抱えて聞いていたが、片腕が欠けているので上手く音を防げない。攻撃は最大の防御也。僕は腕を頭部から離して、声を荒げた。

「レオンを殺したのは僕だ!他の人も皆も死んでしまった。もういいだろう!君の怒りの矛先にいるのは僕だ!早く僕を殺せよ!それでいいだろう!」
自分の口がとんでもないことを口走っているのだが、僕は実に冷静に事の成り行きを見ているなと自分に感心した。

「勿論、そうするわ。」
それに対して返ってきた言葉は、想定以上の言葉だった。

「なら、早く!!」
僕は彼女に飛び掛らんばかりの勢いで、ナイフを彼女に握らせた。

「ねえ、あの事件の時貴方は本当に探偵だった?」
彼女がナイフをもてあそびながら、彼女が僕に問う。しかし僕は答えない。

「もう、全て過去に終わったことだというのなら、どうして貴方がそんなに焦る必要があるの?」
僕はそれを聞くと彼女の腕を掴み、今にも自らにつきたてようとしていた動きをピタリと止めた。

「貴方は一人…せいぜい二人までしか殺せず、この壮大な大事件の犯人にはなれなかった。
貴方を間違えて殺してしまう前に、」
彼女の腕のナイフが、僕の首筋に当たる。しっかりとけい動脈を捕らえている。

「私が貴方の耳元で、囁いてあげましょうか?」
彼女が静かに、そう呟く。

「や…止めろ。」
僕は心底怯えたような眼をしていたが、それは首のナイフに対してではなく、彼女の口に対してだった。

「極悪な犯人は貴方ではない。」

「やめろーーーーー!!」
そこで僕の視界は真っ暗になった。おそらく『鏡音レン』が眼を瞑ったためだろう。そこで、僕は奇妙な感覚を覚えた。いつの間にか僕の首からナイフがずれている。いや、完全に外れた。

ドサッ…

近くで聞こえたそんな音。
穏やかならざるそんな状況にも関わらず、『鏡音レン』はまだ眼を閉じている。それどころか一向に瞳を開ける気配が無い。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

犯人の物語―episode3 ナゾカケ②―

ひなた春花さん(http://piapro.jp/haruhana)の・ナゾカケ(http://piapro.jp/t/WzK5)を小説にさせて頂きました。
実は今回のお話まで書いて、やっと結末までの大まかな道筋が着きました(←遅っ)
小説家失格ですね。そもそも素人の趣味なので、小説と呼べるのかはビミョーですがね(笑)
さぁ、頑張っていきます!


続きはこちら(http://piapro.jp/t/WamP

閲覧数:240

投稿日:2011/06/03 17:08:02

文字数:1,199文字

カテゴリ:小説

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