――――――――――人には犯してはならぬ七つの罪がある。



色欲、暴食、傲慢、怠惰、嫉妬、強欲、憤怒――――――――――このキリスト教概念における七つの【sin(罪)】は、『七つの大罪』と呼ばれ、犯し、これを悔いることなく死せば地獄へ落ちるという。





だが――――――――――この七つとは別にもう一つ。





『第八の罪』ともいうべき、最恐かつ最悪の大罪が存在する。










『正義』である。










一見それは、大罪とは相反するもののように見えながら、時として最恐の『悪』とも成りうる危うい存在。





そしてある『正義』から見た別の『正義』は『悪』とも成りうる表裏一体である存在。





嘗て正義に溺れた者たちは、その力を振り回し『悪』と転じてしまうこともあった。










そしてまた一人―――――正義を貫こうとして闇に身を落とす者が――――――










「……………本当にやるつもり? グーミリア……」

「……当たり前、エルルカ」


暗闇の中、緑髪の少女は強い光を灯した目で私を睨みつけた。

右手には黄金の輝きを放つナイフが、左手には彼女の大切な友人が身に着けていた、薄緑色のリボンが握りしめられていた。

鮮やかな黒髪をかき分けながら、私は、グーミリアと呼ばれた緑髪の少女に向かってため息をついた。


「以前ならまだわからないでもないわ……でもなぜ今? 『大罪の器』はすべて集まった。『嫉妬』と『色欲』の器から抜けていた悪魔も含め、全ての悪魔を封印した。そしてイリーナ・クロックワーカー……妹からもこの『首藤禍世』の体を取り戻した。イリーナは冥界へと堕とされた。全ては片付いたはず―――――なのになぜ今になって、冥界にあるイリーナの魂を粉々に破壊するなどと言い出すの?」

「……ただ、あの女が許せないだけ。あいつがいなければ、ルシフェニアの迷走も起こらなかった。そして……ミカエラが死ぬこともなかった」


精霊の頃からの友人であり、千年の時を共に生きてきたグーミリアとミカエラ。

どんな時だって、二人は共にいた。

明るいミカエラと、冷静なグーミリア。

対照的でありながら、反発することもなく。

よき友であった。


―――――だが。


イリーナ―――――当時はアビスI.R.と名乗っていた―――――の策略によって、ルシフェニア王国王女リリアンヌ=ルシフェン・ドートゥリシュに『傲慢』の悪魔が、マーロン国国王カイル・マーロンに『色欲』の悪魔が憑りつき、その結果―――――ミカエラは二人の暴走に巻き込まれて死んだ。


「すべての元凶はあいつ。肉体を無くしただけじゃ収まらないから、魂も壊す」

「だからってねぇ……わざわざ冥界に堕ちた魂を壊しに行くことはないでしょう!?」

「大切な人を守り、その仇はすべて倒す。これが私の―――――“正義”」


その言葉に、思わず杖を構えた。

『私の“正義”』。この子は人間になってから、ミカエラや私、その他自分が大切だと想った者の為に戦ってきた。

私がメリゴド高地での決闘に勝利した直後、イリーナに体を奪われた時も、私を自分の体の中に宿し、冥界に自ら堕ち、『冥界の主』と成り代わって、更に自ら『憤怒』の悪魔を宿してまでイリーナを討った。

その強い信念は、いつしか彼女にとっての“正義”となっていた。


そして今―――――この子はその正義のもと、凄まじく恐ろしいことをしようとしているんだ。


「……あんたみたいな魔道力の塊が、そのまま冥界へ乗り込んだらどうなると思う? 前回は『冥界の主』に成り代わったから無事だったけど、下手すればあんたの魔道力に冥界が引きずり込まれて、崩壊の一途をたどりかねない……それどころか、地上や天界すらもその崩壊に巻き込まれるのよ!?」

「それでも構わない。私は私の“正義”を貫き通す」


間違いない。この子の体からはまだ、『憤怒』の悪魔が抜けきっていない。


いや……それどころか……

『原罪者』イヴ=ムーンリットが『原罪』を生み出したように―――――





この子は今、自らの体の中で第八の罪『正義』を生み出してしまっている。

『憤怒』よりも強大で、最悪の大罪『正義』を……!





そしてその『正義』は『妄信』へと変わり、『憤怒』の悪魔に力を与えてしまっているんだ……!!


これ以上彼女の中の『正義』を成長させてはいけない。



力尽くでも―――――止めるしかない!!


「やめなさい!! 『白椿の波導【レオルフ・レサル】』――――――――――」



「『加速の刻字【レクレス・レブ】』!!」



私の魔法が発動するよりも速く、彼女のナイフが私の腹を抉らんとする。

咄嗟に防御魔法を張るものの、やはり『憤怒』の器には通用しなかった。あっさりと貫通され、ナイフが私の腹にめり込む。


「ぐぶ……っ……!!」

「安心して。峰打ちにした。加速の刻字印付きだからしばらくは起き上がれないと思うけど」


倒れ込む私を尻目に、彼女は冥界への扉を開けた。

真っ黒い闇が渦巻くその中で、一つの赤い光が漂っている。―――――イリーナの魂だ。


「……エルルカ、今まで、ありがとう。ミカエラの仇、とってくる」


その瞬間、緑髪がふわりとなびいて、グーミリアの姿は闇へと消えた。


「ま……待ちなさい……!! グーミリアぁ…………!!」





「グーミリア――――――――――――――――――――――――――――――っっっ!!!!」





★     ★     ★     ★     ★     ★     ★     ★



「……というストーリーを思いついたの!! ねぇ、Turndog!! これどう思う!? ヴォカロ町で『ツンデレーラ・ドッグ』の新作にしようと思うんだけど!!」

「……どう思うってなぁ、どっぐちゃんよ……」

「何よ!?」

「こちらの世界ではまだ完結してないけど、ヴォカロ町は300年後の日本だぞ? 悪ノPのエヴィリオスシリーズも完結してるはずだぞ? そんな二次創作が通用するのはかなりあ荘の中だけだろうよ……通用するかどうかわからんけど……」

「う……うーん……」





映画監督『ツンデレーラ・ドッグ』=どっぐちゃんと、Turndogの苦悩は続く……。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【大罪二次創作】正義~第八の罪~【エヴィリオスシリーズ捏造】

謎の単品が出来上がりましたwwwww
こんにちはTurndogです。

七つの大罪について調べてたら『第八の罪として≪狂信≫≪正義≫がある』なんて記述を見つけたので、ちょっと魔導士の皆さんにご協力を仰ぎましたww
特にグーミリアちゃんマジ御免。なんか罪が二つに増えてしまった。

この話は
・全ての大罪の器が回収された
・全ての悪魔が封印された
・茶番カプリシオの『Ma』は中身がイリーナである
・冥界の主がグーミリア(エルルカ入り)で『憤怒』の器所持者だった
・メリゴド高地での決闘でエルルカは勝ったはいいが体を奪われた

……等々私の独断と偏見による考察を前提としたうえで成り立っていますので、自分の考察とここが違う!とかいうのがあっても突っ込まないでくださいw

閲覧数:1,751

投稿日:2013/08/28 11:09:56

文字数:2,656文字

カテゴリ:小説

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  • しるる

    しるる

    その他

    ふぇ?うん……ああ、うん、いいんじゃない?←
    え?……どこがって……えっと、うんと……独特の世界観で←

    【ターンドッグは、罪と罰(5)を手に入れた】
    著ドストエフスキーの名作……だが、難しい

    2013/08/28 20:07:14

    • Turndog~ターンドッグ~

      Turndog~ターンドッグ~

      独特?独特……かなぁ?ww
      どっちかっつーと悪ノPの世界観ですが。

      ドストエフスキーwww
      日本語訳されてないと私はyめないが大丈夫か?←

      2013/08/28 21:12:18

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