MGR団を結成した理由は、幾つかある。例えばその一つには『ツマラナイから』というのが挙げられる。
けれども、一番正しい理由は一個だけ存在していてね。
気になる? 気になっちゃう?
それじゃ……言うけど。
MGR団ってのは、何からとっているか、解る?
え? ミク・がくぽ・ルカだって? あんた、ほんきでそう思っているの? だったらもう一度人生をやり直して欲しいもんだわ。
いいか、MGR団はミク・がくぽ・ルカじゃない。
メイコ・がくぽ……そして、
ラピス、よ。
≪【リレー】僕と彼女の不思議な夏休み 15≫
「……ラピス?」
僕は初音から言われたその名前を、知らなかった。
そもそもどうしてこんな話になったかといえば、初音が『すべての真実を語る』などと言い出したからだ。なんだ? もう、この物語終わってしまうのか?
「『弱音ハク』が書いていた『僕と彼女の不思議な』シリーズは全部で七作存在している。
一つ目が『日常』、
二つ目が『校内探検』、
三つ目が『世界』、
四つ目が『私と彼の不思議な日常』……たしかこれは雑誌連載していたのだけど、途中で連載中止になってそのままになっていたかしら。
五作目が『一日』、
そして、六作目が『夏休み』となっている」
「……七作目はどうしたんだ。シリーズの最後は?」
「まだ、執筆されていない。いや、『もう執筆されない』といった方がいいだろうか」
「……どういうことだ?」
「つまり、」
初音は、小さく微笑んで言った。
「弱音ハクは死んだのさ。……ちょうど、向こうの時間で二年ほど前に」
◇◇◇
僕はそのことを知らなかったのだが、初音曰くその世界ではとんでもない騒ぎだったらしい。『僕と彼女の不思議な』シリーズは世界でもたくさんの人間に読まれていたらしく、その最終巻を読みたかった読者は世界の総人口の三割にも及んだという。
「……待てよ。確か、この世界は『弱音ハク』が執筆した作品の世界なんだよな……?」
「そうよ。それがどうかしたかしら?」
「どうかしたか、じゃねえよ……。つまりそれって、この世界が崩壊しちまうってことだよな!?」
僕だって解っていた。
もし、書き手がいなくなったら、その世界はどう終わってしまうか。
つまりは、世界の終焉。
それは、どうなっても、防ぐことは出来ない。
「……なあ、どうすればいいんだよ……!」
「焦るな。私にだってちゃんと考えているし、それに世界は終わりなんてしない」
「口からでまかせを言っているんじゃないだろうな……?」
「いーや、まったく。ほんとにほんとだぜ」
急に男口調になったのは突っ込まなくていいかな。
初音以外の人間を見てみようと、ゆかりさんを見るとゆかりさんはジャムパンを頬張っていた。グミはマックスコーヒーを飲んでいた。あれって原材料名コーヒーよりも練乳の方が上なんだよね。
「とりあえず、口からでまかせでないことは本当だよ。それだけは確からしい証拠もある」
「確からしい証拠?」
「それは……『ムーンリット・シリーズ』がきちんと存在していることだ。もし、そうでなければ世界は本当に破綻していただろう」
「ムーンリット・シリーズはこの世界と運命共同体とでも言いたいのか」
「間違っているようで、間違っていない」
初音はいつもはぐらかす。
だから、僕はさらにひと押しした。
「――解らないのか。初音にも解らないことってあるんだな」
「何を言っているんだ。そんなことは有り得ない」
初音の顔は酷く焦っているようにも見えた。
確実だ。
確実に、彼女はこの真実を知り得ていないのだ。
そして、どこからかは解らない。今初音が言っていることには嘘が含まれている。
それは、自明だった。
つづく。
【リレー】僕と彼女の不思議な夏休み 15
一番書くのに苦労しました。若干伏線回収回。
少し短いです。
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ST
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