「ね、マスター。あそこにある人形、“はっちゅーね”でしょ」
りりィさんは、カクテルを飲みながら、話しかけた。
「そうですね」
グラスを拭きながら、吉さんはうなずいた。
「かわいいわねー」
ゆくりさんも、目を細めて人形を見る。
夜には、バーのスタイルになる、「カフェ・つんでれ」。
ゆくりさんとりりィさんは、ひさびさにくつろいだ時を過ごしている気がした。
カウンターの向こうの隅には、2人連れの男女がいる。
それは、ミクさんとカイくんの兄妹だ。
2人の前には、ちょこんと一つ、人形が置かれている。
●人の話に反応する…
「でもあの人形、ちょっと変わったところがある…ってウワサですね」
りりィさんは、話を続けた。
「ええ、いろいろね、ウワサがあるらしいですね」
と、マスター。
「そうなのよー!なんかねー、人のハナシに反応するんですって―?うわッ」
ゆくりさんが勢い込んで言い、飲んでいたコーヒーをカップからこぼしそうになった。
3人がしゃべっていると、その声に気づいてか、ミクさんがこちらを向いて、会釈している。
ゆくりさんとりりィさんは挨拶をした。
「どうも」「こんばんはー!」
ミクさんたちも、笑って挨拶をかわす。
●人の声に返事をする人形
「それ、“はっちゅーね”ですねー?」
「すてきな人形ですね」
「ええ、ありがとうございます」
ゆくりさんたちの言葉に、笑顔で答えるミクさん。
「それは、言葉を返す“答えるロボット”みたいな、ものですかー?」
「ええ、そうなんです」と、カイくん。
「えーとー」
ゆくりさんは、人形を見つめて、大きな声でゆっくりと話しかけてみた。
「こんにちはー!」
人形は、静かに首をこちらに向けると、幼い女の子の声で言う。
「コンニチワ ハジメマシテ」
「まあ、かわいい!」
2人は微笑んだ。
●ただ、しゃべるだけではなく...
「人と話ができる仕組みって、楽しいですね。コトバはいっぱい、しゃべるのかしら」
りりィさんが、人形を見つめて聞いた。
「はい、それがですね」
目を見ひらいて、カイくんが言う。
「フシギなんですけど、ただしゃべるだけでなく、どうやら、コレには“心”があるみたいで…」
「アニキ!」
何気なくしゃべろうとするカイくん。それを素早く制して、ミクさんは言った。
「いえいえ、普通のあいさつとか、日常会話くらいなんですよ」
「かわいらしいお人形ですね。こんど、ぜひ、ウチの店でも扱ってみたいわ」
りりィさんは笑って言った。
その時、話をしている4人には聞こえなかったようだが、
マスターの吉さんは、かすかに人形がしゃべったように思った。
「ゼヒ、アツカッテ、クダサイ」(^._.^)
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