「うわっあ！ この方が有名なギャル社長のミクさんですかー。すんごいなや」
本人を前にして、子供のように騒いでいるネルちゃん。
「ど、どうも...」
ミクちゃんは、ぎゃくに頬を赤くして、恐縮している。

キディディ・ランドのカイ店長、そして妹のミクちゃん、
２人が訪ねたのは、「ジー出版」。
応接室で向かいに座っているのは、編集部の野呂間アル夫さんと、イベント部のネルちゃんだ。

「そうですか。おたくのお店で、チャリティのイベントを？」
野呂間さんが、カイくんに聞く。
「ええ。ここにいるミクが作っている、キャラクターのグッズ販売のイベントをするんです」
カイくんが答える。


●アーティストとコラボしたい！

「ぜひ、おたくの雑誌で記事にしていてだけたらと思って」
ミクちゃんが２人に向かって言う。
「もちろんですよ。ほかならぬカイさんと、妹さんの頼みなら」
野呂間さんはうなずいた。
「いつも、売り場や商品の情報で、お世話になってますからね」

「それと、ネルちゃんにぜひ、教えて欲しいんですけど」
「あら、なに？」
カイくんの言葉に、ネルちゃんは目を見開いた。

「こいつが」
と言って、カイくんはミクちゃんを指さした。
「イラストやデザインの描ける、いいアーティストを紹介してほしいそうです」
「そうなんです。ぜひ、よろしくお願いします」
ミクちゃんは、ぺこりと頭を下げた。

●飽きずにやりなさい

「アーティスト？うん、いろいろ知ってますよ。なんたってあたしは、イベント部担当だから」
ネルちゃんはうなずいた。
「でも、そして何をするのかな」
野呂間さんが２人に聞いた。

「ええ。今回のチャリティ・イベントは、着ぐるみを呼ぶだけですけど」
ミクちゃんが説明する。
「今後は“ライブ・アート”のイベントを、いろんなとこで、していきたいんです」

「ふぅん。そうだ！あの子たちはどうかな。フリマに出てくれてる...」
ネルちゃんは、天井を見上げて考えた。
「ぱみゅちゃん、ルナさん。彼女たちなら、イベントに慣れてるはずだよ」

「なるほど。ライブ・ドローイングとか、できそうだな」
野呂間さんもうなずいた。
「でも、それじゃ、キディディ・ランドのお店では、ちょっと狭いですね」
カイくんが腕を組んだ。
「そうだ。サンセット・ギャラリーを借りればいい。小さめのイベントなら“つんでれ”でできるし、
大掛かりなものなら、観月さんやモモちゃんに頼んでみよう」

「なんだか、面白くなりそうだなぁ」
ネルちゃんは、そわそわして言った。
「雑誌でも、つづけて、取り上げさせてもらいますよ。ネルくん、頼んだよ。ただし」
野呂間さんは、片目をつぶって言った。

「落ち着いて計画を立てて、しっかりね。張り切りすぎると、君は必ず“飽きた、寝る”だし。ネルくん！」ヽ(´～｀；

（part３につづく）