黄金〈きん〉の入り日が 全てを包む
光と陰の あわいの刻
私は一瞬 世界に
全てを忘れ去る様に
(わかってる。) (わかってるんだ。)
(なんのかいけつにもなりやしない。)
(ワタシはワタシをキライなままで。)
(ワタシはセカイをキライなままで。)
何も変わりは しないけれど
ほんの瞬間 世界に 融ける
赤銅〈あかがね〉の陽は 全てをぼかす
淡い灯火〈ともしび〉 顔の無い人影〈かげ〉
私は僅かに 世界が 解ける
全てが一つに 還る様に
(しってる。) (しっているよ。)
(ただのマヤカシにすぎない。)
(セカイはいつものセカイのままで。)
(セカイはワタシをシラナイままで。)
何も変わりは しないはずの
私は静かに 世界を 説いた
朱鷺色の空は 彼方へ続く
時は夕暮れ 陽は西へ
世界は一刻 私に 溶ける
全ては一つ 一つが全て
(そうだよ。) (どうせそうだ。)
(ただタソガレのみせるユメ。)
(ダレもナニもかわりはしない。)
(ワタシもダレカもかわりはしない。)
替わることない 世界の中で
私は全て 全ては私
薔薇紅に染まる 雲は流れる
人影〈ひと〉は途絶えて 風は吹き去る
世界が一刻 私を 融かす
終わりの始まり 始まりの終わり
(けっきょく。) (けっきょくは。)
(ユメはユメ。) (セツナのマボロシ。)
(ワタシは結局 変われはしない。)
(ワタシはダレカに 替われはしない。)
代わらないはずの 世界の果てで
私は一刻 世界を 溶かす
紫紺に変わる 空の色
夕から夜へ 逢魔ヶ刻
(愚か〈バカ〉な。) (ワタシ。)
(何処〈ドコ〉までいっても。)
(何処〈ドコ〉へもいけない。)
(変わらぬ未来〈アシタ〉は。)
(明日〈イツマデ〉も続く。)
(黄昏の夢に。) (逃げ込んだって。)
(ナニモ。)
(カワリハ。)
(シナイノニ。)
紫紺の空が 世界を とかす
とける 世界に 私は とける
私をワタシが嘲笑おうと
(ドコニ。)
(ニゲテモ。)
(…………。)
コメント1
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ご意見・ご感想
geppei-taro
ご意見・ご感想
夕暮れ時、好きな時間帯です。朱から紺色に変わる空のグラデーションを見ていると想像力が掻き立てられますね。
2020/02/18 13:06:43
橘 莉緒
メッセ有り難うございます。夕暮れ大好きです。あのグラデーションはいつまでも見ていられますよね。〈黄昏時/誰そ彼時〉と言う日本語も素敵な言い回しだと思います。
2020/02/24 12:20:47