手を伸ばす 伸びた爪先
暗い 狭い 汚い 一間
錠の掛かったドアを見つめて
曲げた膝を抱える

ああ。箱に映るご飯は美味しそう
ヒラヒラフリルのワンピース
着れたら何処へ出掛けよう

カーテンの隙間 小さな世界(そら)は
僕を手招くように青く、蒼く
ドアが開くのを待っていた
良い子でいるのは疲れたの。もう
あの人を呼ぶ声も出ない
残ってない 手を伸ばす力も
思い出せないの 名前を呼ばれた
あの日のことを

手を伸ばしてみた 空想に
疲れたって言っていた
錠の掛かったドアは
目の前の鉄の塊ではないようね

ああ。鏡に映る痩せた目は
これが僕なんだよ、と指差し嗤う
無関心の業に暗む 外の青は届かない

あの人を窄むメリトクラシー
学べなかった者よ 落ちろ、堕ちた
悪い子は誰だったの?
知る術を知りたかったの きっと
良い子になれなかったの
呈示してよ いっそ認めて
吐き出して
外へ 掃き出して

この日を噺すニュースキャスター
救えなかった者よ 集え、集え!
早朝開いた 重いドア
良い子でいたいと望んだの
酸っぱかった食んだ腕
空想してよ 掻き抱かれたかった
ヒトリの短き命の音を
呈示して いっそ認めて
掃き出して
幸せにできなかった悪い子の僕を

ねぇ?ママ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • オリジナルライセンス

鋼鉄製メリトクラシー

『開けれなかったね。目の前のドアも、あの人の心も』

これはとある一室で空腹に耐える、ヒトリの幼い命の話。
救える命があるはずです。

※2017/5/29編集

閲覧数:353

投稿日:2017/05/29 01:19:57

文字数:536文字

カテゴリ:歌詞

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