「サンタさん!おはようございます。」
手品師とお茶をしてから丸一日が経った。サンタさんはその晩に僕に仕事を任せず、自らお仕置きに言ったのだ。久しぶりに夜に眠れた僕は、なんだか落ち着けず早めに目覚めてしまった。そして今は、仮眠を終えて起きてきたサンタさんのために朝食を作っていた。

「飯はまだ?」

「もうちょっと待ってて!」
寝起きで機嫌の悪いサンタさんを食卓に着かせ僕は再びコンロに向かう。今更だけど、サンタさんのお家はまあまあのお金持ちらしくて、珍しい食べ物もたくさんある。サンタさんはそれを華麗に使いこなして豪華なご飯を作ってくれるんだけど、僕はどうも料理が上手くないみたい。僕はバターを添えたロールパンを籠に盛り、僕の精一杯の料理、ベーコンエッグを皿に載せてサンタさんの待つ食卓に向かった。

「レミー!遅い…」
駄々をこねているサンタさんの前に籠と皿を差し出すと、サンタさんはほ乳瓶を抱える赤子のようにパンに喰らいついた。僕もパンに手を伸ばし、2人で朝食を食べ始めた。

「少し上手くなったわね。」
サンタさんは少し機嫌が戻ったようで、そう言って僕に微笑んだ。ちなみに、僕がサンタさんのお皿を覗いた時には既にサンタさんのベーコンエッグは消えていた。

「ヘヘッ、ありがとう。」
僕は、僕の料理をサンタさんが美味しそうに食べてくれたのが嬉しくて、サンタさんに笑い返した。すると、サンタさんは僕の頭を優しく撫でてくれた。その手はまるで…

「さあ、レミー。食事が終わったら、早速今日の勉強と行くわよ。今日はルシフェニア史の三英傑についてからね。」
しかしサンタさんのその言葉によって、僕の顔が強張る。

「サンタさん仕事終わりで疲れてるだろうから、少し休んできたら?」
僕が、作った笑顔でそう言う。

「大丈夫よ。それにレミーの勉強のためならいくらでも頑張れるわ。」
しかし、サンタさんは切り返してくる。

「じゃ、じゃあ、僕先に洗い物だけしてくるよ…」

「そう言って、また裏口から抜け出して勉強をサボる気でしょう!」
ゲッ…バレてる………かくなる上は…

「いっ、行ってきまーす!!」

「あ!こら、レミー待ちなさい!!」
僕はサンタさんの脇をすり抜けて、スニーカーとボールを掴んで表へと駆け出した。サンタさんが何か叫んでいたような気がするけど聞こえな~い。
僕は少し駆けたところで、振り返りサンタさんが追ってこないのを確認すると靴を履きなおし、ドリブルをしながら街を駆け回って遊んだ。

________________________________________

夕暮れ近く、僕はそろそろ帰ろうかなと思いつつ街を歩いていた。昼食を抜いていたのでお腹もペコペコだった。そのとき、僕はたまたま街の噴水の前まで来ていた。僕はしばらくそれに気づかなかったんだけど、ここは昨日『七番目の手品師』に集合場所に指定された場所だった。
僕は、それに気づいた途端噴水から2、3歩後ずさりして辺りを見回す。なんとなく気配がしたように感じたのだ。しかし、僕の心配は徒労に終わったようだ。噴水の脇には今やどす黒く変色している、大量の血…
僕は裏切り者の番号と彼女に指定された集合場所をサンタさんに教えた。きっと手品師は…
辺りはすっかり暗くなり、月が昇り始めていた。僕は家路を急いだ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

母の温もり―五番目のピエロ(Ⅳ)―

mothy_悪ノP(http://piapro.jp/mothy)さんの五番目のピエロ(http://www.nicovideo.jp/watch/sm14639165)を二次創作満載で小説にさせて頂きました。
最近リアルが忙しいのと、coffeeがペンタブを買ったお蔭で僕のパソコン使用頻度が減ってしまったことで長々とお待たせしてしまいましたm(_ _)m
今後しばらくもこのペースだと思いますが、ご容赦ください。

今回の話、改めて見てみると短いですね^^;
ラストのサビ部分を一気に書きたかったのでこうさせて頂きました。
Let's ピエピエロ!!


続きはこちら(http://piapro.jp/t/Y3j3

閲覧数:673

投稿日:2011/07/10 11:46:48

文字数:1,391文字

カテゴリ:小説

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