*
病室のカーテンを夜風が揺らす。
病室に灯りはともっていない。なのに充分に明るいのは満月だからか、或いは・・・・・・
「ホントに、いいの?」
窓際に立つ少女。夜空を見上げている。その背丈ほどもある、見事なまでのエメラルドグリーンの髪が、夜風にたなびいている。
ベッドに横たわる少女は沈黙をもって肯定する。
暗く曇ったブルーの隻眼には複雑な感情があふれていた。
ためらい、苦しみ、あきらめ、欲望、痛み、恐怖、恐怖。
瞳は所在無げに空中をおよぎ、その手は意味もなく脇のテーブルに活けられていたぺラドンナ・リリーの花をもてあそぶ。
少女はためらう。苦しみとともにためらい続ける。それでも否定はしない。いや、できない。何故なら、
「・・・・・・それが、望みだから。」
決意を滲ませて、少女は囁いた。
「ゴメンね、」
不意に発せられる、謝罪の言葉。窓際の少女が振り返る。翡翠のような瞳で横たわる少女を捉える。
「それに、ありがとう。」
深緑の少女が苦笑する。
「それはこっちのセリフ。」
そっと差し伸べられた手は、優しく頬を包み込む。
「ひとつ、聞かせて。」
首肯。
「幸せ?」
堪えきれず、溢れ出した涙が少女の手を濡らす。
「うんっ・・・・・・シアワセだったよ・・・・・・」
深緑の少女が去った後も、しばらく涙はとまらなかった。
様々な感情のせめぎあい。思いの結晶。
濡れた瞳で夜空を見やれば、炯炯と輝く月が中天にかかっていて。
「レン・・・・・・」
呟く少女は14歳の誕生日を迎えた。
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