6月ハーモニー 未来音符 そのきゅー



料理も食べ終わったので、私達はお店から出た

「それで?次はどこに行くんですか?」

先にお店から出た海斗先輩の背中に訊ねた

「え~っとね、この後に2階にイベント広場があるじゃん?

今日そこにLilyが来るらしいんだよ。だからそれを見に行こうと

思ってるんですけど…Lilyって知ってる?」

歩きながら顔だけ振り返った先輩に

「いや~よく知りませんね。名前は聞いたことはあるんですけど、

曲はそんなに聴いたことは無いですね。先輩は好きなんですか?」

Lilyとは10代に、特に女の子に人気の歌手なのだが、

私はあんまりメジャーの人の曲を聴かない。特に深い理由は無いけど。

ただ、同人の音楽をサトミに薦められて、そうゆう曲を

ニコ動とかで聴いてるうちにメジャーの曲をあまり聴かなくなっていったのだ。

ちなみに私はボーカロイド関係の曲が好きです。

ちなみにサトミはメジャー音楽のことを現実サイドと言っている。

同人サイドと現実サイド…あの子も相当のオタクだ…

元ネタが分かる私も私なのだが…まぁサトミに読まされたラノベの影響のせいだ…

「あれ?女の子だったらよく知ってるんじゃないの?

ん~ぶっちゃけちゃうと、俺もあんまりよく知らないんだよね。」

先輩はさも当たり前のように言ってきた

「えぇ?じゃあなんでプランに入ってるんですか?

知らないのに私達はLilyを見て、なにを楽しむって言うんですか?」

やっぱりこの人はお馬鹿さんだ…

「ご、ごめん…ま、まぁ知らないなら知らないで楽しめるんじゃない?

今まで俺、ライブとか行ったことが無いから少し楽しみだよ?」

下りエスカレーターの前で先輩は立ち止まって聞いてきた

う~ん、先輩の言う通りかな?

私もライブとか行ったことが無いから、一度ぐらいは行ってみたいって

思ってたから……行ってみるかな?

「じゃあ…行きましょうか?」

先輩に尋ねると、先輩は少しだけ嬉しそうに

「うん。じゃあ行こう」

そう言って先輩がエスカレーターに乗ったので、私も乗った。

さっきは私が先輩の前に乗っていたから分からなかったけど、

先輩のつむじ…右回転だ…

どうでもいいトコに目が行ってしまった。しかし、

は!

私が先輩のつむじを見たとゆうことは、先輩もさっき私のつむじを…

うわぁ!この変態が!!

「いま1時半じゃん?ライブって2時からやるからちょっと待つんだけど

いい?まぁ待ってればすぐだと思うんだけど…」

先輩が振り返って私を見上げてきたので

「こっち向くなこの変態」

先輩を見下ろしながら無感情で返事した

「いきなり何その毒舌っ!?横暴にもほどがあるよ!?」

「人のつむじを見てハァハァ興奮してたんだろ?気持ち悪い!!」

「見てねぇーよ!!いきなりなに言ってんだ君!?」

私の言葉に先輩の前に立っているお姉さんが、驚愕の顔で振り返った

「え、え?わ、私のつむじ見て興奮したの?え、キ、キモい…」

お姉さんのキモい発言に先輩が前を向き

「見てません見てません!!この子ちょっとおかしいんです!!

俺は人のつむじを見て興奮する変な性癖はありません!!

この子の言うこと信じないでください!頭のおかしい子なんです!!」

よく私のことが好きなくせにそこまで言えるな…

私はお姉さんと目が合ったので

「さっき4階の映画館から出た時に、この人はエスカレーターで私の後ろに

立ってたんですよ。それで私は見ての通りツインテじゃないですか?

だからどこに私のつむじが有るか、先輩はきっと探したと思うんですよ?

でも髪を左右に分けてるから見つからない…だから先輩はかなりの

ストレスを溜め込んでいるハズです。そしていま目の前に

つむじがはっきりと分かるお姉さんがいる…だから先輩はもう、

溜め込んだストレスをお姉さんで発散してたと思いますよ?

このつむじを押してツボを刺激すれば…ってゆう妄想をしてね。」

すると先輩が

「なに人を変なつむじマニアにしてるんだよ!?無ぇーよ!んな性癖!!

確かに初音さんのつむじ見当たらないなぁ~とはさっき思ったけど、

でもつむじを押してやろうって思ったことは無ぇーよ!!」

「うわぁー!!冗談で言ったのにマジで人のつむじ探してたのかよ!!

このド変態が!!キモいキモいキモい!!お前キモい!!!

お姉さん逃げて下さい!!この人は変態です!!お姉さんのつむじを

マジで見てたはずです!!早く逃げて下さい!!」

「わ、分かった!!じゃ、じゃあ貴女も気を付けてね!!」

お姉さんはエスカレーターを駆け足で降りていった

「えぇ!?マジで行ったよあのお姉さん!!ちょっと初音さん!!君の

せいで誤解されちゃったじゃんかよ!!どーしてくれるんだよ!?」

「誤解!?なに言ってんだアンタ!?人のつむじ探してたんだろ!?

それは間違いじゃないんだろ!?じゃあアンタは変態じゃないか!!」

「でも俺はあのお姉さんのつむじは探してないよ!?

初音さんのつむじだけ探したんだよ!!誤解しないでくれる!?」

「だからなんで私のつむじを探したんだよ!?キメぇーよ!!

普通つむじを探すなんて事はしないだろ!?たまたま見ちゃったなら分かる

けど、探したのはそうゆう性癖があるからじゃねぇーか!!」

「だって好きな人の頭が目の前にあったら探さない!?見ちゃうって!!」

「探さないし、見ねぇーよ!!私だってたまたま先輩のつむじを

見ちゃっただけなのに、なんでアンタは探すんだよ!?マジでキモい!!」

先輩と言い争ってると2階に着いたので、先輩が降りると同時に

「さようなら!!もう私のことを誘わないでくださいね!!」

私もエスカレーターを降りて本気でダッシュした。

2階には1階に降りる外階段があるのでそこに向かった。が

「ちょ、ちょ、ちょい待て!!その帰り方はさすがに酷いだろ!?」

先輩が私を追ってきた

「なんで追っかけてくるのこの変態!?ついて来ないでよ!!」

「つむじ見ただけで変態扱いはさすがに酷いでしょーよ!?

せめて弁解させてよ!!いやもう謝罪するから許してよ!!」

「許す気なんて無いから謝らなくていいよ!!ついて来なけりゃ許すよ!!」

「そしたらどっちみち今日のデートがここで終わるじゃん!!嫌だよ!!

俺は今日、初音さんと出かけるの楽しみだったのに!!待ってって!!」

「そんなことを言って私が止まると思ってるの!?止まらねぇーよ!!

逃げ切ってみせるよ!!」

私が外階段を降りようとしたら、1階から見慣れた顔の2人が上がってきた

「あら~~ミクじゃな~~い。どうしたの~~?」

「なにその格好?気合入り過ぎじゃない?」

お母さんとお父さんが手を繋いで下から話しかけてきた

「えぇ~~?なんでお父さんとお母さんがいるの~?」

私は階段を降りようとしてたけど、立ち止まって下の2人に聞いてしまった。

すると先輩に追いつかれてしまった

「ようやく追いついた~!ん?なに?誰と話してるの?」

先輩は私の横に立って、階段下の2人を見て聞いてきた

「しまった!追いつかれた!!くそっ!!」

私は急いで階段を降り始めると

「ん~~?あぁ~~その男の子が今日のデートの相手なんだ~~」

「へ~結構かっこいいじゃん…ちょっと馬鹿っぽいけど…」

お母さんとお父さんが先輩を見て、私の今日のデート相手と理解したが、

「でも今日限りだけどね!!」

私がそう言い2人の横を通り過ぎようとしたら、お母さんが

「ミク~~なんで逃げてるかは知らないけど~~このまま逃げたら私達は

あの男の子と話すことができるのよ~~?いいの~~?」

悪魔的なことを言ってきたので、私はお母さんの横でビタッ!と止まった

「な、な、な…なんとゆうことを…」

「おぉ~いいんじゃない?俺もミクのデート相手のあの子と話してみたいし~」

お父さんが先輩を見ながらのん気に言っていると、お母さんが私の顔を見て

「じ~~」

ん?しまった!読まれる!!

お母さんの特殊スキル。『顔を見てるだけでミクの考えが分かる』が発動。

「止めて!!」

なので慌てて鞄で顔を隠すが

「ミク~~そんなつむじを見られただけで怒っちゃ駄目よ~~」

遅かった

「うわぁーん!!お母さんの馬鹿ぁー!!だからなんで分かるのー!?」

私が泣くと先輩が階段を降りてきて

「へ?なに?初音さんの…お母さんとお父さんですか?」

はっ!?

お母さんとお父さんに話しかけてきた。なので私はお母さんの背に隠れた。

最悪だ!!よりにもよって最悪の展開だ!!

まさかデート中に両親に出会うなんてことは最悪すぎる!!

こんな経験ふつう無いよ!?友達に見つかるなら分かるけど、まさかの両親!!

「ちょっと~~どうしたのミク~~?なにそんなに恥ずかしがってるの~~?」

私はお母さんの腰に手を回して抱きつき、顔を背中に押し付けている。

そりゃ恥ずかしいよ!!先輩から逃げようとしたらまさかお母さん達に

捕まるなんて思ってなかったんだから!!どうすればいいの!?

私が何も言わないでいるとお父さんが

「君がミクのデート相手の子~?」

普通に先輩に話しかけた

止めて!!止めてよ!!なんで付き合ってもいない先輩が…私に片思い

してるだけの先輩が両親に会って話すのよ!?おかしくない!?

「あっ、はいそうです…今日、初音さんとデートしてる海斗です。」

先輩もなんで普通に話してるの!?止めてよ!!もうどっか行ってよ!!

お父さんとお母さんもどっか行って!!早く買い物にでも映画にでも行って!!

私の願いも虚しく今度はお母さんが

「へ~~かっこいい子だね~~ミクにはもったいな~~い」

じゃあお母さんにあげるから!!いや、それじゃ結局は駄目じゃん!!

先輩と2人が話してしまえるじゃん!?どうしよう!?どうすればいいの!?

誰か!!誰か助けて!!恥ずかしい!!逃げたいよぉ!!もうヤダぁ!!

私は色々な感情がごちゃ混ぜになった。

でも私はどうすればいいかの答えが出た。

それはお父さんとお母さんをどっかにやる。まずはそれからだ。

なので私はお母さんに小声で

「ふ、2人は何でいるの?な、なにか用があってメゾールに来てるんでしょ?

だったら早く行ってよ…先輩と話してないで早く行ってよ…」

「え~~?いいじゃな~~い?せっかく偶然ミクのデート相手の男の子と

会えたんだし~~もっと話してみた~~い。いいでしょ~~?」

お母さんのその悪気の無い、のほほんとした声に私は苛立ったので

「私……お母さんのそのオバサンっぽいところが大っ嫌い……ほんと嫌い…

お母さん……それじゃただのオバサンだよ?私…嫌い……大っ嫌い……」

私がかなり低く、不機嫌な声で言うと

「ひっ!?…………………………ミ、ミク?」

お母さんは私への恐怖+オバサン嫌いと言われたショックで泣きかけた。

しかし泣きかけているが、私がお母さんの腰に回してる手の力を強くしたため、

お母さんは恐怖で泣くことができないみたいだ。

恐怖+ショックで泣きたい。が、恐怖で泣けないお母さん。

「お母さん……もう一回言うよ?いい?これが最後の一回だよ?

2人とも……早くどっかに行って……そうしない2人なんて……大っ嫌い……」

「わ……分かったから………お母さんのこと嫌いにならないで………ね?」

お母さんは泣きかけながらも分かってくれたので、今度はお父さんに

「お父さん……今日は2人でデートに来てるんでしょ?水曜に話してたね?

じゃあ早く行きなよ……映画に行くんでしょ?早く行きな……

じゃないともうお父さんと……話さないよ?私……話してあげないよ?」

お母さんの時と同じく、低く不機嫌な声で言うと

「……ミ、ミク…?そ、そこまで…?」

お父さんもお母さん同様、恐怖とショックで顔が青ざめている。

「は、初音さん…?」

先輩も余波を浴びたのか、顔が青ざめている

「お小遣いもいらない……その代わり二度とお父さんと口きいてあげない……

ずっと話さない……話してあげない……お父さんと目も合わさない……

メールも電話も無視する……貰った誕生日プレゼントも…目の前で叩き壊すよ?」

「わ、分かった……分かったから、それだけは許してくれ…なっ?」

お父さんも泣きかけながら分かってくれたので、私は笑顔で、

「2人とも分かってくれてありがとう…私…お母さんとお父さん大好きだよ?」

「わ、私も……ミクが大好きよ……」

「お、俺もミクが一番大事…だよ?」

2人の言葉を聞いた途端に私は再び、低い声で

「じゃあ……早くどっか行って……」

そう言ってお母さんの腰に回した手を開くと





「「じゃ、じゃあね!」」

私のお願いをきいてくれたお父さんとお母さんは、階段を駆け上がって行った。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 未来音符 その9

6月ハーモニー 未来音符 その9です

同人サイトと現実サイト、このネタは『とある』ラノベのネタです。

ちなみにヲタの友人がマジで同人音楽とメジャー音楽のことを

こう読んでいます。

閲覧数:74

投稿日:2012/08/30 01:18:23

文字数:5,434文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました