何でここで君（弁護士）はメガネスーツ
僕は凄く運が良いのだろうか
咄嗟に君の左手の薬指を見る
甘くないな、と思った

弁護士と依頼人は恋に落ちやすいだろう
しかしそれは他のケースの場合だ
それに罪状はこれだ
「―に関する法律違反」

君は僕を「理解出来ない」と言う
これが世間の反応だ
これから沢山の人にそう責められるだろう
分かっていた筈なのに涙が出た

泣くべきは僕じゃない、泣くべきは僕じゃない
どうして悪の僕が泣く？
泣かなかった、泣けなかった
どうして君に言われたから？

そう、僕には君しか居ない
そう、君にはそんな風に思われたくなかった

君はこれからこんな罪人を守らなければならない
それはきっととてもとても嫌な事
ごめんなさい
ごめんなさい
心の内で連謝罪


僕にはそれ（弁護士）が必要ない
僕は償いようが無い事をしてしまった
何を弁護する必要がある
僕はこれを吐き出す

「それ（アナタに弁護士を依頼する事）は僕にとって良い事があるのか」
しかし君は少し考えてこう言う
「―さんの場合、誰も来てくれないかも知れません」
「・・・ので私が会いに来ます」

僕には確かに誰も居ない
これが僕の現実だ
僕には誰も会いに来てくれる人など存在しない
君は僕自身の核心をついた

僕は泣かない、泣いちゃいけない
どうして悪の僕が泣く？
何で泣いた、君だから泣いた？
どうして悪の僕が恋？

そう、僕には君しか居ない
そう、僕にはそんな風に言ってくれる人が居なかった

君はこれからこんな罪人を守らなければならない
それはきっととてもとても嫌な事
ありがとう
ありがとう
心の内で連感謝


それでも君が無防備に微笑むと
僕という存在が認めて貰えた様に感じた
君が僕の為に怒ってくれた時、好きだと思った
ずっとここに居られたら良かったのに


僕は泣かない、泣いちゃいけない
どうして悪の僕が恋？
泣けなかった、言えなかった
どうして悪が（既婚の）君（弁護士）に恋？

そう、僕は叶わない恋をした
そう、僕にはこんな風に思える人が今まで一人も居なかった

償い方が分からない僕はどんな罰でも受けると言った
これは最高の罰か
さようなら
さようなら
これは当然の無期懲役