☆1A
最初はただ 酸いも甘いも無く
誰かの笑顔が見たかっただけ
告げられる感謝の言葉が
彼女の“日常”の全てだった

☆1Ｂ
時の歯車は 噛み合わせを崩す
唐突に糸は 縺れて絡み付く

『貴女は 女王の子
世継ぎを喪った国を導きたまえ』

☆1Ｓ
全てを飲み干した彼女は
“日常”を掃き捨てた
誓いの呪文は夜に潜み
魔女の秤さえ重く沈む

姿を摺り替えた彼女は
“恋情”を振り捨てた
想いの呪縛を舌に潜め
魔性の唇で人を煽る



☆2A
最期はただ 悔いも憂いも無く
自分の素顔に成りたかっただけ
告げられた断罪の台詞が
彼女の“終焉”の全てだった

☆2Ｂ
伽の火車は 噛み合わせを外す
唐突に針は 痺れて絡め取る

『貴女は 魔術の徒
異端の染み渡る国へ贖いたまえ』

☆2Ｓ
全てを吐き出した彼女は
“感情”を取り戻す
願いの言葉に空は眩み
魔女の秤は軽くしなる

姿を取り換えた彼女は
“愛情”を思い出す
世界の理を胸に刻み
魔女の唇で彼を呼ぶ



☆ＬＳ
総てを受け入れた彼女は
“日常”を呼び起こす
別れの呪文は夜に紛れ
魔女の焔は紅く滾る

☆C
それは遠い何処かの国の
遥か昔の物語


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


☆1A
さいしょはただ
すいもあまいもなく
だれかのえがおが
みたかっただけ
つげられる かんしゃのことばが
かのじょの
にちじょうのすべてだった

☆1Ｂ
ときのはぐるまは
かみあわせをくずす
とうとつにいとは
もつれてからみつく

『あなたは じょうおうのこ
よつぎをうしなったくにを
みちびきたまえ』

☆1Ｓ
すべてをのみほしたかのじょは
にちじょうをはきすてた
ちかいのじゅもんは
よるにひそみ
まじょのはかりさえ
おもくしずむ

すがたをすりかえたかのじょは
れんじょうをふりすてた
おもいのじゅばくを
したにひそめ
ましょうのくちびるで
ひとをあおる


☆2A
さいごはただ
くいもうれいもなく
じぶんのすがおになりたかっただけ
つげられた だんざいのせりふが
かのじょの
しゅうえんのすべてだった

☆2Ｂ
とぎのひぐるまは
かみあわせをはずす
とうとつにはりは
しびれてからめとる

『あなたは まじゅつのと
いたんのしみわたるくにへ
あがないたまえ』

☆2Ｓ
すべてをはきだしたかのじょは
かんじょうをとりもどす
ねがいのことばはそらにくらみ
まじょのはかりはかるくしなる

すがたをとりかえたかのじょは
あいじょうをおもいだす
せかいのことわりをむねにきざみ
まじょのくちびるでかれをよぶ


☆ＬＳ
すべてをうけいれたかのじょは
にちじょうをよびおこす
わかれのじゅもんはよるにまぎれ
まじょのほむらはあかくたぎる

☆C
それはとおいどこかのくにの
はるかむかしのものがたり