アイ・ストーリー
第一話「青色の絆」
私の名前は氷室美冬(ひむろ みふゆ)。ごく普通の高校一年生だ。
私の両親は世間では有名な音楽家で、世界中を飛び回っていたから
家にはほとんど居なかった。
子供の頃から色々と寂しい思いはしてきたけど、現在(いま)は
あんまり寂しいと思わなくなった。
え?何故かって?
そりゃあ、私が年齢を重ねて成長したのもあるけど……
……………
一番影響されたのは、やっぱり……
「……スター……マスター!朝ですよ!」
「……うぅ~ん……後、五分寝かせて……。」
「だ、駄目ですよ!遅刻しちゃいますよっ!!」
そう言って、無理矢理毛布を剥ぎ取られた私の瞳に映ったのは
青い髪と瞳の青年だった。
「ん~……おはよ、KAITO……。」
「おはようございます、マスター。」
彼の名はKAITO(カイト)。人間に見えるが、彼は
『VOCALOID』(ボーカロイド)と呼ばれる、歌う為に製作された
アンドロイドであるが、歌う為に製作されたと言っても
人間と何ら変わらず、食事とかもするし感情だってある。現に私は
彼に毎朝こんな感じに起こしてもらっている始末だ。
「……マスター?ちゃんと起きてますか?朝食はもう出来てますから
早く着替えてくださいね?」
「……うん、わかった。」
私はまだ眠たい目を擦りながら、KAITOの後ろ姿を見ていた。KAITOが
扉を閉めたら二度寝してやろうと思っていた矢先、KAITOが振り向いた。
「マスター……今、二度寝してやろうとか思いましたね?」
「……何で分かったの?」
「僕はマスターのVOCALOIDですから、マスターの考えてる事は
だいたい見当がつきますよ。」
「……むぅ……何よソレ~、私が単純だって言いたい訳?」
膨れっ面な私を見ながらKAITOはクスクスと笑う。
「じゃあ、リビングで待ってますから。急いでくださいね。」
「……はぁい。」
KAITOは、意地悪だ。
だけど……優しい。
KAITOが家に来て、一緒に暮らすようになって……。
KAITOは私の父方のイトコの奏(かなで)兄さんが勤める研究所で
製作されて、私が中学二年の時に奏兄さんが連れて来たんだっけ。
あの時は私も色々荒れてたなぁ……っと、この話は置いといて。
とにかく、私はKAITOに出逢えて良かったと思ってる。KAITOもきっと
私と同じ気持ちのはず……なんだけど……。
制服に着替えた私は、一階のリビングへと向かった。
「あ、マスター。早く食べないと遅刻しちゃいますよ~。」
「もう、急かさないでよ。まだ大丈夫でしょ!」
「あれ?でも、マスター。今日はいつもより早く学校に行くって……。」
「へ?……あぁっ!!そうだった!今日、日直だったんだ!!
もー!!何でもっと早く起こしてくれなかったの!?」
「……起こしましたけど。」
KAITOの言葉をスルーして、私はKAITOが作ってくれた朝食を必死に
口に押し込めていた。……美味しい。
「……あの、マスター。」
「むっ……何?今食べるのに……忙しいんだけど……もぐもぐ。」
「マスターが学校に行ったら、僕もちょっと出掛けて来ます。
夕方頃には帰りますから……。」
「…………また?」
実は最近、KAITOの挙動があやしい。
私が学校に行った後だけでなく、休日も一人で何処かへ出掛ける。
私は何度か出掛ける理由を尋ねた事があったが、KAITOは何かと話題を
はぐらかせてばかりで、答えてくれなかった。KAITOにだって
プライベートはある。それは、分かってるけど……。
「……マスター?どうかしたんですか?」
「えっ?あ……ううん、何でもないっ!あんまり遅くならないようにね!」
「はい。」
私は朝食を食べ終えると、身支度を整えて玄関へと向かった。
「じゃあ、いってきまーす!」
「あ、マスター!今日は午後から……。」
KAITOが何か言おうとしてたが、日直の事で頭がいっぱいだった私は
最後まで聞かずに走り出した。
……続く。
アイ・ストーリー
初投稿です。よろしくお願いします!
KAITOと女マスター美冬のお話です。長いので前編後編に分ける感じです。
VOCALOIDが実体で、その辺をウロウロしてても普通な世界です。
後で他のボカロとそれぞれのマスターも出ますよ。
……妄想炸裂です(笑)。
後編は……近日中に投稿したいです。
追記:第一話本編・番外編→完成。
第二話本編・番外編→完成。
Lied→一応、完成。
コメント6
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ご意見・ご感想
氷雨=*Fortuna†
その他
感想ありがとうございます!
面白いと言っていただけて、嬉しい限りです。
……文才?私にはほど遠い存在(もの)ですよ(汗)。
こちらこそ、よろしくお願いします!
2009/04/08 18:02:01
梓紗
ご意見・ご感想
来ましたよーっw
面白いですね><
早速ブクマ登録させていただきましたw
その文才…私に分けてほしい位です←
これからもよろしくお願いしますねーww
2009/04/08 17:18:50
氷雨=*Fortuna†
その他
神楽さん、感想ありがとうございます!
ストライク小説ですか……そうですか(笑)。
そう言っていただけて、すっごく嬉しいです!
神楽さんの作品も楽しみにして、待ってます!
2009/04/05 22:17:21
神楽
ご意見・ご感想
こちらでは初めまして。
なんていうか真ん中にズバンとストライク小説でした。
朝、こんな感じに起こされたら間違いなく埋もれます。
続きも近いうちに読みに寄らせて下さいませ!
2009/04/05 21:34:49