#「しるるとネルちゃんとシルルスコープ」



かなりあ荘の住人は女の子が多い

けれど、そんな厳しい環境の中、みんなを引っ張ってくれるお兄さんがいる

なんだかんだで、みんな、頼りにしている

私だって、精神不安定な時はお世話になってます

そういえば、この間、りんごから、「ターンドッグさんと兄さんが重なっててー」という話をきいた

ま、それは人それぞれだとして……



【彼】の部屋のパソコンは、別世界とつながっているらしい

そんなOパーツ的な機械をどこで手に入れたのかは知らない

まぁ、清花ちゃんや、どっぐちゃんがいる時点で、そこまで不思議とは感じないのだが


そのパソコンの向こう側に住む、ネルちゃんという子がいる

彼女は、かなりあ荘で自分の趣味を含めての改造を行っている

彼女のつくるのは、【早い、すごい、危ない】の三拍子がそろったものが多い

まぁ、彼女もあっちの世界でいろいろあったみたいで、今はそこまで危ない!ってものをつくってないみたいだけど

もちろん、その辺の監視は管理者のターンドッグさんに一任しているわけで

それはつまり、彼女が万が一、かなりあ荘を爆破しようもんなら……全責任はターンドッグさんにいくようになっている






「ネルネル・ネルネ!クリスマスセール!改造、分解、溶接、破壊、創造!さぁ!なんでもまかせてよ!」


元気よくリビングで声をあげていたのは、そのネルちゃん

いつのまにこっちに来てたんだろうか


「ねぇ……ネルちゃん?いつもいってるけど……危ないのは作っちゃだめだからね?」


わかってるって!と言わんばかりに親指を立ててグッとする彼女

……すでにさっきの商売文句に危ないのが入ってたんだけどなぁ

しかも、噂によると……最近、あっちの世界で強靭なムチをつくったとか……

いや、ムチって、そうそう日常生活でつかわないよ?

あっちの世界って、移動手段は馬ですか?


「ところでしるるさん!何か!困っているブツ、ありませんか!」

「え……あ……えと……何かって言われても……」


下手に改造されても、正直、私が使いこなせない


「なんでもいいですよ?私、今はやる気ありあまってるんで!」


うーん……それは安心材料なのだろうか……むしろ、逆だったり


「あ……そうだ。これ、改良してよ」

「ん?あ、シルルスコープ?なんで?使えないの?」


私が差し出したのは、幽霊が見えるという不思議なアイテム、シルルスコープ、略称SS


「いや、使えるんだけどね。他のみんなのは量産型SSでしょう?私のだけ、試作型だから……電池の持ちが悪くて」


そう、実はターンドッグさんやゆるりーさんが持っているのは、量産型で製造コストを低くして、効果範囲を抑えめにして電池の持ちをよくしたもの……

一方、私のは、試作三号型……試作型の最終形態ではあるが、効果範囲が広いため電池の持ちが悪い

ちなみに一号型は、電源コードがついてて有線で、重く、効果範囲も狭い

二号型は、電源コードを取っ払って、軽量化も成功し、効果範囲もこれが一番広かった……が、稼働実験中に謎の大破をした

どのSSも、すべてネルちゃん作である


補足として、量産型は使う材料によって効力範囲が違うらしい

ターンドッグさんのは【がくぽとグミの想いの力】とかが強いアイテムをつかったおかげで三号型と同等範囲を見れる

ゆるりーさんのも【友情のバトン】というものを使ったせいで、さらなる軽量化と、三号機にも劣らない範囲をカバーできるらしい


「んー、そっか。で、どうする?量産型みたいにリミッターかける?」


ネルちゃんは真面目に私の顔をみてくれる……かわいい


「うーん……そうすると範囲狭くなるんでしょう?やだなぁ……あ、そうだ!ネルちゃん、幽霊にさわれるようなアイテム作れる?」

「は?……う、うん……材料さえあればね」


うんと言える彼女は本当にすごい

実はこの前の、清花ちゃんと仲直りした時に、触れられなかったことが少し残念と思っていた

彼女はカーテンやゆたんぽを触れるのに、人には触れない、触られないで、なんとなく寂しい


「じゃあさ!それをSSに取り込める?」

「えええ……相変わらず、無茶いうなぁ……」


ネルちゃん曰く、「あたしを困らせるのは、しるるさんくらい」らしい

「ま、別の意味でターンドッグも心配だけど」といってた

どういう意味だろうか?


「しょうがない、やってみるけどさ……今回は時間かかりそうだなぁ」


そういって、ターンドッグさんの部屋のパソコンに戻って行った

私は優雅にお茶でも飲んで待っていようと、お湯を沸かすのだった









お湯が沸いた……というか、沸いてしまった

その間10分ほど

やはり、ネルちゃんは苦戦しているようだ

というのも、彼女は改造がとても早い

まるで【精神と時の部屋】を使っているかのようにすぐできる

ターンドッグさんの量産型は5分もかからなかったとか……

そんな彼女が10分もかかるということは、よほど難しいということ……


私はお茶を二つの湯呑みにいれる……

本当は、ネルちゃんにもと思っていたのだが……まさか、終わらないとは……


結局、それから5分後

お茶がぬるくなったころに、彼女は帰ってきた


「ごめん、しるるさん……バッテリーは量産型並みになったし、他も大体は予定通りだけど、これは駄目だ……」


しかも、ものすごく申し訳なさそうにして……


「え?みせて?」


私に見せてくれたのは、かわいい星型のイアリングが一つ


「え?ちっちゃ!え!こんなちっちゃくなったの!?」

「うん、大きさなんて大したことじゃないもの」


いやいや、こんなに小さいと、明らかに体積足りない気がする


「って……これ、失敗したの?」

「……つけてみて」


私はいわれるまま、それを耳につける

そして、あたりを見回す

すると、目の前に清花ちゃんがニコッと笑って立っていた


「わっ!!!い、いたのね……」

「はい、ずっと、見てましたよ?」


まるで、彼女もこのSSをできるのを待っていたかのように、わくわくしているのが見て取れる


「しるるさん!触ってください!」


私はネルちゃんに目線を送る……【触った途端、どかーんとかいかない?】という目で


「大丈夫、せめて、もちゅーんくらいだから」


と、ネルちゃんはいった

え……てか、爆発するの?もちゅーんって、どのくらいの規模?


私は恐る恐る清花ちゃんに右手を伸ばす

そーっと、そーっと、そーっと

しかし、次の瞬間、清花ちゃんが自分から手を伸ばす

「えいっ!」

「わあああああ!!爆発するー!!」


私は思わず、目をつむる…………が、爆発はしなかった

うう……心臓に悪い


が、次の瞬間、右手に手の感触を感じていることに気が付く


「え……あ!さわれてる!」


私が自分の右手と清花ちゃんの手が交わるところに驚くと、清花ちゃんも目を丸くして驚いていた


「え……嘘……本当に?」


それは清花ちゃんにとって、ものすごい衝撃だったのだろう


「ああ……これが……しるるさんの手なんですね、すごいあったかいです」


感動のあまり震えている

なんせ、100年ぶりくらいのひと肌だろうから……


「やったね!清花ちゃん!」


私もなぜだかすごくうれしい

決して、かわいい女の子に触れたからとか、そういう話【だけ】ではない


「はい!ネルさん、ありがとうございます!」


清花ちゃんが嬉しそうにお礼をいったが、ネルちゃんはうれしそうじゃなかった


「すごいじゃん、ネルちゃん!すごく軽量化して、こうやって触れるようになって、完璧じゃん!」


と、私がそういって清花ちゃんから手を離してネルちゃんに近づいたときだった


ふっと、清花ちゃんの姿が消える


「え……あれ?あれ?電池切れ?清花ちゃーん?」


私はわけが分からず、あたりをみる


「はい、なんですか、しるるさん」


そして、目の前にあらわれた清花ちゃん


「わああああ!」


私は、また驚いた……今日、何度目だろうか


「え?あ?あれ?も、もしかして……」


私は清花ちゃんから、少し離れる

すると、彼女がふっと消える

今度は少し近づく

ふっとあらわれる清花ちゃん

それを確認して、私はネルちゃんの方を見る


「……うん。そう。触れられるってことに意識おいてつくったら、触れる距離にいないと見えなくなっちゃった」

「ええええ!!」


それはほぼ密着していないと見れないということ


「あはは……それはさしずめ、試作4号型ってところね!絶対に改良を重ねて、完成させるから!あたしのプライドにかけても!」


そういって、ネルちゃんは燃えていた


私と清花ちゃんは顔を見合わせて、ふぅっと息をはいて笑った



こうして、しるるは、試作3号型SSを失い、試作4号型SSを手に入れたのだった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

しるるとネルちゃんとシルルスコープ

と、いうわけで、ターンドッグさんとネルちゃんのクリスマスセールやってるらしいでーすw

本当はそれに絡めるつもりがついついww
そして、ターンドッグさんも出すつもりがついついww

もともと、私のSSは、みんなのとは違っていたというのは、これまでに何度か出してきましたが、今回、初めてちゃんとした設定を書きました
今まで、コメントとかで冗談半分で一号機はコード付きですねとかいってたのを、これにて統一ww

*試作4号型:超小型のSS、バッテリーが量産型と同じになり、清花ちゃんを触れるようになった画期的なアイテム……ただし、密着していないと清花ちゃんを確認できないほど効果範囲が狭い。その距離はおおよそ手の届く範囲


あと、ネルちゃんは、ターンドッグさんのところの子なので、勝手に使って、ちょっとイメージ違うかもしれないですね
うん……頑張ったんだけどwごめんなさいw

おわびにマイページの方に少しだけ絡ませて書きましたからw
リンちゃん事件とルカ強靭ムチとw
あとりんごのも絡ませましたからww←

閲覧数:142

投稿日:2013/12/21 09:12:34

文字数:3,779文字

カテゴリ:小説

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    上から下まで2828が止まらないTurndog ですw
    くすっとさせるネタをちょこちょこ入れてくるのがたまらないね!
    あと雪りんごさんナニ話してんの!←

    時空転移用PCはネルの技術の結晶なんですよ。
    一度壊れたら作り直すのは時間かかるでしょーなw

    な……ネルが15分もかかるだと……!?
    リンちゃんのヘッドセットに次ぐ長さとは……!!
    代償としていいものができましたなw
    これはしるるさんと清花ちゃんによる薄い本がでるな……(やめんか

    2013/12/21 11:14:00

    • しるる

      しるる

      だって、ゆるりーさんのを意識して書いたものww
      それと清花ちゃんとネルちゃんをかわいく書く!というテーマに最終的になりましたw

      ネルちゃんも、身近に幽霊がいないので、SSはなかなか難しいようです
      量産型は量産型なので、時間かかりませんが、新作となると別らしいですよ

      そして、大事なのは清花ちゃんが喜んでくれたってことですよw
      それに女の子は守るもの、なでなで、ぎゅっとくらいはしますが、それ以上は私がさせない!

      2013/12/21 18:06:25

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